ALSを「普通に生きる」ということ
参議院選挙が幕を閉じ、れいわ新撰組から難病ALS患者の船後靖彦さんが当選されたことに、数日経ってじわじわと湧き上がるような希望を感じています。
同じく当選された脳性まひ患者の木村英子さんもまた、「国会の議員さんたちがどんな風に私と接してもらえるか。それを今、楽しみにしています」とインタビューで答えられてます。
選挙なんて興味ない、1票で何が変わるの、政治は関係ない、と
思う人が有権者の過半数いるとしても、
現実は違う、ということを体現してくれているかのようなお二人の当選。
まさに、国会が変化することで、私たちの日常生活や街が変化していくはずだと期待しています。
ところでみなさんはALSという難病についてどこまでご存知でしょうか。
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難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、原因不明で突如発症し、身体中の筋力が徐々に弱まり、やがて話をすることも自力呼吸もできなくなる病いです。
「天井を見つめるだけで生きていても仕方がない」そんなふうに思われたり、絶望してしまう患者さんやご家族も多くおられます。
それでも、生きることを諦めず、周りの人と共鳴して動いていく方もいる。
「どう考えても無理」だと思われてしまいそうなことを実現する方がいる。
私はそのことを、一年間ALS患者として生きる佐々木公一さんに密着し、ルポを書くことで身を以て知ることができました。
『世界はまた彩りを取りもどす:難病ALS患者佐々木公一の拓いた「普通に生きる」』(玉居子泰子著・江連麻紀写真/ひとなる書房/2019年6月刊)
ALS闘病生活24年目を迎えている佐々木公一さんもまた、「不可能だ」と思われることを、国会や行政に訴え続け、ヘルパーにより呼吸器の痰吸引を認めさせたり、24時間他人介護の実績を作ったり、自宅療養中の難病患者の投票を可能にする制度を整える訴えをしたりと、ALSをはじめとする難病患者が「普通に生きられる」道を探してきた一人です。
そんな佐々木さんの生き方に触れるうちに、
これまで自分が何かを成し遂げないと価値がないのではないか、
自分には何もできないのではないか、と考えがちだった私の世界の見方は大きく変わっていきました。
体が動かせて、日々自由に行きたい場所に行けて、話ができる。
そんな自分が「何もできない」ということなんてありえない。
と思うと同時に、
心や体を病み、たとえ何もできない状態になったとしても
生きているということだけでこんなにも誰かに影響を与え、
支え支えられて幸せを感じることができるんだ。
ということも教えてもらいました。
自分自身の生き方が変わっていきました。
ALSとはどんな病気なのか。
普通に幸せに生きるとはどういうことなのか。
生きる価値ってどこにあるのか。
そんなふうに疑問を抱いたことがある方にはぜひ佐々木公一さんの生き方からALSのことを知ってもらいたいと願っています。
2006年に佐々木公一さんが発起人兼編著者となってALS患者の生の声を集めたブックレット『生きる力』(岩波ブックレット)が刊行されています(*残念ながら絶版のようです)。
こちらにも船後さんの体験談も掲載されています。
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