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舟形皿「夏の湖」 #まいにち土鍋

美しく泳ぐ魚

静かに応援してくださっているお客さまがたくさんいることを忘れることはない。学生時代から、イタリア修行時代から背中を押したり手をさしのべてくれた友人がいることも然り。

展覧会へのご来訪、ネット予約やご購入のお客様の半分くらいは、SNSやブログで交流のあるかたかなと思いきや、個展でお会いする方々に聞くと、ふだんは交流なく静かに読んでくださっているかたが8割くらいである印象。知人や古い友人であっても、むかしからおどけてたわたしを静かに見守ってくれている。家族や親戚も、あいかわらずだなって、どこかで読んでいるのかもな。ふだんの生活を報告するブログではなく、あくまでもコッチョリーノ便りであるので、装う必要はない。

ときおり、透明度の高い湖に、美しい魚がたくさん泳いでいる不思議な映像が脳裏に浮かぶ。おっと、ぼうっと釣りをしている場合じゃない。上から「魚よ、こい」なんて待っているなんてとんでもない。男神なのか女神なのか分からないけれど、化身した魚を想像すると、わたしも湖に入って泳ぎたい衝動にかられるのだ。もちろん衝動を行動に起こせばいい。



🐟 🐟


自由泳法

ここ数日、お客さまへのご納品と今後のことについてのご挨拶に奔走している。食べるレシピでなく生きるレシピをたくさんいただいているので、少しだけ書き残しておこう。

大都会のジオラマをふたり占めする場所に座っておいしい珈琲を飲みながら、携わっていらっしゃる職業のこと、職業以外の活動についてのお話を聞くのは楽しかった。「応援したいと思う作品、作家には、その他のなにかを期待するということはないのですよ」というお言葉をいただき、年齢はずっとお若いのに頭がさがる。「次の工房が楽しみです、作品も自由になって変わるんじゃないですか?ぐわーんと大きくなったりして!」と、自由に泳ぐこと、泳ぎ方も変わることをポジティブに捉えてくださっていることが嬉しかった。

別のお客さまとは、夕涼みをしながらのご納品。
「変えるという勇気いいですよ、つくる作品の幅がぐーんと広がるんじゃないですか?」「広げよう広めようとか、知名度をあげようとか、そういうことでなくて、ぶれないことが大切ですよね」「変えるとは、むしろ削いで削いで縮小してフォーカスを合わせ直す」と、自らレストランを経営し、フードコンサルタントもなさっている友人がしみじみと話してくれた。

「負け惜しみみたいですけど、私もそう思うんです」と返すと、あと何年できるかまったくわかりませんものねと笑い合った。なにが幸せなのか、人に見えないくらい小さくても、最後にきっとひとつぶくらいは残るだろう。

まいにちは、そのときのために。
だから泳ぐ。

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黒麹甘酒ラッシー
(発酵デパートメント)


7月20日(水)
直す「金継ぎ舟形皿 夏の湖」






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