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秀華高校はどこにある?


1.きっかけ

アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」に出てくる秀華高校。
ぼっちこと後藤ひとりと喜多郁代が通っている高校ですが、外観などは横浜にある白鵬女子高がモデルとなっています。
しかしアニメでは、ぼっちが自宅から2時間かけて通学していることから、アニメにおける秀華高校の所在地は、別に設定してあるとみて良さそうです。

では秀華高校はどこにあると思いますか?

筆者の中では、アニメ最終話の放送日に結論が出ており、1年ほど前に上げた動画の中で、どこにあると考えているのか、またその理由も、簡単にですが答えています。


しかし人によって考えは様々ですね。
ファン同士のコミュニティで見たものには、下北沢にあると考えている人もいました。

いや、おかしくね?

下北沢だと片道2時間もかかりません。
ぼっちの自宅から金沢八景駅まで徒歩15分として、せいぜい1時間半です。
また第1話、第3話のぼっちの台詞からも、ぼっちが下北沢駅を最寄り駅にしていないのは明白です。

どこで下北沢にあると思うようになったんだろう?

そんな疑問がきっかけでしたが、この際、アニメで秀華高校がどこにあると設定されているのか、徹底的に検証してみようと思います。


2.下北沢にあると誤解を生んだ原因

①高校は学区制じゃない

秀華高校が下北沢もしくは下北沢のすぐ近くにあるという見解を生んだ原因は、おそらく第2話の虹夏の台詞ではないかと思います。

虹夏「あれ?ぼっちちゃん、秀華高でしょ?家ここら辺じゃないの?」
後藤「あ…いや、県外で片道2時間です」

ぼっち・ざ・ろっく!第2話

ここで疑問なのは、虹夏がなぜぼっちが下北沢に住んでると思ったのか?

小中学校なら学区内の公立に通うのが一般的であるため、学校名から住んでいる地域は、ある程度特定できます。
しかし高校では学区制は廃止されており、学校名を聞いただけでは、住んでいる地域は分からないはずです。

リョウや虹夏が通う下北沢高校は登場すらしてませんし、2人の通学手段も描かれてないけど、私の中では何となく徒歩通学できるほど近いのかなという印象です。

高校生の通学時間についても調べましたが、総務省の生活基本調査は、年度によって多少のバラツキがありました。
例えばコロナ禍の時だと、自宅待機やリモート授業で、通学時間が短くなるため、以下のサイトのように平均値を算出している方が信頼がおけると判断します。

総務省の生活基本調査によると、高校生の通学時間(往復)は全国平均で87分、東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏で見ると100分ほどとなっている。

都道府県別統計とランキングで見る県民性 高校生通学時間(往復)


②虹夏が勘違いした理由

ではなぜ虹夏が、ぼっちが秀華高校と聞いて、下北沢に住んでると思ったのか?
これには3つ理由が考えられます。

1つ目は、虹夏自身も秀華高校を受験していた場合。

秀華高校は原作の設定資料では私立高校となっています。
言っては何ですが、秀華高校はあのぼっちでも受かる高校です。進学校の下北沢高校と比べたら、かなり偏差値は低いでしょう。
それなら虹夏もスベリ止めに受験していた可能性はあるかもしれませんが、自分が受験したから、相手(ぼっち)の自宅も下北沢と決めつけるのは、少々強引というか不自然です。

2つ目は、知人が秀華高校に通っている場合。
例えば中学の同級生が秀華高校に進学していたら…。

原作の設定によると、秀華高校は制服が可愛いことで有名で、ここの制服が着たくて進学する女生徒もいるらしく、喜多ちゃんもその一人。
それなら虹夏の同級生で、秀華高校に進学した友人がいてもおかしくないが、秀華祭で訪れた際、リョウと虹夏の二人が中学の同級生と遭遇する描写はありませんでした。

となると3つ目、喜多ちゃんの影響によるものと、筆者は考えます。

ぼっちが加入する前の結束バンドのことは描かれていないので、想像にはなりますが、初顔合わせの時、自己紹介で喜多ちゃんが秀華高校なのは分かるはずです。
その際、自宅が下北沢近辺だと聞いたのではないか?(喜多ちゃんの自宅については、原作で下北沢駅から徒歩圏内であると描写されています)

