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『シェフレピ』を作ったら、生きていける自信が20%増しになった話

″スタディ型″ミールキット『シェフレピ』で、関口幸秀シェフの「グアンチャーレからつくる アマトリチャーナ ニョッケッティ・サルディ」を作ってみたら、生きていける自信が20%くらい上がった気がした

今の気持ちを忘れないように、note にレポートを書いておく。

前書き: 作るまでと作った後

グアンチャーレからつくる アマトリチャーナ ニョッケッティ・サルディ」を作ったきっかけは 、Twitter で見かけた『シェフレピ』が気になっていたことと、1ヶ月ほど前から暮らし始めた海辺の町にイタリアンのレストランがなく、パスタも手に入らなかったこと。

緊急事態宣言の拡大でリアル取材の仕事が全て延期になり、お金はないけど時間はある今月。一緒に作ったり食べたりしてくれる友達を呼べないのは残念だけど、先行きの不安がある今だからこそ、自炊力を上げておくのは適切な先行投資なのではないか。

そう自分に言い聞かせて、ひとつ頼んでみることにした。

ラビオリが好きだから、写真右下(仲本章宏シェフ「ジャガイモの詰め物のラビオリ タレッジョチーズのソース 牛ホホ肉の赤ワイン煮込み」)を作りたいと思っていたが、迷ったあげく、左上の写真のアマトリチャーナを選んだ。1番の理由は基本のトマトソースを身につけたかったこと。2番目の理由はグアンチャーレもニョッキも身近な材料でも作れそうだから、日常の料理に組み込めそうな気がしたことである。

作ってみて、大満足だった。

お金がなくても心が折れそうでも、トマト缶と玉ねぎとニンニクがあれば、このオレンジ色の甘いトマトソースが作れると思うと生きていける気がする。冷蔵庫にあるグアンチャーレを思い浮かべれば、理不尽なことを言われても耐えられそう。ストレスが抜けない時はニョッキを丸めて無心になろう。

この気持ちを忘れないよう、以下にレポートを書いておく。

『シェフレピ』とは?

最初に簡単に『シェフレピ』の紹介を。
メニューを選んで注文すると、必要な食材が必要な分、家に届く。レシピ動画でシェフのテクニックを学びながら作って食べられる。Stay Home にもピッタリのサービス。
毎月のテーマに沿って、4種類のメニューが発売される。メニュー毎にシェフが異なり、サイトにはシェフのインタビュー記事も掲載されている。


グアンチャーレからつくる アマトリチャーナ ニョッケッティ・サルディ

グアンチャーレは豚の頬肉(いわゆる豚トロ)を塩漬けにしたもの。これとトマトソースとニョッキを作る。

グアンチャーレの仕込み期間が8日なので、1回目のワクチン接種の前に作れるように、逆算して配送日を選んだ。

注文した時からレシピ動画が観られるので予習できるのが嬉しい。トマトソース用の玉ねぎの炒め方を観ただけでも、「そうだったのかぁ」を連発。やり方だけなく、なぜこうすることが必要なのか、なぜそうしてはいけないのかを論理的に説明してくださるので、納得欲の高い私はとても満足した。

配送日にクール便で届いた箱は意外に小さく、中身はこちら。

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シルバーの保冷袋の中に豚頬肉が入っている。小分けにされた材料にはアルファベットのシールが貼ってあり、別添の材料一覧と突き合わせるようになっていてわかりやすい。

レシピファイルの中身。工程毎にカードになっており、調理中に手元に置いて確認しながら進められた。全体の流れをフローチャートにしたレシピマップに写真の撮り方まで入っていて感激。

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『シェフレピ』についてTwitterで呟く度に、公式さんが反応してくださり、「わからないことがあればいつでも、サイト右下のチャットから問い合わせてください♪」とリプしてくださった。丁寧に仕事をしておられるのだなと思ったのも注文を決めた理由の一つだった。

キットが届いてみて、改めて頼んでよかったと思う。こういうところまで細やかに設計して、オペレーションもきっちり回すのはそんなに簡単なことじゃない筈。「良いサービスにしよう」という気概というか、願いのようなものが伝わってくる気がして、ジンとした。

9日かけてグアンチャーレを育てる

1日目はグアンチャーレを仕込む。塊肉に塩とスパイスをまぶすんだけど、パウダー状のスパイスを肉の上に一気にあけてしまい、端の方まで伸ばせなくて反省。

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上の写真の状態でタッパに入れ、冷蔵庫で4日間寝かせる。4日目に塩抜きして脱水シートに包み、冷蔵庫で2日。ここで脱水シートを取り換えて更に2日冷蔵庫へ。

