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情報デザインコース卒業研究制作 ✧ インタビュー第7弾 | 高嶋 悠河さん

みなさん、こんにちは!
多摩美術大学情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展2023 - 「  」広報部門です。

今回のnoteは、卒業研究制作展参加者へのインタビュー記事の第7弾です。
これから約2週間にわたって全15名のインタビューをお届けしていきます!
彼らがどのような想いを持って今までの制作をしてきたのか、記事を通じて皆様にお届けできたらと思います。

第7弾は、「ラーニングとデザインゼミ」に所属する高嶋 悠河さんのインタビューをご紹介します。

✧ インタビュイー紹介

高嶋 悠河 / YUGA TAKASHIMA
多摩美術大学 情報デザイン学科情報デザインコース4年
ラーニングとデザインゼミ(主査:植村 朋弘教授)所属

── 普段は主にどんなもの、ことを制作していますか。

高嶋:普段は結構イラストとか描いていることが多いです。イラストをInstagram(@u_____ga)に載せたり、展示したりしています。2021年8月には友人3人で原宿でギャラリー借りて、イラストメインのグループ展を開いたりしました。

── イラストはどういった系統のイラストを描くんでしょうか。

高嶋:自分は風景が好きで。特にその中でも雲が好きなので、雲のイラストを描くことが多いです。雲って絶対毎回違う形になるじゃないですか。標高とかで雲の形に違いがでたりとか。それが見てて飽きないし、楽しいなって思うので、自分なりの雲をめちゃくちゃ描いていますね。

✧ 卒業研究制作作品について

── 卒業研究制作で作成した作品の紹介をお願いします。

「THE INVASION」

高嶋:作品のタイトルは「THE INVASION」です。
この作品は日常で使うものをテーマにしています。なぜかというと、普段からみんなが使うものってあまり意識してちゃんと見てなかったり、愛着とかなくそのまま淡々と使われているんじゃないかと思ったんです。大量生産の時代だからそうなってしまっているのかなと思うんですけど。

 自分は結構ものに愛着が湧いたりするタイプなので、普段日常で使うものでも愛着の湧くようなものを作りたいと思いました。
あと自分はアメコミとか SFが好きで。特にアメコミはコレクションしているホビーグッズだけ載せているInstagramのアカウントがあったりするほどなんです。そういうものに日常で使うものをデザインとして落とし込んだらどうなるのかなと思って、この作品を制作しました。

「THE INVASION」の展示風景

✴︎ きっかけ・制作を決めた経緯

── この作品を作ろうと思ったきっかけや経緯について教えてください。

高嶋:冒頭で話したように、自分は雲が好きなんです。だから卒業研究制作では当初雲関連の作品を制作しようと思ってて、構想を練った段階で植村先生に見てもらいました。そしたら「雲以外にもアメコミとかSFが好きなら、ちょっとそっち方面の案も出してみてよ」って先生に言われて。

 自分がなんでアメコミとかSFが好きなのかを改めて考えたときに、無駄な要素がかっこいいと思うんだなと気づきました。

── 無駄な要素がかっこいい、ですか?

高嶋:そうです。たとえば、今の…現代の車って、かなりデザイン的で流線型になってたりするじゃないですか。でも、昔のクラシックカーみたいなのって結構装飾がついてたりするんですよね。そういう要素って、車が走るのに必ずしも必要ではないはずなんだけど、かっこいいからああいうのって多分存在してると思うんですよ。

 だから、そういった無駄な要素を日常のものに足すことによって、かっこよさみたいなものが生まれるんじゃないかと思いました。その案を出してみたら、先生たちに「お、いいじゃん!」って言われて。自分もアメコミとかSF好きだし、先生方に背中を押されたので作ってみることにしました。

✴︎ 制作過程

── 制作過程を教えていただけますか?

高嶋:まず植村先生から「見立てをしたらいいんじゃないか」というアドバイスをもらったんです。ものを何か別のものに見立てる。それで、手元にあった自分のUSBを見て、宇宙船の母艦みたいな、でっかい宇宙船だったりしたら面白いんじゃないかとか、考えました。

 このUSBを宇宙船の母艦に見立てたものを、試しにスター・ウォーズ(STAR WARS)みたいなポスターっぽく描いてみようと思って、それがまず1つ目の案でしたね。そしたら「この方向で何個もやっていきなよ!」という。だから、方向性はいきなりもうガチッと決まった感じで、最初の紆余曲折みたいなものは、実はほとんどありませんでした。

(左)初期案のポスター , (右)完成したポスター
USBをモチーフにしたポスター

高嶋:でも何個もポスターを描いていくうちに、「ポスターだけじゃ物足りないな」って思ったんです。展示するにしても。

 スター・ウォーズが好きなので、そんな感じでいろんなグッズを展開したら面白いんじゃないかと思って。ブランディングじゃないですけど、ブランドとして深みが出るんじゃないかと思いました。今やスター・ウォーズなんて、映画っていうよりもブランド面の方が強かったりしますよね。「スター・ウォーズのグッズなんだよ!」ってなるじゃないですか。

