さよならの庭の味 #まいにち土鍋
引っ越しは6日。
こんなに体力消耗した日々はない。仕事ともまた違う。感傷的な想いは排除することを決めているので、わりと勇ましく動いている。きょうは顔じゅうに泥がついていて、コントでおばあさん役をする志村けんみたいになっていた。
母の誕生日。施設にいる母を祝いたくて、最初はずらしていたが、運送会社のスケジュールで母の誕生日にぴったり重なった。母はたちまち変わってゆく。もう何年経ったのだろうと思うくらいのスピードで。左顔面麻痺になってしまい、どう歩いたらよいのかもわからなくなってしまった。けれど、私と家人が施設を訪ねると、体全体で泣いた。
本当に片付けていると魂がこだまするような現象が現れたりする。朝、窓をあけると黒いアゲハ蝶が飛んでいることが多い。これも不思議だ。
庭の桑も、ここ数年、具合があまり良くない。
ここ数年は、時折白い実がなるようになり、葉が虫にやられるようになった。漢方の先生いわく、人や動物と同じように、植物もちょっと弱っている葉や個体が蝕まれるのだと話していた。元気のよい株の桑の実を集めて冷凍したあったものを自然解凍した。
大きく育った庭の桑の根っこを必死に掘った。こんなことしてる場合じゃない!というくらいタイムリミットに追われているのに、ここ掘れワンワン宝探しか、狂ったように掘りまくった。家人とふたりでおかしくなったように。
9月4日(日)
注ぐ「しのぎココット大」
庭のドクダミと桑白皮のお茶
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