つまり虹夏の頭の中には、喜多ちゃんの前例が刷り込まれていて、その結果、ぼっちも下北沢近辺に住んでいるという勘違いをしたのではないか。


3.秀華高校は下北沢にはない

①ぼっち自身の証言

秀華高校の所在地は下北沢ではありません。
それを証明するため、ぼっち自身の台詞を見てみましょう。

虹夏「ひとりちゃんは、下北はよく来る?」
後藤「あ…いや…」
後藤『こんな個性みなぎるおしゃれタウンに来れる訳ない』

ぼっち・ざ・ろっく!第1話

後藤「すみません。この街、まだ慣れてなくて…」

ぼっち・ざ・ろっく!第3話


仮に秀華高校の最寄り駅が下北沢駅なら、これらの台詞に矛盾が生じます。
特に第1話の台詞を見れば、ぼっちが下北沢に来たことがないと読み取れます。


②片道2時間の壁

中には秀華高校は下北沢でも外れの方にあり、最寄り駅は隣の駅を利用していると、主張する人がいるかもしれません。
そこで浮上してくるのが、最終話の放送に合わせて描き下ろされたイラスト。

ぼっち・ざ・ろっく!最終話記念イラスト

新代田駅の目の前の横断歩道を背景に、文化祭ライブの帰りと思われる結束バンドが描かれていました。

なら、秀華高校は新代田駅の近くにあるのではないか?

これについては私も考慮して十分に精査しました。その場合ネックになるのは、ぼっちの片道2時間という通学時間です。


乗換案内アプリで金沢八景駅から下北沢駅を検索すると、所要時間は1時間15分〜20分です。
これは、ぼっちが登校するのと同じ、平日の朝の時間帯で計算しています。
これに自宅から金沢八景駅までの徒歩15分を足しても1時間30分程度です。片道2時間には、あと30分ほど必要です。

Yahoo!路線情報

下北沢駅と新代田駅は距離にして500~600mしか離れておらず、電車なら時間にすれば1〜2分です。所要時間を言えば、下北沢と大して変わりありません。残り30分近い時間をどう説明するのか?
都心で30分も歩いたら、隣の駅どころか2駅先まで行けることもあるでしょう。


もう一つ、イラストでは南に向かって道路の左側(東側)を歩いています。
仮に秀華高校が新代田駅の近くにあるとした場合、まず南に向かって歩いているので、井の頭線より南側は候補から外れます。さらに、この道路は環状七号線という道幅の大きな道路なので、西側(横断歩道を渡った反対側)も同じく候補から外れます。

どういう事かと言うと、井の頭線の南側に秀華高校があるなら、反対の北側を向いて歩いていないとおかしい。また西側も同様で、学校が環七より西側にあるなら、道路の反対側(西側)を歩いていないと、つじつまが合いません。

そうなると北東エリアに限定されるんですが、東に寄りすぎれば下北沢へ歩いた方が早く、北に寄りすぎれば京王線の駅に歩いた方が早い。
せいぜい徒歩10~12分が限度で、片道2時間の問題をクリアできません。


では新代田駅のイラストは何だったのか?

秀華高校が新代田駅の近辺にあるなら、ぼっちの片道2時間の設定が崩れます。
かと言って意味のないイラストとも思えません。

答えは秀華高校がどこにあるかを探る、ヒントになる要素と組み合わせることで見えてきます。
このイラストの場合、新代田駅は最寄り駅ではなく、乗り換えに利用したと考えました。

片道2時間の設定を考察する際、電車と徒歩だけで考える人が多いのは少し意外でした。
首都圏、それも都心なら路線バスを利用した通学経路も考慮するべきです。


4.秀華高校の場所はどこ?

