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映画感想

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わたしのみた映画たち
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#生き方

「岬の兄弟」:生き方

ずーーーんと何かを訴えかけられているような気がするけれど、ある兄妹の日常を無心に描いているだけ、でもある。 主人公で、自閉症の真理子は、言葉で自分の感情を表現することがない。 だからこそ、この映画は無言で、何かを訴えかけてくる迫力があるように思う。 障害、貧困、性風俗を切り口に、人間の幸福、性欲、意思、愛、感情、家族、友情といったものを考えさせられる作品だった。 ちなみに、はじめて吉祥寺のアップリンクでみた。 懐かしの吉祥寺PARCOの地下がパステルカラーの壁のおしゃ

「メゾン・ド・ヒミコ」:欲望がほしいんだよ。

「欲望がほしいんだよ」 オダギリジョー演じる春彦は、恋人であるヒミコが死に近づいていく中で、生きるための欲望がほしい、と言います。 「刺激がほしい」という言葉はよく聞きますが、それはつまり「欲望がほしい」ということなのかもと思いました。「欲望がほしい」という言葉の方が的を得ているのではないか、と。 とくに、生きる気力がないようなときにこそ、自分の内から湧き上がるような欲望こそが生きていくための糧になるのだと、この春彦の台詞を通して再認識しました。 だけど、内から湧き上