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2枚に分けるールールを理解しよう

今回は少しだけ斜め上のきっぷの買い方について。
ただし大都市圏のJR限定です。
巷で耳にしたことがあったり、経路検索サイトで
見たことがあるであろう「分割購入」。
ここでいう「分割」はクレジットカードで何回かに分けて払う、
あれではありません。

言うならば、A駅からB駅まできっぷを買うときに、B駅までのきっぷを
単に買うよりも途中のC駅までのきっぷと、C駅からB駅までの
2枚に分けた方がお得、というもの。

経路検索サイトでは、サクッとどこ駅で分けて、
何円お得といったかたちで示してくれますが
自分の方程式を作ってしまえば、いろいろ応用できるようになります。

頭に入れておくことは、下記の3つ。
・ねだんが大きくはね上がる区間を覚えておく
・私鉄路線が並行していて、そちらの方が安く感じる区間をチェックする
・目的地までの距離をつかめるようにする
です。

まず1つ目。
首都圏だと次の駅は要チェックです。
大宮・取手・千葉・千葉みなと・横浜・大船・高尾。
近畿圏ならば、京都・西明石・和歌山・奈良・長尾。
正直、長尾は距離によります。
これらの駅に囲まれた範囲をはみ出して乗る場合、
どこかで分けるようにしてきっぷを買うと安くなることが多いです。

2つ目は首都圏・近畿圏と中京圏にあります。
首都圏は横須賀線と京浜東北線と湘南新宿ラインの一部(京急・東急)、
中央快速線の新宿―高尾・拝島間(京王・西武)、
常磐線と成田線の一部(京成)。
近畿圏は東海道本線の京都―大阪―神戸間と
JR東西線・宝塚線の北新地―尼崎―宝塚間(阪急・阪神・京阪)、
奈良線の京都―奈良と大和路線のJR難波―奈良(近鉄)、
阪和線の天王寺―和歌山(南海)。
中京圏は東海道本線の岡崎―名古屋―岐阜間(名鉄)と
関西本線の名古屋―四日市(近鉄)。
いずれの区間も「特定区間」の設定があり、
本来のねだんよりも安くなっています。
ところが、この区間を1駅でもはみ出ると
通常の区間として計算されるため、
区間が切れるところできっぷを分けると安くなるというしかけです。

3つ目はねだんを決めるルールを理解する必要があります。
ここでは基本的なことだけ述べますので、
より詳しく知りたい方はご自身でどうぞ。

JRの運賃は基本的に、15kmまでは10円~40円の幅で
ねだんが上がりますが、15kmを超えると50kmまでは5kmごとに100円ほど、
100kmまでは10kmごとに200円ほど、それ以上は600kmまでの間について
20kmごとにおよそ200円~300円の幅でねだんが上がっていきます。
そして160kmを超えたところと、240kmを超えたところでは
400円以上が上乗せされています。
一方で600kmを超えてしまうと、40kmごとに300円ほどずつ上がり、
たまに200円ほどしか上がらないところがあるといった感じです。

これらをまとめると、次のような場合はきっぷを分けると
安くなる可能性があるといえます。
・長い路線の途中にある大きな駅より、少しだけ奥の駅に行く場合
・私鉄と並行しているJR線で、並行していない区間も続けて利用する場合
・利用する距離(営業キロなど)がキリ番より少しだけ飛び出してしまう場合
 特に160km、240kmを少し超える場合はなおさら。
もちろん、分けても安くならない場合もあるので、
まずは調べる必要はあります。

なお、ここまで細かく説明した以上、
分ける場合の問題点も示しておきます。
まず1つは、ICカードでの利用だと分けたい駅で列車を降りて
改札を一度出入りしないといけないこと。
距離が短い区間の場合は、券売機で途中までのきっぷを買っておいて、
降りる駅で精算するという手が思いつきそうですが、
精算機は本来のねだんとの差額を取るので
ふつうにきっぷを買うのと変わらない結果になります。
金券ショップなどで回数券を揃えておくなどの対策が要りますが、
都合のよい区間の回数券が手に入るとは限りません。

2つ目には、人身事故などのトラブルで目的地まで行けなくなった場合に
不利となります。
例えば、大阪駅からJRで姫路に行くとします。
この場合、大阪―三ノ宮間と三ノ宮―姫路間に分けると少し安くなります。
仮に、路線トラブルの影響によって明石で電車が動かなくなったとします。
この結果、もはや姫路に行く意味がなくなった場合、
乗客は出発駅の大阪駅まで戻ろうと考えます。
実はこの場面において、運命の分かれ道が存在しています。
実際に大阪→姫路の乗車券を持っている人は、駅係員に申し出ることで、
無料で大阪まで戻ることができ、
大阪→姫路の乗車券を使わなかったのと同じ扱いとなります。
つまり、全額払い戻しとなります。
ところが、大阪→三ノ宮、三ノ宮→姫路の2枚の乗車券を
持っている人の場合は、同じように駅員に申し出ると、
大阪→三ノ宮の乗車券はすでに利用したものとして回収され、
戻ることができるのは三ノ宮までという扱いになります。
もちろん、払い戻しになるのは三ノ宮→姫路の乗車券だけで、
大阪まで戻るためには改めて三ノ宮→大阪の乗車券を
買い求めることになります。

3つ目としては、あまりにも細かくきっぷを分けすぎると、
不正乗車の疑いをかけられる可能性があります。
ルールとしては利用区間が連続している(一部重複も含める)限りは
問題はないのですが、いわゆるキセル(両端の区間だけきっぷを所持して、
間の代金は支払わない)の一種として解釈される場合がありえます。

特に新幹線や特急列車を利用する場合には、細かくチェックされたり、
あらぬ疑いをかけられることもありえるので、留意しておいて下さい。

あくまでも基本は、「目的地までの乗車券を買い求めること」なのです。
ルールを理解して、トラブルがないように利用したいものですね。

では次回の投稿まで、ごきげんよう。

2020-06-23(tue)/たまなび倶楽部主宰

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