見出し画像

「愛農かまど」を作った

ここ佐用町上三河の古民家を手に入れたのが2016年の春。
6月から佐用町の住民になり、車で15分ほどのところに仮住まいを借りて家を飲み込もうとしていたジャングルを開梱して夏が終わり、秋からは片付けと傷んだところや床の解体。年が明けて傾いた柱を垂直にするなど修繕がはじまり、根太・大引を渡して床の下張りと水回りがなんとかなり始めた頃に寝起きをはじめ、どんなレイアウトで作っていくのかを考えたときに、、、

実は「かまど」の位置も決まっていました。


かまどのある台所のイメージ

今使っている台所はガス火で調理するためのものですが、大きなタケノコ、たくさん採れた野草、もち米や味噌作りのための大豆を茹でるには大きな鍋が必要で、できれば長靴のままでもOKなように、「土間にかまどがほしい」という願望を間取り図には書き込んでありました。

ところが内装がすすみ、実際に暮らし始めてみると、冬場にファイヤープレイスがあるのはとても暖かくて贅沢この上ないことだけれど、夏場に屋内で「火」を使うことはあまり現実的ではないことを思い知ります。

「かまど」で煮炊きをすると、冬場はそれも「暖房」の一部になるのですから夏は灼熱地獄になります。なので涼しい早朝と夕方以降には使いますが、昼間はとてもじゃないけど使えない。そういえば田舎のおばあちゃんも夏は夕方から夜にかけてしかかまどを使ってなかったことを思い出しました(既にガスコンロも使っていた)。

かまどでは、茹でる、煮る、蒸すは羽釜を使っていちどにたくさんできますが、オーブンは無い。そしてわたしは薪窯オーブンも欲しい。ガスのオーブンは高い、電気のオーブンは電気代が高い、だから薪のオーブン「も」欲しい。

「かまど」と「オーブン」。どちらにしても、生活空間に設置したら夏は灼熱地獄…で秋から春にしか使えないなんて、夏に食べたい素麺、いつ何時食べたくなるかわからないピッツァはどうするんだ!?と長期に渡り葛藤した結果、道路を挟んだ向かいの薪棚エリアにピザ窯を設えるべく、スペース作りを始めたのが今年の年明け。そこには今、古いレンガが敷き詰めてあって、その上に不定形の薪がゴロゴロと積み上がっています。

そんなこんなで屋内のかまどは諦め、屋外にピザ窯を設置することにしたのですが、今年の2月から4月にかけてうち(佐用のたまゆら堂)で開催した「竹細工合宿集中講座」を通じて思いがけず再会した和歌山時代の友人、花田氏が「愛農かまど」なるものの「伝承者」になっているというではありませんか。

「愛農かまど」、風のうわさには聞いていたけれど、古くからある土を盛り上げて漆喰で仕上げるかまどや、古道具屋でもたまにみかけるタイル張りのかまどとどう違うのか、よく知らなかったものが急に近づいてきました。

聞くところによると、一握りの「柴」でご飯、汁物、蒸し物が一気に調理できる、この上なく熱効率のよいかまどらしい。ふむふむ。

ということは、かまど本体が熱を帯びて、夏に灼熱地獄になったりしないのか…と聞いてみると、「その心配は無用」だというではありませんか!

これはいちど実物を見てみたい!と思っていたら、その「伝承者」の花田氏が参加している竹細工講座の能勢会場にある、と。3月に行って拝見させてもらったところ、見様見真似で自作した「似て非なるもの」でガックリ。

が、しかしGWに塩屋で友人、これまた伝承者のどーり氏が作るというのでのこのこでかけて参加してみるもよくわからず。ただ、非常に優れたもので日常使いに適しているからスペースがあるなら屋内設置がベストとのことで計画変更。屋内に設置する気になり、花田氏に可能かどうかを下見にきてもらいGoサインをもらう。

設置場所はすっかり物置と化していたので、片付けはなかなか大変でしたが家の中にデッドスペースは無いほうがよろしい。吸気して外に排気する装置がまた一つ増え、季節を問わず稼働することになれば、ますます家の中の気の流れも良くなるはず。そんな期待も込めて準備をしました。

かまどを設置するところはコンクリを打った土間なのですが、壁際で少し段差ができているのでその段差のところからレンガを積めるように土台を作り事前準備は完了。

そして、6月23日、24日、25日の3日かけて形ができました。

ご指導くださった伝承者の花やん、サポートに入ってくれたどーりさん、WSに参加して集中力を発揮して丁寧な作業をしてくれたなおこさん、しづちゃん、いりやまさん、感謝です。

モルタルが乾いて形が安定したら、金輪を固定し、煙突を付けて、約ひと月後に使えるようになります。

「火入れ式」は7月23日、10時半からぼちぼち。

ごはん、汁物、蒸し物、焼き物、お菓子、、、初めて使ってなにがどうできるのか、まったく未知の世界ではありますが、これから妄想しつつ、調べつつ、シミュレートしつつ、献立など決めよう。これまでガス火で焙煎していたコーヒー豆もかまどで煎るのだ。お湯もかまどで沸かすのだ。鶏やアヒルの丸焼き用の天板も準備しなくちゃ。

これで我が家から突き出す煙突の数は
薪ストーブの2本
ヒートベンチの1本
薪ボイラーの1本 の4本に加え
愛農かまどの1本で、合計5本になります。

工場でもないのに一般家庭でこれだけの煙突が出てる家もそう無いかと。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?