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#2 留置所

仰向けになり上を見上げた。
コンクリに色を塗っただけの無機質な天井。
壁も同様。
床はプラスチック製の畳が敷き詰められている。
前方には壁はなく鉄格子がある。
鉄格子はよく見る縦に太い鉄棒が入っているのでなく、BBQの金網をかなり太くしたような
もので、指一本すら通らない。

後方にも視察用の鉄格子があるので
なんとも風通りがよく、凍える。
あとは角に和式便所があるだけだ。(仕切りあり)

ここにぶち込まれて2日が経っていた。
今までの経緯を思い出してみる。

逮捕当日。
神奈川県某警察署に連れていかれた。
そのまま取り調べ室、ボロボロのパイプ椅子に
ボロボロのデスクがセットだ。
取り調べでは緘黙を貫いた。

用語:緘黙(カンモク)
一切何も喋らないこと。
完全黙秘のカンモクとも言う。

裸になり金属探知機で体を検査した後、
両足を広げて跳べ、と言われたので裸で跳ぶ。
軽く玉裏や穴もチェック。
それから留置所の服を借りた。

着替えは持っているが今は検査中だそうだ。
ちなみにズボンなどのヒモは全て抜かれる。
ヒモが自殺、他殺に使える道具ということでだ。

それから留置所の説明を受ける。
1日の流れ、購入できるもの、手紙の発受、
同室人とのケンカや性行為についての注意など。

もう投げやりになっていたので
ほぼ、聞いていなかった。
というより、脳の処理がまだ現状に追いつかない。

ここでは名前で呼ばれることはなく、
2桁の番号で呼ばれるそうだ。
私は74番だった。
そしてそのまま鉄格子のある部屋へ
押し込められ、ガチャリ、と
重たい錠を閉められた。
中には誰もいなかった。

ここで改めて「捕まった」ことを痛感した。

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