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小説

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#クリスマス

真っ赤な手袋【才の祭】

人生って幸せと不幸のバランスが上手く調節されているのかもしれない。私の人生、19歳までは常に幸せの自己記録更新だった。 小学4年から想いを寄せていた1個上の先輩、舜くんと中学1年の時に付き合い始めた。付き合った1年目の誕生日にくれた真っ赤なミトンの手袋。白猫の刺繡がされている手袋。可愛いくって、嬉しくって、舜くんに 「なんでこの絵柄にしてくれたの」 って聞いたら 「この前一緒に帰ってた時、黒い猫の絵が描いてあるトラック見て、『黒猫も可愛いけど、私は白派かな』って言って

真夏のサンタ帽🎄🎄完🎄🎄

今日はいよいよ最終日だ。 しかしおもちゃのキャスターからのメッセージは何も無い。 何も言われなくとも人々は何をすべきかわかっていた。 戦場ではおもちゃ達がおもちゃ同士を壊し合っている。 国会ではおもちゃ達がおもちゃ同士罵倒し合っている。 俺たちはなんて滑稽な事をしていたのだろう。 そんな人々も思い思いの場所に集まった。 そしてそれぞれの形で祈り始めた。 ある者は、また愛する人に会えることを祈る。 ある者は、死んでいったあの人のために祈る。 そうやって祈りが

真夏のサンタ帽🎄3🎄🎄

最終日1日前の8月30日。最近黙りこくっていたあのおもちゃのキャスターがまた語り出した。 いよいよスペシャルウィークも大詰めです。本日の夜、夏に開催予定だった祭りを全て実行します。祭りと聞いて思いつく場所に行ってみてください。 そんなニュースが全世界に配信された。 ⁂ ところ変わってここは青森県。 彼の名はゴン。数少ないねぶた師の1人であり、祭りの為に生きている男だ。この男もこのニュースを聞いて驚いていた。 2ヶ月前くらいから変な噂が流れてたんだ。夏に必ず祭りを開

真夏のサンタ帽🎄2🎄

8月25日のクリスマスが終わった翌日の26日。そこから29日までは特に何のイベントも開催されなかった。皆が、それぞれしたかったことを楽しんでいる。ある者は海外旅行に行き、ある者は好きなアーティストのライブに行っている。その頭にはサンタ帽。 そんな中、この親子も忘れられない3日間を過ごした。 僕の名はあいき。僕には大好きな母さんがいる。えりこって言うんだ。僕と母さんは2人で小さなアパートに住んでいる。お父さんは僕が生まれてすぐくらいに交通事故で亡くなってしまったらしい。でも