【百線一抄】065■朽ちることなき生来の名の軌跡―相模線
移り変わりを紐解くと数奇な運命の翻弄が見える。砂利の運搬線か
ら身をおこしたものの経営は苦戦、関東大震災の復興で路線延伸が
認められるも、厚木以北の延伸が完了した頃には専用線の廃止や昭
和恐慌が影を落とす。戦時体制下に入ると、戦局の悪化とともに軍
備輸送に加わり、戦時買収私鉄の路線に指定され相模線となった。
本来の路線敷設目的であった砂利運搬については戦後ほどなくして
先細りとなり、貨物輸送そのものも高度経済成長とともに積荷や荷
主を変えていく。一方で旅客輸送は気動車の短い