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わたしのキャリア ~転勤族編~

 結婚するとき、決めたことがある。夫の勤める企業は全国転勤がある。いつ辞令が出るかわからない。せっかく2人で暮らす選択をしたのだから、何があっても共にいたい。どんなときでも苦楽を分かち合いたい。そう考えて、単身赴任という選択肢を除外してきた。

 夫は新しい環境に慣れるまで、時間がかかるタイプだ。転勤後、最初の1年は、夫を支えるのが私の仕事だった。自分のことは二の次。夫が職場に慣れ、健康で良い仕事ができるよう気を配り、安らげる家庭を作ることを心がけていた。

 そんなわけで、私のキャリア形成は後回し。夫の転勤のたびに私は退職するわけだから、正社員の選択肢はない。いかに企業に迷惑をかけずに働くのかを考え、責任の少ない非正規職を選んできた。年齢を重ねるごとに求人が減っていくことを考え、常にスキルアップをし、資格取得にも励んできた。

 もっと上手に生きられたらよかった・・と思うこともある。ただ、その時々で真剣に考え、最善と思う道を選んできたのだから、後悔はない。

 こうした話をSNSで知り合ったキャリアコンサルタントさんに話したことが何度かあった。ある方は私の職歴を聞いて鼻で笑った。あからさまに態度を変えてくる方もいた。「華々しいキャリアの持ち主だと思われていたのかも。」と心の中で苦笑する。

 非正規職が長く、かつ転職回数が多いと、こんなふうに軽く扱われるのだと知った。良い経験ができたと感謝しながら、心の扉を閉じた。

 キャリアコンサルタントが考える以上に、相談者は支援者の言動に注目している。その方のキャリアを本当に尊重しているかどうか試されている。だからこそ、相談者がご自分のキャリアを恥じることがないよう、細心の注意を払いながら支援している。価値観の多様性、唯一無二のキャリアを大切にしたい。と、思えるのは、制約のある中で様々な経験を重ねてきたおかげだ。「わたしのキャリア」をここからまた作っていく。

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*この記事は私の経験について語ったものであり、他の方々の人生観や価値観を否定する趣旨はありません。

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