旅に出たい

「海外旅行、行きたいよね〜」という言葉に、正直これまであまり共感できなかった。もちろん、この小さな島国に閉じこもっていては見られない景色、出会えない人たちとの出会いは素晴らしいと思う。でもそれ以上に、どこにいってもピカピカのトイレがあって、お金を払えば美味しいごはんが食べられて、何より母語でスラスラと意思疎通できるこの国の居心地の良さが、海外への冒険心を常に上回るのだった。

だから、長期休暇にどこそこに行っただの、あーそこ行ったことあるよだの、インドで日本語のわかるインド人はペテン師の確率が高いだの、そういう話を常に話半分で聞いていたのである。

そんな私が、今、モーレツに海外旅行にいきたい。こんなに海外へのあこがれを抱いているのは、大学生のときにフィジー留学を画策して以来である(コロナでフィジー側から入国を断られたのだけれど)。

どうして行きたいかというと、こちらのイベントに参加したからでして。

友だちからお誘いいただいて、ホイホイと会場まで見に行ったのだが、これまで聞いたどの海外旅行話よりも面白かった。まんまと私はその気にさせられてしまったのである。
中国とロシアの国境近くにあるハルビンの氷まつりの美しさ、中央アジアの過酷な旅、それぞれの土地のごはんや風俗、どれも私の想像の範疇を超えていた。

感心するとともに、羨ましかった。だって、こんなん一生のネタにできるじゃん。周りに中央アジアに行った人いますか?極寒のハルビンに行った人いますか?いませんね。

海外旅行にいく、知らない土地で知らないことをする、というのは、何者でもない私が手っ取り早くつよつよエピソードを手に入れられる方法のように思える。

周りの誰も行ったことのないような土地で、日本にいてはとうてい経験できないようなことをして、自分の人間としての味わいを深くしたい。万年「おもしれー女」への道筋を探している私には、大変魅力的なプランだ。

とはいえ、海外旅行経験がほぼ0の今の状態でおもしろ海外旅行は無謀である。まずはハワイとかイタリアとか、オーソドックスな海外旅行経験を積んで、偏差値をちょっとずつ上げていきたいと夢見ているのだった。

今年こそ、旅に出たい。


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