川口 環/Tamaki Kawaguchi

原宿のWebマーケター&ジェイティップスCEO。外国人技能実習の無料相談ポータ…

川口 環/Tamaki Kawaguchi

原宿のWebマーケター&ジェイティップスCEO。外国人技能実習の無料相談ポータルサイト「外国人技能実習360°」運営責任者。年間20回以上海外へ出張し、約150日間を東南アジア各国で活動中。 https://titp360.jp

マガジン

  • リアルタイム外国人技能実習24時

    ビル新聞連載コラム「リアルタイム外国人技能実習24時」を加筆した記事と日々の東南アジア遠征活動についての備忘録。

最近の記事

技能実習における安全衛生管理の現実

5月下旬に厚生労働省が公表した「令和4年の労働災害発生状況」によれば、 外国人労働者の 死傷者数が増加の一途をたどっている。 労災により4日以上休業した外国人労働者の数は 4,808人にも上り、十年前と比較すると約3倍の記録を示し、 技能実習生に関しては、労災件数が増加傾向であるとともに、千人率(労災件数/千人)は日本人も含めた全労働者全体の平均と比べて1.6倍と突出して高い。 本来、技能実習制度は、成熟した技術や知識を有する日本から発展途上国へ技術移転を行うという意義深

    • 静岡県の外国人材事情

      「日本へ行ったら、富士山に登ってみたいです。」 これは、技能実習生面接の際によく耳にする定番フレーズだ。 そんな美しい富士山の風景と広大な茶畑で知られる静岡県は、豊かな自然と工業が共存する場所とあって、さまざまな業種において大勢の外国人労働者が活躍している。 中でもとりわけブラジル国籍者が多い点は目を引く。県内の外国人労働者の三割近くを占め、全国では愛知県に次ぐ第2位である。 これは、静岡県が、トヨタやホンダなどの自動車メーカーの関連企業が集まる地域であったことと、日

      • カンボジア人が日本を選ぶ理由

        これまで実習生送り出し国の主翼を担ってきたベトナムの穴を埋める存在として、カンボジアへの期待が高まっている。 コロナ禍を乗り越えたカンボジアの経済回復は好調で、2021年後半以降、輸出・内需共に予想以上の成長を示している。 地政学的には中国が「一帯一路」の重要拠点に位置付けている一方で、内政的には7月の総選挙で37年ぶりにフン・セン首相から子息へ首相後継がなされるのではと囁かれている。 内外で注目を集める同国に、現在の日本はどのように映っているのだろうか。 カンボジア送

        • カンボジア人材の転換期

          新聞報道によれば、2022年に新規入国した技能実習生は17万9千人と、コロナ前の95%程度まで回復したとされ、ようやく安定的に招聘できる環境が戻ってきたと見られている。 一方、外国人材を巡る様々な状況変化が表面化し、今後を懸念する声もあがっている。 顕著な例では、ベトナム実習生の「日本離れ」だ。 これまで半数以上を占める最大の派遣国であったが、希望者の減少が加速している。 人材確保に窮する監理団体は、次なる第三国への移行を模索しており、ベトナム隣国のカンボジアが注目を

        技能実習における安全衛生管理の現実

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        • リアルタイム外国人技能実習24時
          28本

        記事

          ベトナム人元技能実習生のジャパニーズドリーム

          技能実習制度の見直しが議論されているが、実習制度をきっかけに人生を切り拓いている若者たちがいる。 埼玉県本庄市の某建設会社で建設エンジニアとして働いているベトナム人 ドン・ヴァン・ヒューさん(写真)がそのひとりだ。 ヒューさんは元技能実習生で、かつて三年間、群馬県伊勢崎市で大工として働いたことがある。 実習修了後に帰国してからは、大手送出機関に就職し、日本の監理団体への営業や、実習生の相談業務に携わった経験の持ち主だ。 筆者とは丁度その頃からの付き合いで、知り合ってか

          ベトナム人元技能実習生のジャパニーズドリーム

          クーデター後のミャンマー技能実習生事情

          ミャンマーという国にどのようなイメージをお持ちだろうか。 映画「ビルマの竪琴」の印象などから、旧国名の「ビルマ」と言った方がピンとくる人も多いかもしれない。ASEANの中でもとりわけ経済発展で遅れを取り、長らくアジアの最貧国と評されてきた。 一方、民主化の流れとともに、発展の伸び代が大きく残っていることから「ラストフロンティア」とも呼ばれ、新たな市場や製造・物流拠点として期待も集めていた。そんなミャンマー情勢が一変したのが、2021年2月のクーデター発生である。 ミャン

          クーデター後のミャンマー技能実習生事情

          技能実習のベトナム離れ、終わりの始まり

          先日、愛知県大府市の「株式会社Minobordo」の代表取締役 井村稔さん(下写真)に話を聞く機会があった。 同社は技能実習生や特定技能人材を含め、企業の外国人受け入れに関するアドバイス業務を行っている。 代表自らが運営責任者を務めるウェブサイト「ガイコクジンコネクト」には、建設、ビルメンテナンス、食品加工、自動車整備等、様々な業種の受入企業から問い合わせがあり、独自のハウツーと外国人ネットワークを駆使して相談に応じている。 このコロナ禍においては、雇止めで実習停止となっ

          技能実習のベトナム離れ、終わりの始まり

          特定技能、普及の兆しとこれから

          先日、出入国在留管理庁から、「特定技能」資格で在留している外国人が87,471人に上ることが公表された(2022年6月末時点)。 昨年同月の29,144人から一気に6万人弱も増えた計算であり、ようやく制度として普及の兆しが見えてきたともとれる。 とはいえ、2019年の制度創設時に掲げられた「5年で34万5千人」規模に達することは、もはや本格的に難しい事態となり、今後コロナ禍の出遅れ分をどのように巻き返していくのか、人材不足に窮する各業界から注目が集まるところだろう。 外国

