見出し画像

新入職員がんばっている(3/3)『"残業をする"ということ』

卒業生とお茶をしていたときのこと。
「残業なしって、あり得ませんから。それ、嘘ですから」

おそらく、在学中の私の発言に対する文句なのだと思う。

「公務員は残業がない」

と私に言われたのだと、彼女は記憶しているようだ。

「部署によっては」と添えたつもりだったが、受験に対するモチベーションが上がりまくっていた当時の彼女が、ネガティブ要素に耳を傾けるはずもなく、結果として、自分にとって都合の良い「公務員は残業がない」という理解のみが記憶に定着した形だ。

「でも、今の職場は充実しているからいいんですけどね」

それならよかった。

福祉の現場に従事する彼女は、窓口対応に追われているという。

連日寄せられる様々な相談事のなかには、行政として対応できるものもあればできないものもある。その一つひとつに自分なりに丁寧に寄り添っているつもりなのだという。

新人にして素晴らしい姿勢だと思う。
経験は未熟でも心は一流なのだろう。

「先生は残業にネガティブなお考えだと思いますが・・・」

決してそんなつもりはないが・・・

「でも、必要な残業ってあると思うんです」

必要な残業とは?

「たとえば、窓口に市民が来るじゃないですか。アポなしで。そこに丁寧に寄り添っていると時間をとられるじゃないですか。でも、それが公務員の仕事だと思うんです。困って窓口まで来ている人に向き合っているわけなので。その結果、事務仕事が後回しになって残業になってしまうんですけど」

これは全国の役所に共通する福祉部署の現状だろう。

「でも、残業しないために窓口対応を"さばく"って、本末転倒だと思うんです。むしろ、窓口対応の時間を捻出するために事務効率を上げて、それで間に合わない部分を残業で対応する、という考え方の方が公務員としては正しい仕事のやり方なんじゃないですか」

親は無くとも子は育つ。
就職して僅かな間に大きく成長したものだ。

彼女のような職員がいる市の市民は幸せだろうな。

これからも自分の信念に自信をもって一流を極めてください。










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?