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ダディ・ロング・レッグズを観たら語彙を失った件 その2

こんなに長くなると思わなかった。
酔いは醒めてしまったけど、酔ってた時に書き散らしたメモをもとに。

単なるオタクの戯言なのでまとまりなどない。

人嫌いでコミュニケーション苦手…でもジルーシャからのお手紙読むうち、すっかり気に入ってその動向が心配で仕方ない。
そんなジャービスぼっちゃんとジルーシャの関係は、なんだか少女漫画を読んでいるようでにやにやしてしまう。 

やだ…赤い実はじけちゃう…(これわかる人いるんだろうか?)

ジャービスぼっちゃん…長い足、素敵な目の色、その反面おいおい…なところもあって、こんな人間味溢れるキャラクターだったかしら。
芳雄さんが時にコミカルに、時に切なく演じていく。
かめはめ波は反則だろう笑

大学の長期休暇にあたり、孤児院へ手伝いのため戻されてそうになったジルーシャを、自分が幼少期過ごした牧場に招待、滞在させたり。
我慢できずに友人の叔父のジャービスとして会いにいったり…ロックウィローの話や読んだ本の話で盛り上げる、てかジルーシャはジャービスが自分が読んだ本全部読んでる!って喜ぶけど、だって…ねぇ、ぼっちゃん笑

とにかく悋気を起こしては、タイプライターを駆使して、あれやこれやとジルーシャにちょっかいをかけたり、空回るジャービスぼっちゃんがかわいい。ちょっと束縛が過ぎるのでは?と思うこともあったけど…

もう40超えたおじさん(失礼)が演じてるんだよね、すごいなぁ芳雄さん。

パリ旅行のくだりは、本当に笑ってしまった。

一方、涙が溢れて仕方なかったのは、ジルーシャの卒業式のシーン。
入学したときは追試をとる科目もあったのに、成績優秀者になっていたジルーシャ。
自分とは会わない約束だけれど、家族のいない自分の父兄としてどうかどうか卒業式に参加してくれないか、と切ない手紙がジャービスのもとへ届く。
けれど、名乗れないジャービスぼっちゃん。
結局、ジルーシャの父兄席は空っぽだった。
真綾さんは、哀れなジルーシャ、を歌っていたと思う。ちょっとこの辺あいまい。

ジュリアの父兄として、卒業式に参加していたジャービスぼっちゃんは、いるよ、観てるよ、君の目の前にいるよ、と歌う。

同じ場面で2人が別々に心情を吐露する歌が、辛い。
どっち聴けばいいの…まじほんと開けわたしの第三および第四の耳。


頑なにジルーシャの前に姿を見せないMr.スミス。
ジャービスぼっちゃんも自分の正体を明かす勇気なく葛藤する。
3分の2くらいは、自分のついた嘘のせいだけど。
そんなことつゆ知らないジルーシャは悲しい。そうだよね、初めての家族みたいに思ってる存在、から完全に無視されてるようなものだもの。
ジャービスぼっちゃんが正体を明かせない理由の残りの3分の1は、あくまでこれは慈善活動、チャリティだから。ジルーシャとMr.スミスは対等の関係ではないから。そんな状態では彼女に会えない。
ううう…確かにな…関係が歪になるかもだよね…うううう。
チャリティーの歌詞が切ない。

そして物語は進み、ある時、ジルーシャからの手紙に小切手が同封されていた。
ジルーシャは夢叶えて、小説家になり、これまでの支援の返還を申し出たのだ。
手紙にはまだ続きがあって、残りの支援については分割で返済すること。
そして、Mr.スミスへの返済が終われば、著作権料は全て孤児院へ寄付することが書かれていた。

そう、彼女は孤児院の理事になるのだ。

ここで、私の涙腺はバーストした。

わたしが理事になれば、わたしと顔をあわさなければならなくなりますね。

こんな手紙の一文をジャービスぼっちゃん(芳雄)が読み上げる。

ジルーシャ…わたしだったら絶対へそ曲げるよ…卒業式だって来てくれなくて…でも貴女はそこまでMr.スミスを追いかけるのね。
人嫌いの…老人…ハゲ頭の…(ジルーシャはそう思っています)。
ジルーシャの真摯さに胸打たれる、完全に個人的な好みだけど、この辺りの展開が素晴らしく好き。

なお、この手紙の内容はジャービスぼっちゃんにも朗報だった。
彼女と対等な立場になれる!
ジルーシャが夢を叶えたこと、自分の選択眼が間違っていなかったことを誇らしく思い、喜んだ後、ジルーシャとの関係が変わることについても喜ぶジャービスぼっちゃん。
よし!そのまま正体を明かしにいけ!GOGO GOGO!!!
なんてゆう私の気持ちは踏みにじられ、用心深いジャービスぼっちゃんは、その前に確認すること一つ…とジルーシャのもとへ走ります。
なんだよ確認することって?

そしてジルーシャにジャービスとして求婚(Mr.スミスのことは伏せたまま)、見事振られるぼっちゃん。
そのあと、落ち込むぼっちゃんのところへ、ジルーシャからMr.スミスに宛てた手紙が届く。
悲痛な、助けを求める手紙が。

Mr.スミス=ジャービスぼっちゃん、てことを知らないジルーシャは、ぼっちゃんのこと大好きだけど、自分がみなし子で孤児院で育ったことを言えず、ぼっちゃんからの求婚を断ったのだ。

ジルーシャ、怖かったね。
言えないよね。
わざわざ辛い思いなんてだれもしたくないよ、わかるよ。
ジャービスぼっちゃああああん!お前おまえおまえ!!わかるけどおまえ!!!
もうここは野暮だけど、ジャービスぼっちゃんのネクタイひっつかんでがっくんがっくん揺らしながら「はよ!僕がMr.スミスです!てジルーシャに言うてこい!ほんでもっかいプロポーズしてこい!!!」って言いたかった。オファーが来てたら全力で演った。

ここから2人はきちんと顔を合わせて、話し合い、幸せになっていくのだけど、とにかくとっくに涙腺は崩壊しているのに、時折見せるジャービスぼっちゃんのコミカルな演技と情けない姿に笑って、泣いてまた笑って泣いて…。

お互い、自分を、自分の心を守るための嘘のせいで、すれ違ってしまった2人。


単純なマイフェアレディや源氏物語ではない。当時の時代背景的に違和感なく、でも陳腐でもなく。とても良い演出だったと思うし、ジャービスぼっちゃんの(心の)成長物語でもあったと思っている。

チャリティー、どっちが与えてたんだろう?
劇中で何度かそうぼっちゃんは歌っていた。
そうだね。
ジャービスぼっちゃん、貴方もジルーシャから沢山のものを貰ったね。


そして、なにより歌う井上芳雄

そう、貴方のその姿が観たかった。

遠慮のない力強い声で。
高らかに歌いあげる。

かみさま、ありがとう

一人スポットライトを浴び、歌う姿を観たときは、腹の底から感動で震えた。


全編を通して、ものすごく丁寧に細かく作られていて。
2012年の初演以来、再演を繰り返している(とHPに書いてあった)らしいけど、愛される理由がわかる。

観劇後、じんわりと暖かい気持ちになる、そんな素敵な舞台でした。

またぜひ。

再演を。

いつまでも待っています。


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