【詩】 アボカド
黒く染まった硬いそのコートをまとっているから
クールで誰も寄せ付けないかのような雰囲気を放つ
外面からは誰にも想像できない隠された中身に気付いたのは誰
触れれば、案外やわらかくて
クールだった第一印象が、するするはがれていくかわりに
中身のやさしさにはっとする
その溶けるような親切を知れば
もうこわいものはない
だけど
中心に光るような色で佇むタネ
ぎゅっとつまっている
さっきまでのやわらかさと共存できそうもないほど
あまりの硬さでその命を守っている
それ以上だれも覗きに行けない
あるいは自分でも気づいていないのでは
己の知られざる核心につまるもの
恐怖か、喜びか、力か、愛か。
黒いコートを脱いでみせた
みどりの健康的な色と味に魅せられ
やはりいつもタネには目もくれず
ただひたすらに やさしさに頬が落ちる
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