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ぬいぐるみと涙

父に対しいい印象がない。しかし1つだけ、子供のとき、遊園地から帰るときにどうしてもほしかったぬいぐるみを買ってくれた、というエピソードがある。私は全くわがままな性格の子ではなかったので、泣いたり喚いたりしてぬいぐるみがほしいという主張をしなかったが、なぜか父はそのとき私の思いをくみ取った(というように記憶している)。そして、出入口付近のお店に戻って買おう、と言って、母と弟を待たせ、私の手を引いて買いに行ったのだった。たぶんこの記憶で間違いない。そのぬいぐるみはまだ実家にある。

実は今日、その遊園地の前を偶然通りかかり、そのことを思い出してちょっと泣いてしまった。この気持ちは何なんだろう。憧憬、切なさ、渇望、疑問。いろいろないまぜであることは間違いない。

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