          特定技能、普及の兆しとこれから

          「登録支援機関」の現実とこれから

          コロナ禍の夜明けとなるであろう2023年は、特定技能人材流入のヤマ場となることが予想される。受入れ企業はその準備に余念がないことだろう。制度を支えるキープレイヤーのひとつに、登録支援機関がある。 受入れ企業からの委託を受け、特定技能人材が、在留中に安定的・円滑な活動を行うことができるように職業上、日常生活上の支援を行う機関である。しかしこの機関が十分機能していない現状があるようだ。 先日、愛知県豊橋市の株式会社アイエフピー 取締役の林佑介さん(写真)に話を聞く機会があった。

          「登録支援機関」の現実とこれから

          コロナ禍4年目の「技能実習」と「特定技能」のこれから

          コロナ禍4年目となる2023年。 依然として新型コロナウイルスによる経済・生活への影響は続いており、今年は本格的な「withコロナ」が求められる年となりそうだ。 これまでコロナ禍を理由に“とりあえず据置き”とされてきた様々な物事に対して、本腰を入れた改革が求められることだろう。外国人材領域においては、技能実習と特定技能の両制度の改正を議論する政府の有識者会議が開催され、いよいよ具体的な改善が始まるとみられている。最大の焦点は、技能実習制度の取り扱いだ。 新興国への技術移転

          コロナ禍4年目の「技能実習」と「特定技能」のこれから

          コロナ禍のフィリピン人材事情

          1.2回目の「緊急事態宣言」で、再び入国制限年末から国内の新型コロナ感染は急拡大し、政府は1月7日に首都圏の1都3県に対して、13日にはさらに地方へ対象を広げた7府県を加え、2回目の緊急事態宣言を発令するにいたった。 一方、海外との往来についても、当初は継続が決定していた入国緩和策が、二転三転のすえ停止となった。中韓やベトナムなど11ヵ国・地域を対象に、ビジネス関係者などの新規入国を制限しない政策には、経済への影響を重視する菅義偉首相の強い意向があったとされる。しかし、変異型

          コロナ禍のフィリピン人材事情

          コロナ禍の“特定技能人材”採用事情

          1.注目される「留学生」から「特定技能」への移行10月より入国規制が徐々に緩和され、技能実習主力国であるタイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジアなどからの入国も再開された。しかし、一日あたりの外国人入国枠が1,000人程度に抑えられているためか、実習生の入国者数は、目立って伸びてはいないようだ。レジデンストラックも監理団体や受入企業にとっては負担となり、円滑に進まない理由のひとつとなっていると言える。コロナ禍前の状況に戻るのは、相当先になるのではないだろうか。 一方、想定外の

          コロナ禍の“特定技能人材”採用事情

          技能実習生受入れの新常識“レジデンストラック”

          1.レジデンストラックとは (出典:「日本への入国/再入国/帰国の際に利用可能な枠組み」資料より) https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100109737.pdf 日本政府は、新型コロナウイルスの拡大を受けた入国制限措置について、10月1日から全世界を対象に制限を緩和し、中長期の在留資格を持つ外国人に入国を認めることを発表しました。もともと、タイやベトナムなど比較的感染状況が落ち着いている一部の国については、「レジデンストラック」を条件にビ

          技能実習生受入れの新常識“レジデンストラック”

          コロナ禍のインドネシア人材ビジネス事情

          1.インドネシアのコロナ事情 8月に入り、日本における新型コロナ感染は再拡大し続け、第2波が進行している状況である。4月の第1波と比べ重症患者や死者が少ないなどの理由から、当面は、政府が緊急事態宣言を再発令する可能性は低いようだ。 感染抑止と経済活動維持のバランスを重視する考えは理解できるが、是が非でも「Go To Travelキャンペーン」を推進しようとする国と、「帰省自粛要請」を呼びかける地方自治体との風向きの違いに国民は翻弄されている。 それに加えて連日の記録的な猛暑

          コロナ禍のインドネシア人材ビジネス事情

          コロナ禍のベトナム人材ビジネス事情

          1.ベトナムのコロナ事情 緊急事態宣言の解除により、コロナ禍は新たな局面を迎えた。 いずれ終息するにしても、コロナ以前に戻ることはもはやないだろう。 リモートワーク、オンライン上での手続きなど、その利便性や効率性には、定着するのに十分な価値がある。 また、多国間での人や物の往来が経済を活性化させてきたが、その流れが止まってしまった。 今後おとずれるであろう第二波、第三波に備えながら、新たな枠組みを作り、繋がりを持続可能なものにする必要がある。 実習生制度も中断を余儀なくされ

          コロナ禍のベトナム人材ビジネス事情

          元ベトナム技能実習生との出会いから

          1.ヒューさんとの出会い 約2ヶ月振りに降り立った10月のベトナム ハノイは、程よい暑さでとても過ごしやすい。ある週末に、懇意にしているベトナム人の若者と再会した。ベトナム某送出機関に勤めるドン・ヴァン・ヒューさん(28歳)だ。 「カワグチさん 久しぶりですねー!」 真っ白な歯をみせながら、いつもの笑顔で迎えてくれた。ヒューさんとの出会いは、約一年前に遡る。 筆者が某大手送出機関を訪問した際に、日本語学校や訓練センターをアテンドしてくれたのが彼だった。 当時のヒューさんは

          元ベトナム技能実習生との出会いから