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DUNE/デューン 砂の惑星。大好きだったに違いない友へ。

学生時代、フランク・ハーバートの6部作に魅入られた。ヴィルヌーブにも触れられていた"経験"と言う概念に深く共振した為だ。哲学専攻で、アメリカ科学哲学だったが、プラグマティズムのウィリアム・ジェイムズが卒論だった。まさに、根本的経験論。ハーバート論は一切読んでいないのでわからないが、DUNEは、神秘主義的な側面も強烈だが、思考法がまさにプラグマティズムそのものだ。陰謀の中の陰謀の中の陰謀とか大好き。銀河英雄伝説を読む事が民主主義と王政、独裁について考えることになる様に、DUNEは、長大な6部作の中で、政治や社会、生き方、思想について考えさせられる。圧倒的に影響を僕は受けている。
映画の方だが、ヴィルヌーブ版は、途中で、あ、これは最後までいかないな、と。リンチへも、イーノへもリスペクトが強いが、ブレードランナーや、過去作同様にヴィルヌーブ節になっている。独特にリズム感と質感こそが彼の世界を感じさせる。しかし、逆にリンチ版のよく批判される構成は、ラウレンティスの介入などがあったとしても、めちゃよく出来てたんだな、と改めて知らされた。特に、あの奇跡のキャスティングはリンチ版を超えられないな。例えば、シルヴァーナ・マンガーノの教母をシャーロット・ランプリングがやってるが、彼女ですら勝てない。ダンカンだけはアクアマンの方が良い!
美術は、ブレードランナーのシド・ミード同様、宇宙船やブレーメンのスティルスーツなど、リンチのデザインをかなり踏襲しているが、例えば、アトレイデス家の軍服は、リンチ版の緑の軍服の方がすごい好き。リンチは本気で異形のものを愛しているので、エレファントマンでミスリードされたが、彼の中にはポリコレ的なものは皆無なので、完全にハーバートの世界と共鳴している。
しかし、リンチ版で残り3分の2が残っているので、ここからどうなるか。リンチ版はここからのカタルシスが半端ない。ポールの妹、アリアはダンカン同様、このタイガ小説のキーマンなのだが、彼女のエクスタティックなシーンが忘れられない。
砂の惑星自体がカルト的に祀り上げられるよりは、これほどのハイクォリティで世界的に話題になるのは嬉しい。このお陰でようやく一部分電書化されたが、是非全てをデジタル化してほしい。

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