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秋の訪れとブログのはじまり

このブログについて

初めての投稿です。釣行の記録を日記風の読み物として書いていこうと思います。
釣り人にしかわからない専門的なものにするつもりはありません。
です・ます調にしたのは、文才のない自分にも手紙形式なら読者を意識しながら伝えられることがあると思ったからです。

日記なのに見てもらいたいってなんなんだ?
と思いましたが、それがブログなのですね。

さて、今更こういうことを始めたのは"芸術の秋"としか言いようがありませんが、芸術には怒りや悲しみがつきものです。昨日の釣行にもそんなことを感じました。釣り人はきっと共感するでしょうが、そうでない人にとっては釣り自体しょーもないと思えることでしょう。どちらの気持ちもわかります。そういうもやもやがブログを書く原動力になります。

"かの川"へ

昨日は多摩川の釣り仲間の間で"かの川"と呼ばれる場所に電車で向かいました。

Xの投稿。
詳細を書くか迷ったが、意味深な一言を添える方がツイッターぽいかな?と1分くらい考えて投稿した。結果的には予想通り「いいね」の数が多かった。なお、ルアーはこの4倍持参している。

よく眠れず休日なのに7時ごろ目が覚め、妻を起こさないように風呂や洗い物や朝ごはんや洗濯などを済ませると10時を過ぎていました。
最近は妻の方が起床が早くて負担をかけていたので、たまにはこういうことをしないとバランスが取れません。おまけに今日は釣りに出かけるのでポイントを稼いでおく必要がありました。

私の住む東京の稲城市には多摩川沿いに南武線が通っており、いつも釣竿を担いで自転車で行く見なれた風景をあっという間に通過していきます。

最近濁っていたのに水が澄んでいるなぁ
わざわざ遠いところに行かずに近場で釣りすればよかったのでは?

そんなことを思いながら約1時間かけて"かの川"へ向かいました。
そう呼ばれる理由は諸説ありますが、ぴったりはまっていると感じるのは人工物だらけの多摩川で釣りをするおじさんたちの郷愁を誘う風景がそこにあるからです。私を含め、東京で働き東京で釣りをするおじさんたちの中には、子供なら全員釣りをしていたような釣りブーム全盛期に田舎で育った人もいます。豊かな自然のなかで釣り糸を垂らせばすぐに魚が釣れる。ふと視線を上げると大きな入道雲、蝉の声。道を横切るアオダイショウ。稜線を染める夕陽。それが生活の一部になっていた子供時代の記憶。
大人になっても釣りに夢中になり時間を見つけては車でいろいろな管理釣り場(ルアーでマスを釣る釣り堀)に出かけたり、山奥の川や湖、海にわざわざ行く人も多いのですが..私はそれとはちょっと違います。
釣りは好きだけれど、気軽に楽しめないと釣りではないという気持ちがあるのです。家から徒歩で行けたり、遠出するにも交通機関で1時間程度の場所で十分釣れるということが、自分にとっての釣りなのです。
"かの川"にはその条件がぴったりと当てはまります。

釣り開始

この場所は鮎釣り師が多いのですが、まばらになってきた印象です。それもそのはず、夏が終わると上流に遡上していた鮎は産卵のために川を下っていくので数が減っているのでしょう。下流域、それこそ近所の多摩川などではこの時期を狙って落ち鮎を取る人もいるくらいです。昨日までの記録的な残暑が嘘のように秋めいており、半袖で来たことを後悔しました。おまけにこれから清流に膝まで入るのです。

Xの投稿。釣った時はハスかと思ったが、投稿画面でオイカワだと気がついた。
ちなみにこんな小魚をルアーで釣る人は少ないし、釣れることも珍しい。

いきなり写真を載せましたが、釣るまでに時間がかかりました。
いつもならばすぐに反応があるものの、初めの1時間は何も釣れず何やら危険なムード・・そもそも、この川に来た理由はロッド(釣竿)の"鱗付け"をするためでした。新調した竿で魚を釣ることをそう言います。このロッドはパーツを取り寄せて自作したもので、川で幅広い魚種を狙うために色々とこだわったのです。しかし多摩川での2日間の釣行は芳しくなく、絶対に釣れるこの川に来たというわけです。それなのに・・と絶望して天を仰いでいたら釣れました。
こういうことはよくあります。釣り人がいう"殺気を消す"というやつですね。
本来であれば釣れた魚や釣ったルアーを大きく写すのですが、あくまで主役はロッドのため中途半端な構図になりました。結果的にどちらもうまく写せていません。川の真ん中で撮ったせいもあります。どこにも道具を置けないし手も塞がっているし、ヘタをするとスマホを水没させるかも。結構危ないことをやっています。

危ないと言えば、一時的でも下半身が全て水に浸かるのは想定外でした。
いつもパンツまでは濡れません(電車移動のおじさんの発言)。
水位は高くありませんが先日の台風で水底が洗われて、以前よりも水深が高くなっていました。おまけに低水温。釣り人の死亡事故で多いのは急流に浸かって釣りをする鮎釣り師らしいのですが、それも頷けます。
「あっけなく逝く」と呟きながら浅い岸沿いを歩いて上流側から釣り下ります。
川幅は約15m、釣り可能な距離はだいたい150mほどの小規模な釣り場です。
上流から下流にかけてだんだん深くなっていき、一気にドンと深くなる水量の多い川。ライフジャケットを着ているとはいえ、もし流されたら何が起こるかわからないし、多大な迷惑をかけることになるでしょう。

ハス。もともと関東にいない魚だが、関西の鮎を放流する際に混じって広がった。
ニゴイなどとともに「国内外来種」とされている。

下流側にルアーを遠投し、ロッドを小刻みに動かしながら早めに巻いてくると・・ガツン!という大きなアタリがありました。
20センチを超える大きなハス。やっぱりこの口が愛らしく見惚れてしまいます。

なぜ釣れない?