①筆者の結論

まずは筆者の考える秀華高校のおおよその場所、結論を述べます。その上で、秀華高校が下北沢にないことを更に証明しつつ、秀華高校の場所を考察、特定するための根拠を挙げていきます。

今回、このような手法を取るのは、秀華高校が下北沢にはないと推測できる描写はいくつもありましたが、逆にこの場所にあるという直接的な描写はありませんでした。
しかし片道2時間を始めとする、そもそもの設定や、ヒントになるいくつかの描写から、複合的にそれらの要素を掛け合わせると、一つの場所に集約されていった感じです。


アニメにおける秀華高校の場所は、杉並区立松ノ木児童遊園の近くだと考えます。そう、第1話でぼっちと虹夏が出会った公園の近くです。

第1話の公園の場面、ぼっちは放課後、下校途中に立ち寄った感じでした。

もし秀華高校が下北沢近辺にあるのなら、何故ぼっちはそんな離れた公園まで赴いたんでしょうか?
それとも松ノ木児童遊園も、アニメでは下北沢にあるという設定なんでしょうか?
どちらの場合も、時間的に矛盾が生じるため、間違っていると言わざるを得ません。それらを次で詳しく解説します。


まず仮に秀華高校が下北沢近辺、松ノ木児童遊園は現実のまま杉並区にあると仮定します。
この場合、ぼっちが学校からかなり離れた公園まで移動した理由が不明です。
さらに時系列の問題。

ぼっち・ざ・ろっく!第1話

虹夏に連れられてSTARRYに着いた場面です。時計は16:12を指しています。
高校の下校時間は学校によって異なるようですが、概ね15:20~15:50くらいでしょう。
秀華高校が下北沢近辺だとしたら、この日のぼっちの行動は、15:20下校→松ノ木児童遊園に移動(公共交通機関を利用しても30~40分)→虹夏とSTARRYに移動(同じく30~40分)すると、最短でも16:30くらいになるはずです。
画像の16:12には間に合いません。

それなら秀華高校も、松ノ木児童遊園も下北沢にあるという設定でしょうか?
確かにそれなら16:12には余裕で間に合うでしょう。しかしこの場合、片道2時間という、ぼっちの通学時間の設定を完全無視することになります。


②数字から見るぼざろの作り込み

時間について、そんな細かいところまで気にしなくてもいいのではと思う人もいるかもしれません。
しかし2023年2月14日に放送された「69号室の住人」で、アニプレックス音楽ディレクターの岡村弦氏が、「実際、対策めいたぐらいの完璧さがあって…(中略)…その次元で映像チームのCloverWorksから毎回、監修が来てた」とコメントしていました。

事実、一例として第2話のサイコロトークの場面を見てください。

ぼっち・ざ・ろっく!第2話 ライブの話
ぼっち・ざ・ろっく!第2話 ノルマの話

上の画像がサイコロトークでライブの話になった時の時刻で、下の画像がノルマの話になった時の時刻。
16:30→16:32に時計の針が進んでいますが、DVDを再生させると、ライブの話からノルマの話まで再生カウンターを見ると、ちょうど2分ほど時間が経過しています。

このように見えるところと数値化できるところは、かなり緻密に描かれているのがぼざろです。
なので片道2時間という設定も、秀華高校の場所もかなり作り込まれているとみていいと思います。


5.秀華高校が松ノ木児童遊園の近くにあることの証明

①時間軸(時系列)で証明する

ここからは筆者が主張する、アニメにおける秀華高校の所在地が、松ノ木児童遊園の近くだとする説を様々な角度から検証していきたいと思います。
一つ一つでは証明することはできなくても、すべてを複合的に掛け合わせると、最終的に松ノ木児童遊園の近くだと理解できるはずです。

第1話の公園からSTARRYへの移動手段、つまり松ノ木児童遊園から下北沢SHELTERへの移動ルートですが、主に3つ考えられます。
1つ目は、東京メトロ丸ノ内線、新高円寺駅から新宿駅で小田急線に乗り換えて下北沢駅というルート。
2つ目は、京王/関東バス〈高45〉に乗り、永福町駅で京王井の頭線に乗り換えて下北沢駅というルート。
3つ目は、都営バス〈宿91〉に乗り、新代田駅で京王井の頭線に乗り換えて下北沢駅というルート。

