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守備範囲以外への敬意について尊敬する件

私の両親は、お互いを尊敬しあっている。
父は高校卒業から働き出し、自分で作った会社を65歳まで守り続けた。母は父の仕事を支え、そして私たち姉妹の穏やかな暮らしを守り続けた。
父が仕事を引退し5年以上たつが、ふたりを見ているとふとした時に「尊敬しあっているのだな」ということが感じられる。

たまに母は父の愚痴を言う。歳を取りお互い頑固になり、腹が立つことが増えたようだ。私はたまにの帰省だからと一生懸命に話を聞き、そして少しだけ便乗して父の文句を言う。しかし決まって最後には「でもお母さん、ずーっと仕事頑張ってくれたお父さんを尊敬してるし大好きやねんな~」というのだ。なんやそれ、である。

父はというと、まったく母の愚痴は言わない。というか思い返せば聞いたことがないかもしれない。それどころか息をするかのように感謝の言葉を伝える。優しいだとか料理がおいしいだとか髪型や服がかわいいだとか。昭和の男とは思えぬ素直さ。キザとかではなく、思ったことをただ口に出しているピュアボーイなのだ。

なかでも私が好きな言葉がある。父が時たま言う、「お母さんは魔法使いやわ」だ。
野菜や肉などの食材はそのままではおいしく食べられないけど、その組み合わせを考えて料理してさらには食べる人を幸せな気持ちにできるなんて、父からしたら魔法使いと同じなんだそう。

「男が仕事して女が家事」だとか、そんな考えは令和では通用しない。私もそう思う。だけど、そのカタチをとっている家族は少なくはない。大事なのは、どんなカタチであれ自分の守備範囲以外の世界を守ってくれているパートナーへの敬意を忘れないこと・伝えることだと思う。
自分の家庭を持っているいま、それを何十年も当たり前のように続けている両親を改めて尊敬している。

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