 だから、自分もこのポスターをもとにグッズを作っていったらいいんじゃないかと思いつきました。他にもいろんなパッケージとか、服とかが売ってたら…と想像して作っていった感じです。

最終的にさまざまなグッズが制作された

── 制作時のこだわりや制作する上で大変だった点がありましたら、教えてください。

高嶋パッケージはすごいこだわって作りましたね。台紙の端の方にものが入っている、ブリスターとよばれるパッケージなんですけど、この形が自分はすごく好きで。この形を採用して、台紙のデザインだったり大きさだったり、こだわっていきました。

制作したパッケージ

高嶋:台紙は、今年度から情デ(=情報デザインコース)にはUVプリンターが導入されたので、UVプリンターで印刷してレーザーカッターで切りました。情デの機材をフル活用してます。見ての通り、ブリスターはフィギュアとかをパッケージするプラスチックの部分があるんですけど、真空成形で作りました。塩ビ板を加熱して、柔らかくしたところに型を当てて、成形する技術ですね。こちらは多摩美の工作センターにあった機材を使いました。

 いろんな施設の機材を利用して作ったので、1個作るのにも1週間近くかかるんですよね。それが結構大変だったんですけど、その分出来もすごく良くなったので、やはりこだわりポイントですね。

刺繍したシャツ

高嶋:あとは、AirPodsをモチーフのひとつに作品にしたんですけど、グッズとして刺繍したシャツを作ったんです。それが初めての刺繍だったんですけど、思ってたより刺繍のシャツが柔らかくて。周りがすごいしわくちゃになっちゃったんです。刺繍をするときに芯材を裏に貼って固定しないと、布が持っていかれるのを知らなくて。もう一度刺繍するときはそのときの失敗から学んで、ちゃんと芯材を貼っていい感じにできました。

✴︎ 制作を通して気づいたこと

── 卒業研究制作を最後まで終えて、気づいたことや感じたことはありましたか?

高嶋:最初は卒業研究に対して意外と自信が無かったんです。自分の好きな題材だし、先生たちも「いいね!」ってノってくれたんですけど、最初は本当に自信が無くて。ポスターを描くのはまあ、描いていったらいいんだろうなって思えたんですけど、特にグッズ制作がどうしたらいいか分からなくて。何個作ればよいか、そもそも何を作っていいかとか…。

 でもあるとき、矢野先生が「これ俺の宝物なんだよ」ってスター・ウォーズのノベルティがレプリカで入ってる図鑑を持ってきてくれたんです。 その中に実際に作られた関係者の間で使用されたCDとか、映画のチケットのレプリカみたいなのが入ってて。
「あ!こういう感じで作っていけばいいんだ」ってわかったのと、熱を入れたら結果的に結構な量を作ることができました。

 ポスターを描いているときは手を動かすしかないという感じだったんですけど、グッズを作っているときは体を動かさないといけなかったんですよね。今体力があるからこそ、体をめちゃめちゃ動かして本気でやってみたら、自分が思ってもみない力を発揮することができました。ただ描いていたときよりも実物にすると何倍も良く見えるとか、そういうのも気づいたポイントですね。

✴︎ 今後の活動・進路について

── 今後の活動や進路などについて、何かありましたら教えてください。

高嶋:就職する予定です。エンタメ系の展示会それらの商品企画・デザイン、特設ショップのデザインなどを主に手掛けている会社です。様々なコンテンツに関わっていて、実際にイラストを描いて商品化したりもしています。

 実際に自分の卒業制作でも、イラストを描いてそれをグッズにするということをやっていたので、それが功を奏したのか採用していただきました。やってきたこと、やりたいことがそのままできるような仕事に就くことができたので、精一杯頑張りたいと思います!

✧ あなたにとって 「爆発」とは?

── さいごに、あなたにとって爆発ビックバンと呼べるものを教えてください。

「飽きないこと」

高嶋:飽きないこと、飽きがこないことじゃないかと思います。熱中とも違うんですよね。ずっと熱中してるものってなかなかないじゃないですか。でも、ずっと飽きないものはあるじゃないですか。それが今の自分にとっての爆発なんだなと思います。

(インタビュー・編集:田中 雅、画像提供:高嶋 悠河)


インタビュー第7弾、いかがでしたでしょうか。
本卒業研究作品は多摩美術大学 情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展に展示されております。
記事だけには載せきれない、実際に見るからこそ伝わる魅力がある作品がたくさんありますので、みなさまもぜひ会場にお越しください!

第8弾は、「ワークショップとデザインゼミ」に所属する山中 彩音さんのインタビューをお届けします。次回もお楽しみに!

多摩美術大学 情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展2023 - 「  」

会期
3月3日(金)- 3月5日(日)10:00 - 19:00
場所
〒141-0022 東京都品川区東五反田5丁目25−19
東京デザインセンターガレリアホールB1&B2
アクセス
JR山手線五反田駅東口より徒歩2分
都営浅草線五反田駅A7出口正面
東急池上線五反田駅より徒歩3分

詳細多摩美術大学 情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展2023 - 「  」公式サイト

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