ルートについてはこれ以上、予測のしようがないですが、一応、どのルートで移動しても16:10までにSTARRYに着くことは可能です。


このSTARRYの特徴的な時計は、何度か描かれているので、見ていきましょう。

ぼっち・ざ・ろっく!第1話

第1話では、16:12にSTARRYに着いています。

ぼっち・ざ・ろっく!第2話 ライブの話
ぼっち・ざ・ろっく!第2話 バイト初日

続いて第2話。
ぼっちが結束バンドに加入して初めてのバンドミーティングでは、学校の話、好きな音楽の話を経てライブの話になった時の時刻です。
さらにバイト初日では16:10を指しています。

ぼっち・ざ・ろっく!第3話

そして第3話。
この日は放課後、喜多ちゃんを勧誘しようとしてたので、STARRYに来るのが少し遅くなったと思われます。

ぼっちは友達が一人もいないので、学校が終わったら放課後はすぐに下校していると思われます。
つまりは秀華高校を下校して、すぐSTARRYに移動したとしても16時過ぎくらいになる。
秀華高校は下北沢から、それくらい移動時間がかかるくらいには離れていることの証になります。


②喜多ちゃんの証言

次は喜多ちゃんの台詞に注目してください。

喜多「バイト先って下北沢だったのね」

ぼっち・ざ・ろっく!第3話

こちらの台詞から喜多ちゃんの心情をくみ取ると、ぼっちのバイト先が下北沢だったことを意外だと思っています。

なぜ意外と思ったのでしょうか?

ぼっちの性格から、下北沢でバイトなんて無理だと思ったから?
違います!意外に思ったということは、

ぼっちのバイト先がライブハウスと聞いて、下北沢が選択肢に浮かばなかったということです。

そもそも喜多ちゃんは、ライブ当日に逃げています。
ぼっちがライブハウスでバイトしていると聞いて、下北沢のライブハウスと思ったのなら、リョウと虹夏に遭遇する危険性を考慮して、ぼっちのバイト先にのこのこと付いて行こうとは思わないでしょう。
では、なぜ喜多ちゃんは下北沢が選択肢に浮かばなかったのでしょうか?


下北沢は古着屋、飲食店、ライブハウスや劇場が集まっていることから、若者の街、古着屋の街、ファッションの街、サブカルの街、音楽の街、演劇の街として有名です。

ここで、バイト先をライブハウスに限定して考察します。
下北沢はライブハウスが多く集まっている街だと言いましたが、都内でライブハウスが多く集積している場所と言えば、他には新宿、渋谷、高円寺あたりでしょうか。

秀華高校が下北沢もしくは新代田駅の近くにあるのなら、ライブハウスでバイトと聞けば、真っ先に下北沢のライブハウスを想像するでしょう。
それなのに喜多ちゃんは下北沢を除外していた、意外に思ったということは、秀華高校の所在地が下北沢ではないことを物語っていると言えます。

このように、喜多ちゃんの言動からも、秀華高校が下北沢にはないことが分かります。
私が聖地巡礼動画の中で、秀華高校の場所について、ぼっちと喜多ちゃんの台詞から、下北沢から少し離れたところにあると感じたと説明したのは、ぼっちの証言とこの喜多ちゃんの証言で書いたことが理由です。


逆に筆者が主張する、松ノ木児童遊園の近くに秀華高校があるとした場合、ライブハウスでバイトと聞けば、距離的に近い高円寺か、電車1本で行ける新宿を思い浮かべるのではないでしょうか。

新宿・高円寺ライブハウスMap

特に新宿は、劇中でも新宿FOLTが登場しましたし、モデルとなった新宿LOFT以外にも、有名なライブハウスがあります。

喜多ちゃんが、バイト先が下北沢と知って意外に思った、下北沢が選択肢になかったという事は、言い換えれば、別の場所が選択肢として浮かんだという事です。
第1話の公園、ぼっちが下校途中に立ち寄ったのも正しい。そして松ノ木児童遊園の場所も、現実と同じだとすれば、喜多ちゃんが下北沢を選択肢に入れなかった、意外に思ったことにも合点がいきます。


③虹夏の行動の背景

次は虹夏のライブ当日の行動を追っていきたいと思います。
前章で喜多ちゃんが、ライブ当日に逃げたと断言したのも、虹夏の行動を追うことで明らかになります。

虹夏は、第1話の公園の前を通りがかり、偶然ぼっちと出会いました。
あの時、虹夏は何をしていたのか?

