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卒業の

卒業の季節です。

卒業式のような大々的なものは、高校や大学が最後だったかもしれないけど、その後の人生でも節々で、色んなものから卒業し、色んなものが自分のもとから卒業していっている。

今日だって誰もが大好きだった偉大な漫画家がこの世から卒業した。

花びらが枝から卒業する時は、ゆらゆら、という表現を用いるけれど、人が人生から卒業する時には、どんな四文字が適しているのだろうかと、ふと、思った。

それはもちろんその人の生き様や死に様によって変わってくるだろう。

私が人生から卒業する時には、ほろほろ、という表現を用いれるような人生が良い。

ほろほろと脆いけれどその人の口の中で優しく溶けるような存在でいたい。

私が人生を卒業する時に、あなたとの人生は悔いのないものだったけれど、今この瞬間はどうしても悲しくって、この矛盾に、ほろほろと涙が溢れてくる。

というくらいの死に様でいたい。

今年ももうすぐ花々が咲き乱れ、それらが舞い落ちていく。

ゆらゆらと舞い落ちる花びらを見た時に、私は、誰を想い、どういった気持ちになるのだろうか。

それを知るための春が待ち遠しい。

私の知っている者達が私を残して卒業していく世界で、私はあなたと春を待つ。

終わり

#シロクマ文芸部
#卒業の


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