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音でよみがえる記憶

 都内で散歩していたらキジバトが鳴いていた。キジバトの鳴き声を聴くと、私は実家を思い出す。実家の木に住み着いているキジバトがいて、よく「デーデーッポッポー」と鳴いていた。キジバトの鳴き声をうるさいと思う人もいるようだが、私はあの独特なリズムが嫌いではなく、のどかでいいと思う。

 先日、『ボブ・マーリー:ONE LOVE』を観てきた。私がまだ20代でフロリダで一人暮らしをして働いていた頃、よくボブ・マーリーを聴いていた。リズムも歌詞も大好きで、住んでいたアパートメントの駐車場で、曲を流しながら洗車するのが心地よかった。フロリダは、キューバやジャマイカにも近い。

 当時、私の黒人の同僚は新婚で、「妻の肌の色は自分の肌より明るいから、ボブ・マーリーのようにメラノーマにならないか心配だ」と言っていた。
 私はその頃、R&BやジャズもラジオやCDでよく聴いていた。クリスマスに、職場にルイ・アームストロングのクリスマスCDを持っていって聴いていたら、40代の白人の上司が「この子、南部の音楽を聴いてるよ!」と差別的な発言をされて、イラッとしたのを覚えている。同じ職場で働いていても、やはり肌の色によって、見えない壁があるのだな、と感じていた。

 同僚が毎週同じ曜日に、家に1人で居られない小さな子どもを職場に連れてきていたり、誰かの誕生日に、バルーンが仕事机の上に浮いたりしていて、日本の会社とは雰囲気が違っていた。

映画のプログラム

 今回、ボブ・マーリーの伝記映画が上映されることを知り、楽しみにしていた。どんな背景で曲が生まれたのか、どんな生活をしていたのかが想像できて興味深かった。映画を観た後、パンフレットを買った。マーリー家の人々が映画に参加しているので、ボブ・マーリーは車の運転は自分でしたがったことや、音楽に対する真摯な姿勢など、家族が覚えているディテールが映画製作に活かされているのがよく分かった。

 映画を観て、久しぶりにボブ・マーリーの曲を聴いている。曲に込められたメッセージが普遍的で、今聴いても心に響く。争うより、音楽によって団結できればいいのに。ちなみに、私が好きな曲は『Three Little Birds』だ。

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