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プリーズ・キル・ミー~アメリカン・パンク・ヒストリー無修正証言集Please Kill Me ~The Uncensored Oral History of Punk


~ この本で取り上げられた楽曲でSpotifyのリストも作ってみました。~
日本版は、表紙にフィーチャーされたアンディ・ウォホール、ベルベット・アンダーグランドそしてニコの表紙のように、彼らから始まったアメリカ(ニューヨーク)でのパンクの話のような見え方ですが、これはニューヨークから始まり、一時期、ニューヨーク・ドールズのマネージャ―をしていたマルコム・マクラレンにより、イギリスで作られたパンクのお話。
本人やその身近な人たちの語りを組み合わせて、ものすごくリアルで面白く、そして、ドラックでボロボロになった若者たちの話。
登場人物は、アンディ・ウォーホール、ベルベット・アンダーグランド(ルー・リード、ジョン・ケール)、ニコ、ドアーズ、MC5 ,イギー・ポップ&ストゥージーズ、デビット・ボウイ、ニューヨーク・ドールズ(デビット・ヨハンセン、ジョニー・サンダース、ジェリー・ノーラン)、パティ・スミス、テレビジョン(トム・ヴァ―レイン、リチャード・ロイド)リチャード・ヘル、ハートブレーカーズ、ラモーンズ、ブロンディ、ディクティターズ、ウエイン・カウンティ、マルコム・マクラレン、セックス・ピストルズ(ジョニー・ロット、シド・ヴィシャス)
【テレビジョンのオーディションに来た候補は4,5人。その中の2人は、ディー・ディ―・ラモーン(ラモーンズ)、クリス・スタイン(ブロンディ)だけど二人ともダメだった。】リチャード・ヘル
【リチャード・ヘルとトム・ヴァ―レインのあいだに愛憎関係があるのは間違いなかった。そこにリチャード・ロイドが加わると、これがまた美しかった。ギター対決もよかったし、あの三人が一市にプレイするあの素晴らしさと言ったらなかったよ】テリー・オーク(トムが働いた映画専門書店のオーナー、テレビビジョンのデビューシングルをリリース)
【テレビジョンは最高だって思ったよ。リチャード・ヘルの腕とトム・ヴァ―レインの首筋。彼らの肌。そのうえリチャード・ロイドがいた。俺のファック相手だった奴。まったく、美しさで売ってるバンドだね】ダニー・フィールズ(エレクトラ・レコーズ社員。ストウージーズ、ジョナサン・リッチマン&ザ・モダンラヴァーズ、ラモーンズマネージャ―)
【俺が初めてリチャード・ヘルを見た時、CBGBに入ってきた彼は胸に標的が描いてあって「殺してくれPlease Kill Me」って文字が入ってるんだよ。】ボブ・グルーエン(写真家、映画作家)
【リチャード・ヘルは最高だと思った。この男のイメージ、びりびりに破れたTシャツ、この突っ立った髪、何もかも~これをロンドンに持ち帰らなくてはと思った。僕はあれにインスパイアされ、これを模倣し、もっとイギリス風に変えようと考えたんだ】マルコム・マクラレン(ニューヨーク・ドールズ、セックス・ピストルズ マネージャ―、ヴィヴィアン・ウエストウッド元夫)
【パンクという言葉で、僕らのつなぐ糸が一言で表せそうな気がした~酔っぱらうこと、人を不快にさせること、カッコいいけど気取らないこと、くだらないこと、笑えること、皮肉なこと、そして暗い面を引き出すもの】レックス・マクニール(「パンク」誌ライター)
「俺があの歌を書いたのはリチャード・ヘルに対抗しようと思ったからなんだ」彼らがルー・リードのヘロインよりいい歌を書いてやるって言ってたからさ。それで俺、うち帰って「チャイニーズ・ロック」を書いたんだ。そのあとリチャード・へルがあのラインを書いたから彼にもクレジットをあげたわけさ。】ディー・ディー・ラモーンズ(ラモーンズメンバー。バンドではドラックにまつわるものはNGなため、ハートブレーカーズで録音)
