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「Vsinger」という文化の形成

今日は歌うバーチャルYoutuberあるいはバーチャルシンガー(Vsinger)についての話を、広く浅く書いていきます。

バーチャルシンガーの歴史

バーチャルシンガーという言葉に聞き覚えのある方は、古くからインターネットをやっている方かもしれません。

バーチャルシンガーという言葉には古い意味がありました。それは初音ミクなどの「VOCALOID」を指し示す言葉として使われていたからです。

バーチャルYoutuberがヒットし、そしてYuniさんがデビューした時、初めてVtuberの中でも歌を歌う事を専門としている人を指して、バーチャルシンガーという言葉を使うようになったのです。

歌を中心に活動を行うVtuberは2017年12月以降、大きく増えました。有名な方を挙げれば、Yuniさんの他に、富士葵さん、ときのそらさん等が古くからデビューされている方ですね。

一方で、Vtuberと歌うバーチャルシンガーとの線引きは曖昧で、完全に歌だけで活動する方はほとんど存在せず、歌の他に、ゲーム実況や雑談生配信などを行っています。この点は他のVtuberと変わりません。

2018年4月頃には、様々なVtuberが「歌ってみた」にチャレンジするようになりました。多くのカバーソングが投稿されました。またこの頃、歌を中心に活動するVtuberも増えてきました。

Vtuber界のトップとも言えるキズナアイさんは、2018年7月には初のオリジナル楽曲「Hello, Morning]」をリリースしました。2018年10月26日より9週連続でオリジナル楽曲をリリースし、注目を集めました。2018年後半頃から大手のVtuber達はオリジナル楽曲をリリースして歌手デビューしました。

2018年12月には、音楽を中心としたさまざまなイベントが開催されました。年越しイベント「Count0」は、歌合戦として特に盛り上がったと記憶しています。

完全なる「バーチャルシンガー」の登場

今までのバーチャルシンガーとは、歌も歌うし、イベントではタレントとして出演する、ゲーム実況や雑談その他企画などを行うという「Vtuberの活動の一環として歌をうたう」事が基本的なものでした。

「歌をうたうためにバーチャルアバターを使う」人は、それまで有名な方はいなかったのです。ところが2018年末の「Count0」では、僕はそのような活動を行っている方がいることを初めて知りました。

花譜さんは2018年10月18日にデビューしました。

彼女こそ、僕の考える新しい「Vsinnger」の姿そのものです。

彼女の歌声に魅了された人は少なくないでしょう。今やVtuber界を超えて、様々な分野で活躍する姿を見る事ができます。しかし、その基礎となっている部分は「歌」であり、今までのエンターテインメントに付随する形の歌うVtuberの姿ではありません。

彼女は現実の姿を見せられない(年齢や家庭の事情)により姿を見せずに活動するために、「バーチャル」的な存在を選んでいます。バーチャルであることを最大限に生かした様々な表現方法、特に現実と融合したようなミュージックビデオは圧巻です。

今までにない全く新しい存在である彼女の事を、僕はバーチャルシンガーを省略した「Vsinnger」という呼び名で仮称しています。完全に歌手として活動するバーチャルな存在を、それ以外のVtuberと区別するための、個人的なルールです。

花譜さんは2019年には活動を大幅に広げており、8月には初めてのワンマンライブ「不可解」を行い、9月にはアルバム「観測」をリリースしました。12月には写真集「呼吸-Atmung」の発売が決定しており、今後も多方面での活躍が期待されます。

Vsingerの今後

花譜さんの所属する「KAMITSUBAKI STUDIO」は、様々なバーチャルクリエイターをプロデュースしており、今後注目される集団と言えます。

特に花譜さんからの系譜として理芽さんが11月にデビューし、英語の楽曲のカバーを次々に投稿しています。1か月半で登録者は4万人近くに到達し、注目度の高さがうかがえます。


このように、「Vsinger」界隈は目覚めの時を迎え、「KAMITSUBAKI STUDIO」以外からも、多くの「Vsinger」がデビューする事になるでしょう。それは、日本の音楽業界に新たな風が吹くことを示しています。

来年以降、どのように活動が広がるか、不透明ではありますが、歌うVtuberや「Vsinger」界隈は、確実に拡大します。それはVtuber界隈の先鋭化、あるいは専門化により、文化が多様化してきた事から示されます。「Vsinger」も「Vtuber界」もまだまだ進化の過程にある事は事実です。

僕は、今後もVtuber界の「観測」を続け、どのような過程を経て、この川の流れがどこに至るのか、見届けたいと思います。

次の記事では、ターゲットを「Vsinger」花譜さんに絞り込み、彼女の来歴について振り返り、その魅力をもっとたくさん語りたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

それでは


インターネットを渡り歩いてまだ6年、色々なカテゴリを楽しみ、「消費者」として生きています。 そんな文化の消費者の毎日思ったことアレコレを書いていきます。雑記。