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3月9日 詩集


生まれるというのはとても尊いことです。

私はありがたいことに
子どもを産むという経験があるので
大好きなあの人がうまれた時の
あの苦しい尊さにまで思いを馳せることができるんですが。

あまりやり過ぎるとホラーなので
この辺でやめておきましょう。
そんな3月9日。
正直こんな私的なものを
世に放って良いタイミングではないように思う。

幸せで、ただあたたかく。
世界中から愛されているあなたに相応しい
光に満ちた日であって欲しい。
私とは無関係でいて欲しい。
無関係に、幸せでいて欲しい。


そう思ってはいるんですが、
それでも書いたので。
そもそも届くわけもないものに
また馬鹿なことを言ってるのは分かってるんですが。
好きで好きで
どうしてもわけがわからなくなってしまう。
ばかだなぁ、本当に。ばかなんだ。

そんなぐしゃぐしゃに丸めた
ティッシュのような詩集を
特別な今日という日を借りて
残しておこうと思います。








3月9日




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抱きしめるみたいに
肩をたたくみたいに
ただ背中を見せるみたいに

かろやかに
撫でるように
包むように
触れないように

やさしく やさしく
ほんとうに やさしく
そうやって 光るひと




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思い出すことで
思い出されることで
またひとつ またひとつ
存在が確かなものとなって
しんしんと降り積もり
長い年月をかけ
溶けずにそのまま
ずっとずっとそのままで

何万年も続く氷河のように
何万年も眠る氷河のように
そのままで ずっとそのままの想いで
ひんやりと在る氷河のように
部屋の片隅の 片隅で
抱きしめようとおもいます




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だいすきです
と言うのは
伝えたいからではなく
押しつけたいからではなく
渡したいからではなく
身体中を駆け巡って
行き場をなくした熱が
さまよって さまよって
どうしようもなくなって
漏れ出てしまっただけなのですが
それでもやっぱり声に出したら
空気中を漂って 漂って
届いてみてもいいのになんて
思ったり 思わなかったり
するもので
困ります 本当に
だいすきです




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その草原に触れたい
ひとさし指で
親指で
手のひらで
崩れないように
乱れないように
柔らかな草原が
ずっと柔らかく 青く
そのままでいられるように
うつくしくいられるように
やさしく そっと
そっと
触れてみたい




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ありがとう
いてくれて
うれしいよ
すきなんだ
ほんとうに
たまらなく
いてくれて
それだけで
ありがとう
すきなんだ




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寝る前にわからなくなったものが
朝 目覚めた
その瞬間にわかってしまう
寝惚けているのに
世紀の大発見のように
閃いて 確信に変わる
心の底にそれはある
今日も 明日も そこにある
あぁ 好きなんだ
それは希望か 絶望か




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箸が転がったのを見て
笑い転げる日があるように
葉が地面に落ちたのを見て
雨粒が窓についたのを見て
雪が降りはじめたのを見て
それだけで 恋に落ちる日がある
好きに近づく日がある
そんなことを 初めて知った




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夜の海にも行ったことがないから
ねこふんじゃったも弾けないから
そんなんだから
あなたの近くに行けないことを
当然なんて考えたりして
こころぼそい部屋で
自分ひとりで
勝手に ふんだりけったり
あぁ さみしいな




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身勝手だ
身勝手にばかりきみを見て
身勝手にばかり好きと言って
身勝手にばかり抱きしめてしまう

それをすべて認めてくれる
それをすべて愛してくれる
そんなふうに見せてくれる

地球から見た月みたいに
きれいでいられたらいい
すこしの悲しみと一緒に
遠く離れたこの距離まで愛そう
身勝手だ




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どうしてそんなふうに立っていられるのか
そんなふうに
なんでもないみたいに 立ちながら
なんでもなくないところを見せながら
人生を見せるような素振りで
なにもかもを隠しながら
心を奪いながら
すべてをくれるような仕草で
どうしてそんなふうに
どうして そんなふうに

たとえばそれが泡のようでも
何度も必死につかみたい
いかないで いかないよ
確信はないけど
もう少し あなたが良いと思うまで
わがままとわがままの応酬
きっと互いにわがままで
だから時々 好きが好きを超えていく
ありがとう、ごめんなさい、好きです
もう少し このまま




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導く 攫う
どこへ どこまで
踊る 焦がれる
どこへ どこまで
苦しい 甘い
やける やかれる
心を 捧ぐ
日々と 日常




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あなたは わたしの 光 かもしれないね。
2022.03.09


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