【そこの集まったキッズは揃って妙な格好してた。あのぴんぴんに突っ立ったおかしなヘアスタイルも既にちらほらいたね。セックス・ピストルズはそのグループでは、完全に注目の的だった。ジョー・ストラマー、ミック・ジョーンズ、ビリー・アイドル、アダム・アント、スージー・スーもその中にいたんだよ。彼らはみんなバンドやれたらって言っていたよ。学校通うにはクールすぎて、仕事につくには常識がなさすぎるっていう連中の世界なんだから。】ボブ・グルーエン
【1976年ロンドンのあの秋。世界が動きだしたってはっきり感じたわ。ニューヨークでジョークとして始まったものが、イギリスのもっと若くて、もっと危ないオーディエンスによって本物になったんだと思った。私にとっては、はるかに大人で知的なボヘミアン・ロック・カルチャーだったのに、それがイギリスでは、こんなクレージーなティーンエイジャー・ムーブメントになっていった。その年の夏ダムドを観にいたのを覚えているけど、「パンク」って書いてあるTシャツ着ているだけで、みんなものすごく興奮したのよ。すぐに爆発しそうで、はるかに危険だった。】メアリー・バロン(「パンク」誌元ライター「I Shot Andy Wahoal」 「アメリカン・サイコ」監督)
【僕は、ニューヨーク・ドールズで失敗したことをセックス・ピストルズでやろうとしたんだよ。リチャード・ヘルの持つニュアンス、ニューヨーク・ドールズのホモっぽいポップ性、退屈の政治ってやつ。全部混ぜ合わせて、ある主張をしようとしてたんだ】マルコム・マクラレン
【ロバート・クインに向かって、お前確かに、大学教授か保険外交員みたいに見える。お前車もってるか。それって茶色かグレーだろ。“大当たり茶色だ】リチャード・ヘル
【実際、夢を持とうと思ったって持ちようがなかった。ヒッピー・カルチャーなんか、ほんとうんざり、みんな無理やり楽観主義者にされて、人を気遣ういい人にされたの。無理やり愛と平和を信じ込まされた。気取ってて、センチメンタルで、スマイルだらけで、でもここにリチャード・ヘルが出て来て「俺たちは空白の世代(Blank Generation)すべて終わったんだ」メアリー・バロン
【無知な人たちって、私本当に耐えられないの。特にファシズムを信ずる無知な人たち。そして、デヴィット・ボウイって人はね。どうにも手に負えないぐらい無知なところがあるのよ。デヴィットがドイツで表現主義にはまったのも、私が彼に対する愛情を失う原因の一つになったわ。】アンジェラ・ボウイ
【ピストルズが解散したのはショックだった。なんて馬鹿なんだって思ったよ。救いようのない若造たちーオスカー・ワイルドが言ったとおりだなー「若さは若者に浪費される」アートウロ・ヴェガ
【テレビジョンのセカンド・アルバム「アドベンチャー」のレコーディング中、倒れて入院することになったんだ。心臓の病気で、そもそもドラックの打ちすぎが原因】
リチャード・ロイド
【僕らはそもそも周りと違っていた。トムの書く詩はダブルミーニングどころか三重くらいの意味があったし、しかも彼の声はシンガーの声じゃない。ヤギが首を切ったらあんな風に聞こえるんじゃないかな。彼は歌のレッスンを絶対受けようとしなかったし、とにかくラジオで流せる声じゃなかった】リチャード・ロイド
【ジョニー・サンダースは日本のツアーで2万ドル稼ぎ、ニューオリンズに亡くなった時は、床に日本円がいっぱい散らばっていた]ウイリー・デヴィル
【ニコが死んだのは、イビサで健康保険に入ってなかったせいだ。自転車に乗り町までマリファナを買いに行くとき、日射病になったんだ。】ポール・モリセイ
【エベレストに登り、凍傷にやられ、手足がもげて、雪崩で死んじゃう人もいる。月に向けて打ち上げられたスペース・シャトルが爆発して死んじゃう人もいる。そもそも何のためにそんなことをするんだ?無重力状態の中で、ふわふわ浮かんで、地球を外から眺めたいからか?僕はさ、どこにも行かないままでそういう体験ができるものをやったんだよ。確かにそれで死んだ人もいるよ。でもこれが異常なら、普通の人たちが立派だってあがめる仕事や探求だって同じようなものだよ。】リチャード・ロイド


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