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介護シーンにおける『ネガティブな感情の発生原因』

おれ、なにを怒っているんだろう!?
介護されているご家族、またはケアのご担当の方、ふと思ったことはありませんか。
そして、そのあとにくる「強烈な自己嫌悪」。
感じませんか。
そんなケアサポート環境におけるネガティブな感情を少しでも削減できるように、このコーナーでみなさまと智慧を共有させていただけたらと思います。


私は現在ケアサポートについてのコンサルティングを行っていますが、何より私自身が家族介護者のひとりでもあります。
社会福祉士として、生涯学習上級コーディネーターとして、ケアサポート環境に関わる「学び」を基本に情報をシェアさせていただけたらと思います。


第一回目の今日は「ネガティブな感情の発生」についてです。
この感情はケアされている方に限らず、われわれ健常者(あまりこういう表現は使いたくありませんが)でも同じでしょう。
みなさまはどうでしょうか。
日常生活の中でもよくありますよね。


一般に心理学者のプルチック氏は、
人間の感情を「喜び・信頼・怒り・悲しみ・恐れ・嫌悪・驚き・期待」の8つに分類しています。
それを色相環のようにグラデーションであらわした「プルチックの感情の輪」は、管理職研修などでもよく用いられておりご存知の方も多いのではないでしょうか。


大切なのは、その感情にいたる背景であると思います。
特に、怒りや悲しみ、嫌悪などのネガティブな感情は、まず自分自身を俯瞰して考え、なぜそういう感情にいたったかを正しく理解してみることが必要であると思います。
例えば、私は家内を介護しています。
かなり重度でADLもままなりません。特に排泄や嚥下にはこれまでもずっと頭を悩ませています。
それが1か月くらい前から、なぜか症状も比較的落ち着きはじめ、いわゆる小康状態となっていました。
が、それもつかの間先週くらいからもと通りに。
またまた失禁が続き、そして食事をすれば嘔吐。
さらに、あれやこれやと次々に発せられる意味不明なサポートの要求・・・・・・・・。
そんな状態の中「落胆」を通り越して、久々に「怒り」がよみがえりました。
思わず出てしまう罵声。
そして冒頭にもあらわした自己嫌悪につながるのです。

ただ、今回は私自身が少し「大人」になっていました。
ちょっと冷静に考えることができました。
まさに
『おれは何を怒っているのだろうか』ということです。
その結果、自分自身の中で次のような結論に至りました。
・家内の症状に「右肩上がり」の発想があったのではないか。
・「小康状態が常態」と感じていたのではないか。
つまりこうした思いが怒りの背景にあったのではないかと。
こうした思いが正しいのか、間違っているのかはわかりません。
ただ個人的には、ケアの現場に正解はないと思っています。
「最大公約数(一般的に共通する傾向の強い)」的なアプローチとして参考になるものはあっても、「最小公倍数(実際に自分のおこなっているケア)」的には100%正しいといえるものはないと考えていますから。

「理想と現実のギャップ」。
これがまず第一のポイントであると思います。
これがネガティブな感情を引き起こす大きな要因であり、ここを正しく理解することが重要になると思います。
ならばそのギャップを埋めるためにはどうするべきか。
その点は次回、共有させていただいたらと思います。
ポイントは「理想」を因数分解することであり、「現実」を多面的に捉えることです。
そんなお話をさせていただければと。
文としてあらわすのは簡単ですが、実際のケアの現場でご苦労されている方々にとっては
「だから何なんだ! もったいぶらずに早く結論を言え!」と言いたいところだと思います。
が、あえてここはぜひ皆さんとともに、お互いのケア環境を俯瞰しながら、一緒に学んでいくことができたら幸いに思います。
ありがとうございます。

介護サポートコンサルタント  たなかよしもり


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