情報デザインコース卒業研究制作 ✧ インタビュー第9弾 | 薄井 まいさん
みなさん、こんにちは!
多摩美術大学情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展2023 - 「 」広報部門です。
今回のnoteは、卒業研究制作展参加者へのインタビュー記事の第9弾です。
これから約2週間にわたって全15名のインタビューをお届けしていきます!
彼らがどのような想いを持って今までの制作をしてきたのか、記事を通じて皆様にお届けできたらと思います。
第9弾は、「メディアとデザインゼミ」に所属する薄井 まいさんのインタビューをご紹介します。
✧ インタビュイー紹介
── 普段は主にどんなもの、ことを制作していますか。
薄井:プログラミングを使った作品を作ることが多いです。プログラミングっていうと画面だけみたいなイメージが割とあると思うんですけど、私はフィジカルな部分とかアナログな部分をプログラミングに掛け合わせたようなものを作っています。
✧ 卒業研究制作作品について
── 卒業研究制作で作成した作品の紹介をお願いします。
薄井:作品のタイトルは「Ambient session」です。周囲の環境からデータを取って、それらを音にしてセッションさせるというテーマで作りました。
具体的に言うと、人と風と植物と水から、内在的感覚と仮定したデータをArdinoで採取して、それを音に変換してセッションさせています。
✴︎ きっかけ・制作を決めた経緯
── この作品を作ろうと思ったきっかけや経緯について教えてください。
薄井:コミュニケーションするときって喋ったり、言葉にすると思うんですけど、私は言葉にするのがあんまり上手じゃなくて。いつも頭の中ですごい色々形作られていない、もやもやした感覚があるのに、それを伝えようとするとどうしてもすべては伝えきれない、みたいな感じなんです。だから、そのもやっとした部分をもやっとしたままアウトプットできたらいいなって思いました。
冒頭であげた、データを取る4つの要素(人、風、植物、水)の中でも、まず初めは人からデータを取ることを構想として練っていきました。その人のもやもやをどうデータとして取ろうかとかから考えていって、考えているうちにアウトプットできるもやもやの部分ってどの現象にもあるのかなって思ったんですよね。
たとえば、植物にはわかるけど人間にはわからない、みたいな感覚があるのかもって思って。それは植物だけじゃなくて、すべての現象にも存在することなんじゃないかと思いました。命がないと思われている石や水にもそういう現象があるのかな、なんて想像して。その中でもデータが取りやすそうなものが人と風と植物と水だったんです。
あくまでも内在的な感覚だなって仮定して。でもそれってものたちの感覚なので、多分人間には絶対わからないじゃないですか。それを人目線で、というか私目線でアウトプットしたという感じです。
✴︎ 制作過程
── 制作過程を教えていただけますか?
薄井:最初は頭の中で思い描いていた完成像をスケッチしながら案を出していって。データをどうやって取ろうかなとか考えながら、いろいろなセンサーを試して形作っていったんです。
薄井 : でも、途中で自分が設定したコンセプトがすごい広いというか、わりと正解がないものだなって気づいて。この作品は完成形みたいなものがなさそうだなって、それが卒業までに見つからなさそうだなと思ったんですよね。
なので、ひとまずは自分が作りたいもの、自分の中にあるものを作ろうと思いました。立体物というか、目で見る音で聞こえる感じを意識しました。
── 制作の中で力を入れた点やこだわりなどはありますか?
薄井 : 美大なのでどうしてもビジュアルに目が行きがちだと思うんですけど、私が1番力を入れたのは音ですね。音をメインにしたかったので、頑張って作りました。
私が考えの部分を下手ながらも永原先生にめちゃくちゃ伝えてたんですよ。イメージとか。そしたら、永原先生からも音を大事にするように言ってもらえて。「そのイメージを伝えるのに1番重要なのは音だから、音に力を入れなさい」って言ってもらいました。
✴︎ 制作を通して気づいたこと
── 卒業研究制作を最後まで終えて、気づいたことや感じたことはありましたか?
薄井:今回卒業研究制作で挑戦したのは今まで作ってこなかったような作品でした。今まで、3年生で選択してたのは社会デザインのゼミで、社会のことを考えてデザインすることが多かったんですけど。今回は自分の表現を追求することができました。
最初の方でも話したとおり、コンセプトがすごいふわふわしてたので、終わりが見えないというか。途中でわりと何を作ってるんだろうとか何してるんだろうっていうのがわからなくなっちゃって。なんかすごい難しかったです。終わりの見えないものを突き進んでいって、結局答えはまだ出せていないんですけど。
でも、私はこの先もこういうことを一生考えながら、ものを作ったり、生活していたりするんだろうなって感じました。
✴︎ 今後の活動・進路について
── 今後の活動や進路などについて、何かありましたら教えてください。
薄井:まだ決まってはいないんですが、これからやりたい仕事っていうと私、本が好きなんですよ。立体物というか実物があるのものが好きで、特に本が良いんですけど、本を作る仕事に携わりたいな。
これまでの大学時代でフィジカルに作用する作品制作を学んできたので、そういうのと本を掛け合わせた何かを自分でも、個人制作としてこれから作れたらなと思っています。
✧ あなたにとって 「爆発」とは?
── さいごに、あなたにとって爆発と呼べるものを教えてください。
薄井:どんなに小さなことでも、自分の中の何かをアウトプットするときに爆発が起きているのかなと思います。
今回の卒制でも、頭の中のアイディアを紙に書いたり誰かと話すときに小さな爆発が起こって、その小さな爆発が積み重なって大きな爆発となり、今回の作品ができたのかなと思いました。
(インタビュー・編集:田中 雅、画像提供:薄井 まい)
インタビュー第9弾、いかがでしたでしょうか。
本卒業研究作品は多摩美術大学 情報デザイン学科情報デザインコース 卒業研究制作展に展示されております。
記事だけには載せきれない、実際に見るからこそ伝わる魅力がある作品がたくさんありますので、みなさまもぜひ会場にお越しください!
第10弾は、「デザイニング・エモーションゼミ」に所属する森井 裕史さんのインタビューをお届けします。次回もお楽しみに!
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