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移動手段の選び方(2)ー安ければそれでいいのか

北の大地の入場券86駅全部行ってみたシリーズ。
11本目のトピックは移動手段の選び方についての続き。
前項(1)では効率性や目的に応じた選び方について書きました。
ここでは費用の面からどう選ぶかという視点で述べてみます。
前項(1)はここから

まず、当然のことと言える要素が「いかに費用を抑えるか」であることに
異論はそう出てこないと思います。
航空だとFSC(フルサービスキャリア)を選ぶかLCC(ローコストキャリア)を選ぶか。高速バスだと公共交通系バス会社の路線から選ぶか、ツアーバス系のバス会社の路線から選ぶか、もしくは比較サイトを使って運賃重視で適当に選ぶか。鉄道だと新幹線や特急のような有料列車に乗るかどうか、でしょうか。
クルマがメインの方は自ずと「クルマ1択」になるようなので、この論題から外れるのかというとさにあらずで、実はレンタカーやカーシェアを使う場合や、燃料補給をどこでするか、有料道路を使うかどうかなどと、案外この話題についてもあながち無関係ではないのです。
さらには宿泊施設の選び方も充分、この話題の中に入ります。
細かく見ていくともっと出てきそうではありますが、ひとまずこのくらいで本筋に入っていこうと思います。

書いた順に触れていくことにします。

まずは航空。国内線の場合、FSCから見ていくと、いわゆるJAL(日本航空)組とANA(全日空)組の両雄が基本となって、目的地や居住地によっては両社のコードシェアで予約できるFDA(フジドリームエアラインズ)やADO(エアドゥ)のように共同運行の会社を選んでいる人もいるかと思います。SKY(スカイマーク)は小型機中心で独自路線を展開していることからLCCと思われがちですが、ここまでで列挙したグループと同様、FSCの部類に入ります。一方でLCCについては関西拠点のPeach(ピーチ)やジェットスターなどが候補に挙がるかと思います。

これらをどのような視点で選ぶかというと、まずはやはり「運賃」から考えるのが普通かと思います。そして、単純に比較するとFSCは高くて、LCCは安い。当然の結果ですね。
ところが、いざ予約する流れに入ると、案外ひっかかってくるのが追加となる諸経費。そこに違いが見えてくるようになります。これをどう捉えるかによって、選択の進め方も変わってくるかと思います。

自分の場合、FSCとLCCのどちらを選ぶかについては項目について優先順位が決まっており、空席状況などでどちらも選べる場合であったとしてもそんなに迷うことがありません。その優先順位とは、
1.発着時刻 > 2.変更・払戻の有無 > 3.前後の乗継 > 4.料金
となっています。実は2019年までは2.と4.は逆でした。
2.の優先順位が上がった理由はやはり「コロナ禍」。往路と復路のうちの片方だけが欠航になったりして、旅程の見直しをする場面が多くなったことが大きいです。言いかえれば「飛行機に安く乗る以上は変更なんてしない」スタイルから「状況によって柔軟に対応する」スタイルにしたとも言えます。

ちなみに、3.は交通機関の選択だけではなく、「その航路はターミナルビルのどこに機体を寄せるのか」も想定に入ります。
どういうことかというと、羽田や新千歳、福岡のような大きな空港では、JALやANA以外のキャリアの機材はターミナルビルの端の方に入ることが多く、発着便の多い時間帯はいわゆる「沖止め」のようにビルと乗降場所をバスで移動することになる場合もあり得ます。結果として、空港内で滞在することになる時間が大きく増加し、場合によっては20~30分の時間差が出る可能性もあります。
したがって、旅程によっては多少運賃が高めになったとしても、大型の機材を充当する便を選んだり、コードシェア便を選ばないようにしたりもすることになります。

4.はLCCの方があからさまにわかりやすいので、料金の構造から考えます。
LCCは運賃が安い代わりに、いろいろな追加料金や手数料が加算されます。
問題はその「追加料金」や「手数料」を仕分けすることで、物理的に必要な費用と抑制できる費用を見極めることができます。

例えばピーチの場合、概ね4種類の運賃設定があります。安い順にならべると、「限定1,990円!」などと激安で販売されている、いわゆるバーゲン型運賃、「シンプルピーチ」といわれる通常販売の最安値のもの、「バリューピーチ」といわれる少し高めで、変更や座席指定・手荷物の制限が緩いもの、「プライムピーチ」といわれる制限が少なめのもの、となります。

Screenshot_2020-11-04 フライト選択|Peach

路線にもよりますが、だいたい1ランク上がると2,000円ほど高くなるイメージになるかと思います。
そこに「追加料金」を加えると「手荷物」「座席指定」があてはまりますが、自分の場合は基本的にバッグもしくはリュックサック1つでの移動となるので、手荷物料金の制限はあてはまりません。座席指定については窓側や前方の席を選ぼうとすると料金がかかりますが、そこは3.の前後の乗継で必要に応じて取捨選択しています。
すなわち、2019年までは自分の場合、ピーチに乗る場合は基本的に「シンプルピーチ」で問題なかったわけですが、2020年(つまり今年)は「バリューピーチ」を選ぶことが多くなったというわけです。

