マガジンのカバー画像

小説

42
書いた小説まとめ。
運営しているクリエイター

#夏

真夏より眩しい。夏の香りに思いを馳せて用。

夏。夏最高。田辺夏樹。この名前で冬が好きだ、なんて言えれば会話の掴みとしてはバッチリなのだろうけれど、夏樹が最も好きな季節は誰もが予想する通り、夏だった。しかも夏の中でも真夏が一番だった。 真夏は全てを許してくれる気がして好きだった。鼓膜が何枚も破れてしまいそうな爆音を撒き散らかしながら愛車のSUVで疾走しても、真夏なら許してくれる気がした。 冬なら17時には1日の終わりを予告するが、真夏はギリギリまで1日の終わりを太陽で隠してくれた。そのお陰で、気の知れた連中といつまで

真夏のサンタ帽🎄3🎄🎄

最終日1日前の8月30日。最近黙りこくっていたあのおもちゃのキャスターがまた語り出した。 いよいよスペシャルウィークも大詰めです。本日の夜、夏に開催予定だった祭りを全て実行します。祭りと聞いて思いつく場所に行ってみてください。 そんなニュースが全世界に配信された。 ⁂ ところ変わってここは青森県。 彼の名はゴン。数少ないねぶた師の1人であり、祭りの為に生きている男だ。この男もこのニュースを聞いて驚いていた。 2ヶ月前くらいから変な噂が流れてたんだ。夏に必ず祭りを開

真夏のサンタ帽🎄2🎄

8月25日のクリスマスが終わった翌日の26日。そこから29日までは特に何のイベントも開催されなかった。皆が、それぞれしたかったことを楽しんでいる。ある者は海外旅行に行き、ある者は好きなアーティストのライブに行っている。その頭にはサンタ帽。 そんな中、この親子も忘れられない3日間を過ごした。 僕の名はあいき。僕には大好きな母さんがいる。えりこって言うんだ。僕と母さんは2人で小さなアパートに住んでいる。お父さんは僕が生まれてすぐくらいに交通事故で亡くなってしまったらしい。でも

真夏のサンタ帽🎄

2020年夏。世界中に不思議な光景が広がった。 クリスマスでも無いのに町の全ての皆がサンタの帽子を被っているのだ。 この現象の発端は8月24日の夜に起こった。世界中の人類一人ひとりにプレゼントが配られたのだ。 その中身はサンタクロースの帽子。 そしてサンタ帽と一緒に手紙が添えられていた。 1週間の魔法。8月25日から8月31日まで、このサンタ帽を被っていればコロナにかかりません。今コロナの人もこの期間だけは人にうつすことはありません。苦しみに耐え忍んでいる皆さんへの