仕込んでから8日目に脱水シートを外して重量を測る。肉の元の重さの80~85%になっていればOKなのだけれど、87%くらいだったので、追加で一日寝かせた。翌日の予定も開けておいて良かった。「10日育てた」という方もおられるから、スケジュールには余裕を見ておいた方がよさそう。

明るいオレンジ色の甘いトマトソース

9日目。いよいよトマトソース作り。

手持ちの浅めの鍋はサイズが小さ過ぎ、深めの鍋は焦げる可能性が高く、思い切って鍋を購入しようかと思っていたけれど、迷っている間に間に合わなくなってしまった。

結局、深い方の鍋で玉ねぎとニンニクを慎重に炒める。緑のつぶつぶはドライセージ。

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何度か火加減を調整しながら、トマト缶も加えて煮込む。オレンジ色になったところで完成。粗熱をとってミキサーにかける。

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前半は不安、後半は楽しかったニョッキ作り

トマトソースを作る前にパスタ生地を準備しておいた。2種類の小麦粉と塩を混ぜ、熱湯を少しずつ加えて捏ねる。

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途中、写真を撮る余裕がなく...

なかなか滑らかにならず、水分が足りないのか、捏ねが足りないのか判別できずに悩んだ。夏で湿度は高いから捏ねが足りないのだろうと思い、捏ね続けたらそこそこ滑らかになってはくれた。

不安な気持ちで寝かせた後、わーい!もち肌になったー!

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また少し捏ねて、平にしてからスケッパーで切る。

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細い棒状に伸ばし、等幅に切断。

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ひとつずつ、ニョッキボードの上で丸める。

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これで一人分。賑やか。

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細長くなり過ぎたかと思ったけれど、時間が経つと少し戻ってきて、茹でた後はぷっくり可愛いニョッキになった。


伸ばして切って丸める作業は工作のようで楽しい。こういう作業が好きな子どもも多いと思うから、子どもたちと作ってみたい。

仕上げは火加減・水分・塩加減がポイント

いよいよ仕上げに入る。ちょっと緊張。

小さく切ったグアンチャーレを炒め、ワインを加えてアルコールを飛ばす。

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そこにトマトソースを加え、別鍋で茹でたニョッキを投入。途中、火加減を何度か調整する。また、水分を加えてソースの濃度を適切なところに持っていく。ニョッキを茹でる時の塩加減も味のポイントになるので要注意。

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このくらいでいいかな。

皿に盛りつけ、削ったチーズをかけて完成!

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写真を撮るのもそこそこに、一気に食べてしまった。食べ終わった時、口から自然に声が出て「あー、美味しかった。ご馳走さまでした」

「ニョッキのもちもち感が~」とか言う気にならない。全部がまとまって、ただただ「美味しかった」。「ご馳走さま」という言葉は、こういう時のためにあるのだと納得。

最後に


このキットは4人分の量。今回、トマトソースは2人分作り、ニョッキは1人分成形した。グアンチャーレは日持ちがするし、ニョッキも成形した状態で冷凍保存可能とのこと。まだまだ楽しめる。

グアンチャーレを仕込んでから10日近く作ることを楽しみ、美味しく食べて、知識とスキルが身に付き、生きていける自信が上がる。

それに加えて、自分で作ってみることで改めてプロの凄さを知る

例えば、動画で観る、シェフの手さばきの美しさ。包丁使いはもちろんのこと、炒め方、粉のふるい方、生地の捏ね方。どれだけ工夫しながら回数を重ねたら、ああなれるんだろう。

そして、味。今回できたものは自分には十分美味しかったけれど、関口シェフが作られたら、これを遥かに凌駕するのだろう。そのレベルのものを安定して作り続けるのがどれだけ大変なことか。

多様な仕事が選べる時代に、飲食という大変な仕事に敢えて携わってくださる方々のお蔭で、私たちの生活が豊かになっていることに改めて感謝の念が湧いてくる。

他のメニューを作っても、同じような感動があるんだろうな。ラビオリだけでなく、他のパスタも作ってみたい。スケジュール的にキッチンの修繕と重なってしまいそうなので諦めかけていたけど、リフォーム会社の方と相談してみようっと。


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