では「手数料」はどうとらえるか。これは前述したとおり「物理的に必要な費用」のものと「抑制できる費用」に分けることができます。
前者は強制的に引き落とされるもので、空港使用料や発券手数料などが該当します。これはどの運賃を選んでもかかる費用なので、これを払うのに抵抗がある場合は、そのキャリアを利用することはできません。
後者は変更や払い戻し、荷物が嵩んだ場合の追加料金などで、実はこれが結構大きい金額になることが多いです。案外忘れがちなのが乗る予定の便が欠航になった場合、払い戻しになるのは運賃部分が基本となるので、手戻りの金額も当然ながらそう多くはありません。
何が言いたいかというと、旅先から出発地に帰るときにLCCの予約が欠航で流れてしまい、FSCしか帰る手段がないとなると、当然ながら当日搭乗の高額な運賃料金で利用することになります。そうすると、LCCの払い戻し分の金額だけでは到底足りない!ということにもなりかねません。
したがって、自分は翌日の仕事や予定に支障がある場合、最終便がLCCとなる旅程を回避して、あわよくば乗継便でも帰ることができるように旅程を組むようにしています。1万円ほど高くつく選択になることもありますが、足止めを食らって予定が回らなくなるばかりか、持ち出しもそれ以上多くなる懸念があるのなら、決して高い買いものではないという考え方です。

逆に言えば、FSCは支払う金額が大きい分だけ、トラブルになった場合のサポートは追加料金が要らないケースが多く、その時点で可能な範囲の対応をしてもらえる可能性が高いと考えてよいと思います。
自分の場合、搭乗予定便が機材繰りの関係で遅延し、先の空港で乗り継ぎ時間が確保されない可能性がある場面に出くわしたのですが、カウンターで地上係員と情報共有した結果、ギリギリでの乗継も含めて連携を取ってもらえる展開にこぎつけました。所定30分乗継が必要なところを10分までみてもらい、窓側席だった予約を両方の便ともドアそばの通路側席に移動して搭乗、結果として実際の乗継は20分で済んで、乗継先の便は定刻で動いたという顛末となりました。このフライトの追加料金は一切不要でした。

結論をまとめると、航空の費用は単純に運賃だけで決めるのではなく、手数料にどれだけの持ち出しがかかるかや、空港アクセスや空港内移動のことも考えて選ぶことで、トータルコストの最適化が可能だということになります。

次に高速バスの選び方となります。これに関する自分の優先順位は、
1.発着時刻 > 2.乗降場所 > 3.料金 > 4.変更・払戻の有無
となります。航空とは少し状況が異なりますね。
これは高速バスの場合、乗降場所はかなり多岐にわたっており、ターミナル駅だとバス路線によって停留所の位置が数十ヶ所にわたるところがあり、路線の途中の停留所だと、街のどこなのかがわかりにくいということもあって、土地勘が無いところでの利用は俄然ハードルが上がります。特に夜行バスの場合、深夜早朝の停留所の環境は未知数であり、しかも乗車専用・降車専用で大きく場所が異なるところもかなり多いです。すなわち、「いくら料金が安いといえども、その前後のアクセスがどうなるのか不明」だとさすがに困るという事情がそこに乗っかってくるということなのです。
ちなみに4.については手数料そのものは安価なものが多い反面、その乗車券をどのようにして購入したかによって、変更や払い戻しの対応が大きく異なるという点を理解しておかなければなりません。自分の場合は極力バス会社が直接運用している予約システムを使うようにしており、やむを得ずコンビニ発券やツアーバス系のバウチャーを用意する際には、どのような手続きで変更や払い戻しの対応がなされるかを確認するようにしています。

鉄道に関してはJRにしろ私鉄にしろ選択肢はそう多くなく、一般的に「安い乗車券や料金のものは変更や払戻ができない」と考えておけば、意外と選択には困りません。旅行会社の企画によるツアーパックやホテル付きの往復プランのようなものは列車そのものが予め指定されているものになっているため、変更や払戻は想定されていないものがほとんどとなります。
したがって、留意点は実のところ、高速バスの場合と大きな違いはありません。むしろ航空やバスと異なって比較サイトで直接購入できるようなものが鉄道にはほとんどありませんので、選択肢がそもそも狭いという特徴があるとも言えそうです。

最後にホテルやクルマの移動に関する考え方です。

ホテルとレンタカーも最近は価格帯だけでなく運営している会社も多岐にわたっており、直営のwebページはもとより、旅行会社系の予約サイトからでもササッと選択できるようになっているため、利用する人の基準で適宜選んでもらうのが結局「最適価格」での選択になるようです。
そこでここにおいて述べておきたいのは、比較型予約サイトと直営サイトの両方を見比べた上で選択した方がよいということです。
とりわけホテルの場合は直営ページが最安値というところも多いですが、実は比較型サイトだと満室であっても、プランに贅沢を言わなければ直営ページで空き部屋が見つかる場合が結構あります。泊まることが確定しているのであれば、そのホテルの営業時間に直接電話して交渉するのも有効です。送迎の有無や食事のアレルギー、近隣店舗の営業状況などといった、細かい内容も親切に対応してもらえることも多いかと思います。

レンタカーもこれらは当てはまる要素があり、グループ会社内でもクルマの運用は営業所単位となっているところも多いため、細かい車種のやりとりや乗り捨てが絡む場合などは、いきなり直営ページで予約するよりも予約センターに電話したうえで条件を伝えた方が、結果的に安上がりな料金設定で契約できることもあります。返却時のガソリンスタンドについても、営業所と提携しているスタンドで給油すると代金が安くなったりするところもありますが、こういった情報は予約サイトではなかなか見つけることができません。まさにこのあたりは「郷に入っては郷に従う」なのだと思います。

少しばかり情報量が多くなりましたが、微力でもお役に立てると嬉しく思います。よいご旅行となりますように。

移動手段の選び方(3)はここから

それでは次回の投稿まで、ごきげんよう。

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