喜多ちゃんが逃げてしまい、代わりのギタリストを探して、下北沢を駆けずり回っていたと考える人もいましたが、それは違います。
下北沢で代わりのギタリストを探すなら、駅前で探した方が簡単に見つかります。また劇中には出てきませんが、下北沢にはライブハウスが他にもたくさんあります。それらのライブハウスを回って声をかけるのもありでしょう。
下北沢であのような住宅街を歩いていること自体、合理性がありません。

わざわざ住宅街を歩いて、どこに向かっていたのかが重要なのです。

結論を言えば、虹夏の目的地は秀華高校と推測できます。
おそらくライブ当日になって喜多ちゃんが、
『結束バンドを辞める。今日のライブにも出れない』
と、LOINEで言ってきたのでしょう。
辞めるのは仕方ないが、今日のライブだけでも出てもらえないかと、慌てて秀華高校まで喜多ちゃんを説得しに行ったと考えるのが自然です。
しかし結局、喜多ちゃんには会えず、途方に暮れてSTARRYに戻ろうとして、公園でぼっちを見つけたといったところだと思います。

これが私の妄想だと言われれば、否定はできません。
しかし、それなりに根拠があって、そこから推測した結果です。


劇中には描かれていない、虹夏の一連の行動の背景を考察する上で重要なのが、以下のリョウの台詞です。

山田
「やっと帰ってきた」
「そう言えば店長が、時間まで練習しとけって。あと虹夏が勝手にライブハウス抜け出したこと、怒りながら買い出し行った」

ぼっち・ざ・ろっく!第1話

まず虹夏がSTARRYに戻った時のリョウの一言。
やっと帰ってきた」

『やっと』ってどれくらいの時間だと思いますか?
時間の感覚は人それぞれですが、決して短い時間ではないはずです。それなりに長い時間でないと、『やっと』という言葉は使いません。
今回は次のリョウの台詞から、少なくとも1~2時間くらいはSTARRYを抜け出していたと思われます。

「そう言えば店長が、時間まで練習しとけって。あと虹夏が勝手にライブハウス抜け出したこと、怒りながら買い出し行った」

この台詞からは色々なことが読み取れます。
店長(星歌さん)が何に対して怒っているか?

虹夏が勝手にライブハウスを抜け出したこと?
バイトをサボったことでしょうか?
この日のリョウと虹夏は出演者側なので、バイトは免除されています。開店してからも、ぼっちと3人で楽屋にいましたね。
店長(星歌さん)が何に対して怒っていたかは、『時間まで練習しとけ』と『勝手にライブハウスを抜け出した』の台詞から、リハーサルをすっぽかした事ではないかと思います。
まあ、高校生バンドのブッキングライブの場合、平日なら学校があってリハなんてできないので、転換期に音出しを行うだけの場合もあります。

店長(星歌さん)も以前はバンドを組んでいました。それもレーベルからスカウトが来るほど、人気と実力を兼ね備えていました。
そんな店長(星歌さん)だからこそ、リハの重要性は十分に理解してるし、すっぽかしたらどれだけの人に迷惑をかけるかも理解しています。
ましてSTARRYを立ち上げて、数年で人気のハコにしていることから、バンドを見る目だけでなく、経営者として厳しい側面もあるんでしょう。
それでも虹夏にはやっぱり甘い店長(星歌さん)なので、せめて時間まで練習しとけと、店長(星歌さん)のツンデレな部分が、この台詞からも読み取れます。

虹夏がリハをすっぽかして、ライブハウスを勝手に抜け出した理由は、もちろん喜多ちゃんが逃げたからです。
ただそれを当日に限定したのは、もし前日までに連絡があれば、姉の星歌さんに一言くらいあっても良かったはずです。
星歌さんに一言もなく、勝手にSTARRYを抜け出したことから、喜多ちゃんがライブ当日になって逃げた。そしてその事に相当焦った虹夏の様子が伺えるのです。


