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猫になりたい

下界からにゃあにゃあと
呼ぶ声がする。
聞こえないふりをしていると、
今度は布団の上から踏みつけられる。
昨夜も遅かったから、
もう少し眠らせてくれないかな…
そんな私の思いなんておかまいなしに、
二匹の追いかけっこが始まり、
携帯のアラームも鳴る。
眠いけど、もう起きなきゃね。

にゃんこ達にご飯を出したら、
フライパンを出し卵を焼く。
どうして人間は一日に三度も
お腹がすくのかな。
にゃんこみたいに二食で済めばいいのに。
どうして人間は毎日違うものを
食べたくなるのかな。
にゃんこみたいに毎日同じご飯なら
ラクなのに。

人が感性や技術で創り出した
いろんなモノを利用して、
他人によく見られるよう身仕度する。
にゃんこなんて自分のために
毛繕いするだけ。

たくさんの人に気を遣いながら、
なんとか仕事を終える。
にゃんこは同居にゃんこを
たまに気にするくらいで、
人様には全く動じない様子。

便利と言われるいろんなモノを駆使して、
追い立てられるように時短する。
なんとか捻り出した時間には、
どんどんやりたいことを詰め込んでいく。
そうして一日のほとんどを
寝て過ごすにゃんこをよそに、
寝不足の私の夜は今日も更けてゆく。

にゃんこって、
ちょっとの間撫でられるだけで、
なんて幸せそうな顔をするんだろう。
人はいつになったら、
幸せな顔になれるのだろう。

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