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「書かれた顔 4Kレストア版」

スイスの映画作家ダニエル・シュミットが歌舞伎の女形 坂東玉三郎を描いた映画が、4Kにレストアされ、映画の出資もしたユーロ・スペースで観てきました。

ダニエル・シュミットと言えば、1980年代蓮實重彦氏ら日本の映画人が“発見”したというスイスの監督。オペラなどの芸能に造形が深く、夢と現実、フィクションとドキュメンタリーの境をなくすような映画が特徴で特に「ラ・パロマ」での青年貴族(とっちゃん坊やのような快優ペーターカーン)と娼館の歌姫ラ・パロマ(ファスビンダーの妻イングリット・カーフェン)による愛と狂気と死を描く、オペラか怪奇映画かメロドラマかわからない作品は何度も観たくなる癖になる変な映画ですが、そんなシュミットが、世紀の歌舞伎女形玉三郎を素材にまたまた現実なのか夢なのかわからない作品。

昔、僕は京都南座で泉鏡花の「高野聖」で玉三郎を観たことがありますが、その時の印象より、今回は特別に美しかったです。この映画の題名は、歌舞伎役者の顔が書と同じ筆で書かれているというロラン・バルトの日本文化論「記号の国」(「象徴の帝国」)取られたそうで、女より女らしい玉三郎の女形論も挿入され、滋味深い映画でした。孤高舞踏家の大野一雄も美しかったです。


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