【薬学生向け】分かりやすいインクレチンの話
インクレチンとは
インスリン分泌を促進するホルモンのことです。
食事摂取をきっかけに小腸から分泌され、膵臓にインスリンを分泌するよう促します。
グルコースの濃度が高い場合のみ、分泌されるホルモンなので、食後高血糖を防いでいるという訳です。
2種類のインクレチン
インクレチンにはGIPとGLP-1の2種類があります。
どちらも主な作用はインスリンの分泌を促進することですが、分泌部位やその他の作用が少しだけ異なっています。
まず分泌部位ですが、GIPは上部消化管(十二指腸、空腸)に存在するK細胞から分泌され、GLP-1は下部消化管(回腸、大腸)に存在するL細胞から分泌されるといった違いがあります。
次に作用ですが、下記のようになっています。
〈GIPの働き〉
グルコース濃度に依存して、インスリンの分泌を促進
グルカゴンの分泌促進
脂肪やカルシウムの蓄積作用
〈GLP-1の働き〉
グルコース濃度に依存して、インスリンの分泌を促進
グルカゴンの分泌抑制
食欲抑制、肝臓でのグルコース取り込み増加、グルコース産生抑制など
インスリン分泌促進までの機序
インクレチンがインスリンの分泌を促進させる過程をもう少し詳しく説明したいと思います。
①インクレチンは膵β細胞上のインクレチン受容体に結合
②膵β細胞内のcAMP濃度を上昇
③膵β細胞内でのCa²⁺濃度上昇後によりインスリンが分泌されるまでの反応
を促進させる。
※補足
③にある膵β細胞内でのCa²⁺濃度上昇はグルコース濃度が上昇したことで引き起こされる反応です。
これがインクレチンの作用がグルコース濃度に依存している理由です。
インクレチン関連薬
2型糖尿病治療薬の中には、こうしたインクレチンの作用を利用したインスリン分泌促進薬も存在します。
DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬の2つです。
インクレチンの作用は血糖依存的であるため、他の糖尿病治療薬にみられる副作用の1つ、低血糖が起こりにくいといった利点があります。
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