ライブ当日の虹夏の行動については、自分の考察に迷うこともありました。
この日は、ぼっちの登校や学校生活が描かれていることからも、平日なのは間違いないです。その場合、下北沢高校が休校日でないと、私の仮説は成り立ちません。

ここでカギとなったのは、リョウと虹夏の服装です。
原作は第1話は私服。第2話のサイコロトークは制服、初バイトは私服、第3話も私服でしたが、アニメでは、第1話だけが私服に改変されていました。

これは第1話は、下北沢高校は休校日だと印象付けるために、2話以降を制服に変更したのではないか。事実、対バンの娘達は制服を着てました。

学校が終わって帰宅して私服に着替える。
ライブハウスを勝手に抜け出して、公園でぼっちと出会い、ルートや区間は描かれてないが電車移動して、下北沢駅からSTARRYまで移動。
これらを下校してから16:12の間に行うことは不可能です。
となるとこの日、リョウと虹夏は学校が休みだったという以外、説明が付きません。


④ぼっちの通学ルート

次はぼっちの通学ルートを特定していきたいと思います。
ぼっちの自宅から最寄り駅の金沢八景駅までが徒歩で約15分として、金沢八景駅から下北沢までが約1時間15~20分で、片道2時間には全然足りません。
では筆者の考える、松ノ木児童遊園の近くに秀華高校があるならどうなるのか?
ですが、ぼっちがどのルートで通学しているかで所要時間は変わってきます。

ぼっちの通学ルートに関しては、いくつかの制限、しばりがあり、以下がそれです。

  1. 新宿駅は利用していない

  2. 下北沢を通るルート

  3. 京王井の頭線を利用している


ぼっち・ざ・ろっく!第10話

まず1番目の新宿駅については、第10話の場面で、ぼっちは拒絶反応を起こしており、新宿駅で乗り換えは無理と判断します。
正直、人混みの多さで言えば、横浜駅も渋谷駅も相当なもので、あまり変わらないだろうとは思いますが、さすがにそれを言ってしまうと、片道3時間くらいかけたルートじゃないと無理なので現実味がなくなります。
新宿は歌舞伎町のイメージが強く、キングオブ繁華街、夜の街の印象が強いため、陰キャにはハードル高いよねって事で納得することにします。

2番目については、メインの舞台が下北沢で、かつ下北沢のライブハウスでバイトするんですから、下北沢を通るルートでないと定期券が使えません。これは高校生にとっては比較的重要なことだと思います。
そして第5話、ぼっちがホームで電車を待っている場面では、
京王井の頭線のホームが描かれています。この事からぼっちが京王井の頭線を利用して通学していると思われます。

ぼっち・ざ・ろっく!第5話


以上のことを踏まえて、松ノ木児童遊園までのルートを考察します。考えられるルートは2つ。

  1. 新代田駅で都営バス〈宿91〉に乗り換えるルート

  2. 永福町駅で京王/関東バス〈新02〉に乗り換えるルート

実は聖地巡礼動画を製作した頃は、1のルートを通学経路と考えてました。
理由は最終話記念イラストで、文化祭ライブの帰りと思われる結束バンド4人が描かれていたため、ぼっちも新代田駅でバスに乗り換えるルートを利用していると考えたのです。
しかし今回、検証を深掘りしていった結果、現在は2のルートで通学しているのではないかと考えています。

松ノ木児童遊園の近くと言っても、どの辺りなんだろう?
ぼっちの徒歩ルートと第1話の虹夏の行動パターンを想像し、それに地図とバス停の位置、時刻表を当てはめて、ひたすら検証。
さらに最終話記念イラストとの整合性も考えると、おのずと絞られてきました。


6.最終結論

①秀華高校の場所とぼっちの通学経路

放送当時は、松ノ木児童遊園の近くというところまでしか考察してませんでしたが、今回はもう少し具体的な場所を割り出すべく、原作とアニメを改めて何度も観ました。
地図を見ると、松ノ木児童遊園の近くには杉並区立堀之内小学校と東京立正中学・高校があります。
様々な検証を行った結果、アニメにおける秀華高校の場所は、これらの学校の辺りと考えます。

