それでも紙がよい、という話
まずお断りしておきますが、一部の巷で大賑わいとなっている
「脱ハンコ社会」のこととは全く関係がありません。
(当方自身、ハンコ礼賛社会の限界は十二分に理解しています)
こちらの場面において書いておきたいのは、
きっちりとした調べごとをするのならば、電子データよりも
紙資料の方が結果的に効率よく情報選択できる、ということ。
ここで重視したいのは情報“収集”ではなく情報“選択”であること。
必要とする情報の在処がわかっている場合は尚更のこと、
電子社会に介在する無数のデータを手当たり次第に検索するよりも
書籍や紀要の方が手早く手応えが得られることが多いのです。
例えば今年(2020年)、東海道・山陽本線で「新快速」が走り始めて
10月に入って50周年を迎えました。
言うまでもなく、たった今「新快速に乗りたい」となれば、
停車駅まで赴いて乗ればいいという話になります。
もちろん、時刻表のような1kgもある紙の塊を持ち歩く必要もありません。
それこそ手元にある情報端末のアプリなどで調べれば事足ります。
ところが50周年というキーワードを受けて、
「そういえば昔の新快速はもっと速かったのでは」とか
「長浜より奥まで新快速が乗り入れるようになったのはいつ頃か」といった
一問一答型の疑問や謎については検索エンジンに頼れば答えが出ますが、
「20年前と今はどう違うか」とか「時系列で比較するとどうか」となると
一流ライターの方や学術専門家の方が立て板に水で著述した書籍や雑誌、
論文に頼るところが多くなると思います。
ではそこにも知りたい情報がなかったらどうするか。
こうなるとネットや電子書籍ではもはや、2020年現在の社会では
まだつかまえることができません。(自分が無知なだけでもありますが)
そこで写真のような資料を積み上げて調べることでヒントを得る、
もしくは首尾よく知りたいことにたどりつける流れができあがります。
不器用だし面倒だし、何といっても場所を取るし、重い(笑)
※写真の分だけでざっと10kg以上あります
だけど今回は不要であっても、別の類似した疑問はここから解ける。
その道程が見えている限り、図書館に通い詰めてでも紙資料は強い。
電子データって結局、万能ではありません。
1枚の資料であればすぐに取り出せるように思いますが、
それは自分で整理したライブラリーに限られますし、
膨大な資料データ群の中に眠っている1ページを探すというのは、
体系化された書棚を奔走するよりも案外リソースを食います。
(自分がどんくさいだけなのかもしれませんが)
何といってもデータを保存している規格が3世代以上前になると、
読み込むための機材が使えなくなっていたり、
データを保存している媒体が劣化して役に立たなくなっていたり、
そのデータが持つ拡張子が現在は通用しないという問題もあります。
ああ、そもそも停電になると確実に詰みます。
要は使い分け、なのでしょうけれど、
やはりまだまだ紙媒体に頼る場面は多いようです。
自分の場合、今回upした冒頭の写真の資料はトランクルームに
収蔵しているものを持ちだしてきたものです。
調べごとが満たされたら、また戻す手間も当然あります。
面倒です、はっきり言って。
それでも結局、この面倒とはつきあい続けることになるようです。
だって、愛着がありますもん。
紙はやっぱり、よい。
それでは次回の投稿まで、ごきげんよう。
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