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手抜きは悪ではない、むしろ善だ

会議の合間にお手洗いでLINEを開くと、夫からコロナに罹患したことの報告が入っていた。そういえば先日、ワーカホリックのやたら咳き込む上司と終日一緒だったらしい。


翌日はわたしの6年ぶりのゴルフの予定があり、この日のために、毎週近所の鳥かごのような打ちっぱなしに通い、ほとんど行かなくなっていたチョコザップで走り込み、今の体型に合うウェアを新調し、劣化してボロボロになっていたパターのグリップを交換していた。要は楽しみだった。

にもかかわらず、周囲には散々ゴルフが嫌なそぶりを撒き散らしたのでバチがあたったのだろう。病人に子守をさせるわけにはいかない。一緒にラウンドする予定だった上司に行けなくなった旨を報告、謝罪しつつ、すぐに在宅勤務へ切り替えて夫の待つ家へ帰宅した。

家庭内のパンデミックを防ぐため、夫を個室に隔離させた。子ども二人を見ながら、テレワークしながら、毎食家族全員の食事の準備をする生活だった。ザ・ワンオペの極みのような生活で、買い物するか、料理するか、片付けるか、そんなエンドレスループで気が狂いそうになったのは言うまでもない。

しかし、平常運転に落ち着きつつある今だから気付いたことがある。わたしは、あの期間、アドレナリンが出ていた。料理はなるべくしたくない面倒くさがりな性格である。にも関わらず、毎食ほぼ手作りで準備していたのだ。

なぜだろうか。
家族が病気で苦しんでいるんだから、手作りで栄養管理をしたかったのかもしれない。しかし、手作りイコール栄養管理できてるとは言いがたい。そもそも、家族は本当にそれを望んでいたのだろうか。オール手作りは、わたしの自己満足だったのではないか。


まだまだ、手の抜きどころが分かっていないようだ。

手抜きするところで手抜きをする。そうすれば、ここぞと言うときに踏ん張れる。アドレナリンの言いなりになって常に踏ん張ると、いざという時に動けなくなってしまう。異常事態の時は、今日やらなくてもいいことは後回しでいい。

そんな学びを得たケア労働週間だった。


後日談だが、わたしが行く予定だったゴルフは予定通り決行されたものの、猛暑のためほとんどのメンバーが熱中症になったそうだ。夫には感謝しなければならない。


おしまい

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