いつもなら2時間で20匹は軽く釣れるはずがまだ2匹。どうも根本的な問題がありそうだと考え始めました。
私が到着したのは昼すぎ。釣り人にとっては遅すぎる出勤時間です。私と同じようにルアーでこの場所を釣り下る人は滅多にいないので、鮎釣り師が入ったのではないかと思いました。
鮎釣りには大きく分けて2種類あります。有名なものは「友釣り」です。おとり鮎と呼ばれる生きた鮎に針を掛けて泳がせ、それにぶつかってきた鮎を釣る方法です。縄張り意識が強い鮎の習性を活かした釣法といえます。
もう1つは「転がし釣り」です。たくさんの針がついた糸を川に落として転がすという、いわゆる引っ掛け釣りです。私はこれを酷い釣りだと思っています。
ルアー釣りも魚の口に穴をあける酷い行為に違いありません。それでも魚を選んで釣ったり、なるべく傷つけずに丁寧に釣ることが可能です。良くも悪くもゲームフィッシングです。転がし釣りは漁。釣るというよりも獲るという感覚ですね。食うためにやるので獲り方は問題ではないのです。しかしその過程で全く関係ない魚も傷付けることになるのが酷い。無差別にそこにいる魚を全部引っ掛けていくのです。
私がくるよりも先にころがし釣り師が一人でも入っていたら、どんな魚も釣れなくなるでしょう。魚は人影を見るだけでも警戒するのに、針なんか流されたんじゃどうしようもありません。
そんなことを考えながら釣り下っていると、進行方向に鮎釣り師が現れました。

不幸は続く

川の近くにスクーターを止めたおじいちゃんが鮎竿を出して釣りの準備を始めました。そして私の進行方向の10m先から川にIN!釣法はもちろん転がし釣りです。
「それやられると釣れなくなるんですよ」と、ごく自然に言いそうになりました。
文句を直接伝える性格ではありませんが、心が叫んでいました。というか事実なのです。それをやったらもう何もできなくなってしまうのですから。
それに狭い場所の釣りにおいては先行者を意識するという暗黙のルールもあります。これについては最近SNSでも問題になっていましたが、そもそもそういうことを知らない人もいるし、気が回らない場合もあります。なにより法律はありません。考えようによっては悪しき慣習かもしれません。後から来た人は早く釣りたいわけだし、なるべくいい場所で釣りをしたいと思うのも当然です。
"早い者勝ち"という区切りをどこから考えるのかという問題になり、結論は出ません。

あなたならどうする!?

考えるより行動!私はその人の対岸側を歩いてさらに下流に移動しました。こちら側と鮎釣り師のいる対岸側とはある程度距離があり、釣り場が干渉しないと考えましたが一応は追い抜いた形になります。これはこれで暗黙のルールを違反する行為かもしれませんが、もはや無法地帯です。幸い、転がし釣り師は上流に移動して距離が離れていきました。
この件を少しややこしくしているのは、上流側が先行者であるという渓流釣りのルールです。(釣りしない人からするとマジでどうでもいい話だと思う)
魚は上流側を向いて泳いでいるので、狭い渓流では下流側から近づいて静かに釣りをしないと釣果に恵まれません。だから下流から釣り登るのが普通ですが、その先に釣り人(先行者)がいたら追い抜いてはいけないし、上流から釣り下ることは悪手です。
対して、広い川や湖では上流下流というよりは"いい場所"が存在するので、先にそこに陣取ったほうが先行者となります。
この川は中途半端な規模感で上記2つの要素がミックスされており、どう解釈すればいいのか非常に難しいです。ただ、流れの早い場所で釣る場合は釣り下るほうが水を受ける負担が少なく音も静かで効率良く釣りができます。また上流にルアーを投げるとあっという間に自分の方へ流れてきてしまいますが、下流に投げることでゆっくり巻いてくることができます。上流からでも遠投すれば魚に気付かれる心配は少なくなります。これは鮎釣りも同じでしょう。鮎釣りはリールを使って遠投しない代わりに竿が長いのです。
だからこの場所では特例的に"下流側が先行者側"と捉えるのが適切だと思います。あるいは鮎釣りにおいてはそもそもこういう考えがあるのかもしれません。
という不毛なことを考えているとなおのこと、あの転がし師はもっと上流(私の後方)からエントリーするべきだったのではないかと思うのですが、そもそも私のような釣り方をするルアー釣り師が少ない環境だし、地元の人は決まった場所で釣りをするわけだし・・という具合にどんどん不毛さが極まってツルツルになっていくのを感じます。加えていうなら"地元優先"みたいなクソ概念もありまして・・。
いずれにせよ釣り人が早起きする理由の一つは先行者になるためですね。
先行者になれなければ釣れない。諦めるしかない。
という考えもありますが、納得できない気持ちもわかります。

つづく


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