佳月みのり

はじめまして。佳月(かづき)みのりと申します。 小説を書くのはこれが初めてで、尚且つほ…

佳月みのり

はじめまして。佳月(かづき)みのりと申します。 小説を書くのはこれが初めてで、尚且つほとんどノンフィクションという恥ずかしいものですが、皆さんにどうか楽しんでいただけたら嬉しいです。 今後ともどうかよろしくお願いいたします。

最近の記事

「恋焦がれる魂」第十一章 融ける

   彼は「セックスは五感全てを使ったコミュニケーション」だと言う。本当にその通りだと思う。特に触覚。繋がって密着している部分は、もう皮膚というより、細胞の一つひとつが会話しているような気さえする。そしてその感覚を私達は共有する。この感覚の常時共有は、まるで融け合うような一体感で、心の底から「一つになってる」と思える。こんな感覚は、他の誰とも感じたことがない。     私達は、スキンも要らない、ヘアも邪魔、ということで、お互いVIOをツルツルにしてしまった。するともう、奥まで

    • 「恋焦がれる魂」第十章 悦ぶ

          私はずっと、「誰かの喜びが私の喜び」だと思ってきた。他の誰かを喜ばせるためなら、喜んで自分を犠牲にした。息子がいい例だ。     でもある時、ふと 「じゃあ私自身の喜びは?」 という疑問が浮かんだ。すると、 「彼に抱かれること」 と即答した私がいた。     そうだったのか......!自分の答えに自分で驚いた。いや、驚くどころか、考えてみれば至極当然のことだった。それを彼に言うと、彼は、 「誰かの喜びが自分の喜び、私もそう思ってきました。でもその誰か、が自分orあな

      • 「恋焦がれる魂」第九章 愉しむ

            私達は、お互い相手を真面目で初心(うぶ)な人だと思っていた。初めて繋がるまでは。でもそれ以降、お互いに、意外とエッチだということを知った。それも、かなり。そして、同じくらい。     経験的にはかなり差がある。私は20人以上だけれど、彼は「素人はカミさんと貴女だけ。プロでも一桁」だと言った。だが、とてもそうは思えないほど、彼はエッチに貪欲だった。そして私も、その彼に 「こんなにエッチに貪欲なパートナーと出逢えて、一緒にエッチを追求できるのが、めっちゃ幸せ」 と言われる

        • 「恋焦がれる魂」第八章 求める

           彼と繋がってから十ヶ月が経とうという頃、私の精神が極めて不安定になった時期があった。双極性障害の症状で言えば、混合状態だ。躁と鬱がないまぜになって混乱する。私の場合は、息が苦しくなって、パニック発作を起こす。涙と叫び声と嗚咽が止まらない。「ジプレキサ」という頓服を飲めば、だいたいは治まるが、治まるまでとても苦しくてつらい。     そんな発作が頻繁に起こるようになり、私は彼を求めてしまった。彼しか救いがなかった。狂おしいほど逢いたくて逢いたくて堪らず、その頃は月一で逢ってい

        「恋焦がれる魂」第十一章 融ける

          「恋焦がれる魂」第七章 運命(さだめ)る

              私が彼を「魂の片割れ」と認識するようになったのは、彼が私の最奥に届いた時からだ。     その日のセックスは凄かった。彼が突いてくる度に、私の身体は開いていき、開いて、開いて、ついに最奥の扉まで開いた。その瞬間光が差し、私は、私自身でさえ知り得なかった最奥に、彼が触れたのを感じた。おそらくそれが、私の魂だったのだ。ずっと真っ暗な闇の中で、孤独に震えていた私の魂。それが、彼に扉を開かれて、直接触れられたことで、光を放ち始めた。そんなことが出来るのは、魂の片割れ以外にいな

          「恋焦がれる魂」第七章 運命(さだめ)る

          「恋焦がれる魂」第六章 溺れる

              それからの二人は、まさにセックスに溺れた。月に一度ほど逢い、逢えば二度、三度と繋がる。そんな逢瀬が続いた。     最初は、ちゃんとスキンを着けていた。だが三回目くらいの時、二回戦の初めに、彼が「ちょっとだけ……」と言って生で入れた。すると入れた瞬間お互いに電撃が走り、二人揃って官能の溜め息が漏れた。初めて繋がった時と同じように、それは理性を吹っ飛ばしてクラクラくるくらいの快感だった。私は思わず、 「なんでこんなに気持ちいいのぉ?」と言ってしまい、その声と台詞がまた彼