理由は、ぼっちの徒歩ルートを推測する上で第1話の公園は、学校と最寄りのバス停の間にあるのが自然と考えた。
第1話で虹夏が秀華高校まで移動した経路は、本数の多い電車(小田急線→丸ノ内線)で移動したのでないか。
文化祭ライブの帰りのルートを推測して、最終話記念イラストと整合性が取れてること。


次にぼっちの通学経路ですが、京王井の頭線を利用していることから、渋谷で乗り換えは確定です。
あと横浜駅から渋谷駅まではいくつかルートがあるが、時間的に最も早く到着する湘南新宿ラインを選択。
井の頭線のどの駅で路線バスに乗り換えるかは、以前は新代田駅で都営バスに乗り換えるルートと考えてましたが、今現在は、永福町駅で京王/関東バスに乗り換えるルートではないかと思っています。

理由は、新代田駅から都営バスのルートでは、バス停から学校までの徒歩経路が、第1話の公園とは方向が全然違うこと。
一方、永福町駅から京王/関東バスのルートでは、バス停から学校までの徒歩経路のすぐ近くに第1話の公園があり、下校途中で公園に立ち寄ったとしても自然な感じがするからです。

以上を踏まえて、ぼっちの通学経路を以下のように推測しました。

Yahoo!路線情報 ジョルダン乗換案内
  • 自宅→〈徒歩〉→ 金沢八景駅

  • 金沢八景駅 →〈京急本線〉→ 横浜駅

  • 横浜駅 →〈JR湘南新宿ライン〉→ 渋谷駅

  • 渋谷駅 →〈京王井の頭線〉→ 永福町駅

  • 永福町 →〈京王/関東バス〉→ 大法寺前

そして最寄りのバス停から秀華高校までの徒歩経路ですが、下記の地図に示したルートがぼっちの徒歩経路、赤いエリアが秀華高校の場所と推測します。

ぼっちの徒歩経路(最寄りのバス停 → 秀華高校)


②秀華祭からの帰路は?

もう一度、最終話記念イラストを思い出してください。

ぼっち・ざ・ろっく!最終話記念イラスト

4人の服装と荷物、背景が夕方であることから、秀華祭の帰途の一場面であることは間違いないでしょう。

4人は下北沢に帰る途中なのか?
それとも近くで打ち上げを行うのか?

ここから先は推測というより、妄想や2次創作の部類になるので深くは言及しませんが、一応、駅の南側には居酒屋など飲食店があります。
また、新代田駅から井の頭線で下北沢駅まで移動するのか、それとも下北沢まで歩くのか?
下北沢までは徒歩10分もあれば行けるので、歩けない距離ではないです。
電車移動なら、4人が正面を向いて(改札に向かって)ないとおかしいと思う人もいるかもしれません。


このイラストで重要なのは、南に向かって道路の左側(環七の東側)を歩いていることです。
この事については、②片道2時間の壁のところで、秀華高校が新代田駅の近くにないことを説明しました。
もう一つ道路(環七)の東側を歩いている必然性があり、それが4人の秀華祭からの帰路ルートなのです。

秀華祭からの帰路

今回、筆者が考察したアニメにおける秀華高校の場所。
松ノ木児童遊園の近く、杉並区立堀之内小学校や東京立正中学・高校の辺りが、アニメにおける秀華高校の場所という仮説が正しければ、秀華祭の帰路は地図に示したバス停「堀ノ内」から、都営バス〈宿91〉で「新代田駅前」で降車。
車は左側通行なので、当然、環七の東側で降車し、そのまま新代田駅のある南に向かって歩くことになります。

秀華祭からの帰路ルートは、新高円寺から新宿経由で下北沢に移動していたら、このイラストは存在し得ません。
新代田駅の前、それも環七の東側を歩いている4人が描かれたことで、都営バス〈宿91〉を利用したことが読み取れます。

