言葉は思考を造り、思考は人を創る。
私は艶美さんの大ファンである。
艶美さんというのはビジネスネームであり
本名はまた違うのであるが、
彼女の書く文章はとても魅力的で
素直であっさりしているのに感情的。
まさに「艶美」という名前がピタリとはまるような
色っぽい要素を各所に盛り込んだ投稿をしたためていて
いつも私は彼女の作品を読むことを
楽しみにしている。
彼女が
「グルコンやります」
という投稿をしているのを見たのは
いつだっただろうか。
私は子どもたちの体調不良に
悩まされている最中で、
憧れの艶美さんと話ができるグルコンに
興味は爆発したのだけど
どうにも参加する体力があるとは思えず
あえなく参加を見送った。
するとどうだろう。
グルコンが好評だったからと
第二回が開催されることになったのだ。
私は喜び勇んで申し込みをし、
いや実際には申し込みから緊張しすぎて
何度も申し込みフォームを開けたり閉めたりしながら
深呼吸を繰り返し
何度も心を落ち着けてから
申し込みボタンを押したのだけど、
先ほどその会合に
ようやく参加することができた。
しかしながら、
13時〜開始を
3時〜開始と読み違えるという
古典的すぎるポカをやらかし、
あれだけ楽しみにしていたグルコンを
1時間も遅刻して参加する羽目になったのは
ここだけの話である。
ホンマニスイマセン。
グルコンに参加すると
大遅刻をやらかしていたのもあって
10名近くいた参加者と艶美さんの間で
会話は既に盛り上がっていた。
その会話を聞いてしばらくして
「やばいところに参加してもうた。」
正直、そう思った。
思わずにはいられなかった。
それは、
画面の向こうで話している方々と私で
使う言葉の種類が決定的に違ったからである。
私は使う単語に独特のこだわりを持っている。
周りが普通に使っていても
私は嫌いで絶対に使わない単語というのがいくつかあり、
逆に周りが全く使っていなくても
私が好きで多用している単語もいくつかある。
「周りが使っているかどうか」
は単語を選ぶ上でそれほど重要ではない。
「私が思っていることが齟齬なく伝わるか」
これが私が単語を選ぶ上で
絶対的に大切にしていることであり、
それ以上のことも
それ以下のことも
私はほとんど考えていない。
高校現代文のカリスマ講師といえば
出口汪先生である。
私は一時期、
彼の著作を読み漁っていた時期がある。
その著作の中に、
どうして現代文を勉強する必要があるのかという
生徒の疑問に答える形で
先生の考えが書かれていた。
正確な文面は忘れてしまったが、
「人間は考えるときに言葉を使っている。
言葉を知らないと、考えることができない。
たくさん言葉を知っていれば、
色々なことを考えることができる。
だから、
たくさんの言葉に触れることができる現代文を
勉強することは大切なのだ。」
そんなようなことが書かれていた。
私はこの文章を読んだとき
あまりに納得しすぎて息を飲んだ。
目で一読した後
声に出して3回ほど読んだ。
本当に、その通りだと思った。
私はこれまで
興味のあるコミュニティーを渡り歩き
その中で使われている単語を吸収し
話している言葉を浴びることで
新しい視点を獲得していった。
新しい視点は
また新しい言葉を運んできた。
その言葉を吸収し
私の思考の幅はどんどん広がって
たくさんの光源から
スポットライトを浴びることで
私自身の輪郭がはっきり浮かび上がるように、
言葉からできた思考は
私という人をくっきりと形作っていった。
知っている言葉の幅は人生の幅なのだ。
そんな私であるので、
人よりは様々な言い回しや単語に
触れ合ってきた自負がある。
まだまだ知らない言葉もあるとはいえ
使いこなせる単語もまた多くある、
はずだった。
今回のグルコンで驚愕したのは
私がこれまで知識としては知っていても
ほとんど使ったことがない単語が
会話の中で普通に飛び交っていたことだった。
ヤベェ。
「魂」とか
私、人生で言ったことないかも。
「宇宙」とか、
中学理科の説明した時にしか使ってないかも。
けれども不思議なことに、
話している内容はハッキリと分かるし
私自身の実体験としても理解できることで、
特別難しい話ではなかったのだ。
ただ、言語が違う。
私が住んでいる世界で
使っている言葉とは全然違うもので、
私が知っているものが表現されている。
私はグルコン中
皆の話をじーっと聞きながら
そんなことばかり考えていた。
この方の話を私の言語に置き換えると
どんな表現になるのだろう。
こっちの方の言っていることは
私だったらどう表現するのだろう。
あまりにも表出する単語が違いすぎて
そんなことを考えているうちに
話がどんどん進んでいき
「…あれ？今何の話してたっけ？？」
と我に返ることを何度か繰り返している内に
グルコンはえんもたけなわ、
終了してしまった。
私には、
まだまだ知らない世界がある。
まだまだ知らない言葉がある。
言葉は思考を造り、思考は人を創る。
私は自分を創り上げるために
これからも貪欲に言葉を吸収していくのだ。
吸収した言葉たちは
きっと私に新たな視点の扉を開いてくれる。
その扉から向こうの世界をちょっと覗くのが
私は楽しみでたまらないのだ。
艶美さん、
参加者の皆様、
面白い気づきをありがとうございました！
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