          「恋焦がれる魂」第六章 溺れる

          「恋焦がれる魂」第五章 繋がる

          第五章  繋がる    一緒に 湯浴みしてからというもの、私の煩悶はより深くなった。彼と一つになりたくてたまらない。一線を超えてしまいたい。でも彼はどう思ってるんだろう?毎日毎日、それでぐるぐると悩んだ。    そして4月にもう一度一緒に湯浴みして、また抱き合ってキスした時、その想いは頂点に達した。その時も生理でタンポンを入れていたので、一線は超えられなかったのだが、もう入れて欲しくてたまらなかった。どう言ったら抱いて貰えるだろうかと、毎日そればかり考えた。     そんな日

          「恋焦がれる魂」第五章 繋がる

          「恋焦がれる魂」第四章 解れる

          第四章  解れる  その後もコロナ禍は続き、彼は総務で鬱が再発。逢えない状況が続く。   それでも毎晩のLINEは続いていた。他愛ない話から、お互いの想いまで。   想いは錯綜したが、二人とも、キスしたい、触れたい、湯浴みしたい、という願いは同じだった。   それはもう、抑えることが出来ないほどの渇望になっていた。   そんな時、彼は再発した鬱により、再び休職になった。 「逢えるかも!?」 にわかに願望が実現する機会が現実味を帯びてきた。私は浮き足立った。それでも彼の気持ち

          「恋焦がれる魂」第四章 解れる

          「恋焦がれる魂」第三章 悶える

           第三章    悶える    彼はそれからも、電話で何度か、 「今度はもっとくっついちゃいましょう」 と言った。私の心は、その度に揺れ動いた。 「この前、目一杯くっついたよ?あれ以上って?キスとか……望んじゃってもいいわけ?」 告白の時のメールに、「これ以上はない」と書いてあったのを思い出し、困惑する。     彼はいったいどういうつもりなんだろう?キスとか、もしかしてそれ以上とか、考えてるんだろうか……。私は煩悶した。彼の意図が、気持ちがわからなかった。    12月に入っ

          「恋焦がれる魂」第三章 悶える

          「恋焦がれる魂」 第二章 触れる

          第二章  触れる    そこから次に再会するまでには、さらに4年の月日が流れる。彼は出張のない部署に異動になって、東京に来る機会を失ってしまい、私は私で日々の生活に追われていた。     LINEやメールのやり取りも、あまり頻繁だったとは言えない。     だが、二人が両想いであることは、二人ともにとって、ずっと心の支えになっていた。     3年くらい経った頃、彼の話す内容がだんだん変わってきた。仕事がキツいようだった。彼独特の軽妙な語り口で書いてあっても、どこかネガティブ

          「恋焦がれる魂」 第二章 触れる

          「恋焦がれる魂」第一章 恋する②

          第一章  恋する  ②    品川プリンスホテルのカフェで真向かいに座った彼を見て、私はドクンドクンと激しく拍動する胸を必死で抑えていた。     18年ぶりに見る彼は、確かに少し老けはしたものの、あの頃と変わらず、私にとっては「王子様」だった。しかも、彼は私にスッと花束を差し出したのだ。それはそれはスマートな物慣れた仕草で。   「もう最高!」 私の目は完全にハートになり、鼓動はさらに高まった。私が赤面症だったなら、耳まで真っ赤になっていたことだろう。残念ながら私は顔には出

          「恋焦がれる魂」第一章 恋する②

          「恋焦がれる魂」第一章 恋する①

          この物語は、「私」と「彼」との真実の恋の物語です。 彼に恋した瞬間から、徐々に愛を深めていくまでの軌跡を、「私」目線で描いています。 願わくば、あなたにも、私の想いを分かち合っていただけますように……。 第一章  恋する    39歳の初夏のこと。     その日、私は、心臓が飛び出しそうなほどドキドキしながら、品川駅の時計台の下に立っていた。18年間密かに想い続けた、「心の恋人」との初デートのために。     ふっと後ろを振り向くと、彼がいた。グレーのスーツを身に纏って、

          「恋焦がれる魂」第一章 恋する①