秀華高校が存在するであろうエリアをしぼる時、堀ノ内停まで歩くのも、新高円寺駅まで歩くのも時間的には変わらないか、わずかに堀ノ内の方が近い場所を探しました。
理由は新高円寺駅に近ければ、バスを利用するより電車移動した方が早いため、駅に近くなりすぎないことが絶対条件でした。
もちろん松ノ木児童遊園とぼっちの通学徒歩経路も考慮した上でとなると、地図に示した赤い丸エリアしかありませんでした。
ここなら堀ノ内にも、新高円寺にも徒歩での移動時間はほぼ同じなので、時と場合によっては電車ではなく、バス経路をアプリがおすすめしてくることもあるでしょう。


秀華祭が開催されたのは10月1日と2日。
文化祭ライブは10月2日になります。
アニメが放送された2022年は、10月2日は日曜で、リョウと虹夏が他校の文化祭に来てて問題ないよう描かれています。
秀華祭における体育館ステージのタイムスケジュールは、下の画像の通りです。

ぼっち・ざ・ろっく!第12話

出演者の持ち時間は30分になっています。
セッティングや音出しなどがあるため、演奏時間は実質15分くらいになるでしょう。
タイムスケジュールを見ると、最後の出演者が15:00~になっているので、文化祭ライブの終了時間は15:30。その後片付けやらで、帰路に就くのは16:00過ぎ~16:30くらいになると思います。
時刻表を確認すると、堀ノ内発16:17と16:42があり、新代田駅に着くのは16:30か17:00くらいになります。

2022年10月2日の日没時間が17:30くらいなので、最終話記念イラストの空の明るさから、16:30~17:00くらいを想像してたので想定内ですね。


③第1話の虹夏の徒歩経路

ここまで様々な角度から検証してきました。
それでも唯一、私の中で明確な答えを出せずにいる問題があります。それが第1話における虹夏の徒歩経路です。

第1話の虹夏の行動を推測していくと、喜多ちゃんから突然「結束バンドを辞める。今日のライブにも出れない」と言われ、慌ててSTARRYを飛び出し、秀華高校へ喜多ちゃんを説得しに行ったと考えるのが、最も自然でしっくりきます。
そしてその際の移動手段は、電車だと思っています。

理由は、当然バスの方が1時間当たりの本数は少ないこと。
また系統のバスに乗るには、どのバス停か探さなければならず、土地勘のない場所では電車の方が確実性もあって早いと思うからです。

なので新高円寺駅から徒歩で秀華高校に向かったと考えて、推測されるルートが下の地図の青い点線です。

虹夏のルート

ここから、どうやって松ノ木児童遊園の前を通ることになるのか、その理由が見い出せないのです。


一つ考えられるのは、学校の正門が西側にある場合です。
その場合、学校の北側を通り西側に出ると、ぼっちの徒歩経路に出ます。そして帰りはぼっちの徒歩経路を通って駅方面に向かったと考えられます。
しかし、それでも虹夏が松ノ木児童遊園の前を通ることにはなりません。

もう一つ考えられるのは、この辺りは道幅が狭く、土地勘のない人間には分かり難いことです。
私も聖地巡礼した際、Google Mapのナビ機能が現在地を見失い、信号や横断歩道の交差点を左折といった感じで、目印のあるルートを選んだにもかかわらず、道を間違えました。
特にぼっちの徒歩経路と推測した、バス停から寺院の中を通り抜けるところは、人2人分ほどの道幅しかなく、まして寺院の中を通り抜けれるとは思えませんでした。

虹夏も道を間違えたか、通り抜けれるとは思わず、迂回ルートとして公園の前を通ったとも考えましたが、さすがに少し強引すぎて説得力がありません。

虹夏が松ノ木児童遊園の前を通る合理性のある理由、それだけが、筆者の中でどうしても答えを見つけられずにいる問題で、これについてはもう少し考察をしてみようと思います。


7.最後に

今回の記事は以上です。
秀華高校の場所については、下北沢およびその近辺にはないことは、アニメでヒントがいくつも描かれていたので、今回証明することができたと思います。

具体的な場所や、ぼっちの通学経路についても、与えられたヒントを元に、できる限り詳細に推測してみましたが、いかがだったでしょうか?

今回の記事については、動画にしてYouTubeに上げる予定なので、長文を読むのが苦手な方は、今しばらくお待ちください。

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