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「単利」と「複利」の違いとは


 利息の計算方法には、単利と複利の2つがあります。
 マネーの基本知識として大切なので、違いを再確認しておきましょう。

 なお、下記の利息計算では税金を考慮していませんが、利息は受け取り時に税率20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税金が源泉徴収(天引き)され、手取り額が振り込まれます。
 税引後の手取り額は、利息収入の約8割であることに注意が必要です。
 より運用成果を上げるためには、NISAやiDeCoなどの非課税制度の活用が不可欠となります。

 

単利での利息計算


 単利では運用している元本に対してのみ毎年一定額での利子が付きます。
 そのため運用元本の額は永久に変わらず、年利率が変更にならない限り、
利子も永久に変わりません。

 たとえば、元本10,000円、単利で5年間、年利率5%で運用した場合は、1年分の利子は500円(=10,000円×5%)、5年間で2,500 円となります。
 5年後の元本と利子を合わせた資産額は、12,500円です。

 単利による代表的は金融商品には、個人向け国債、地方債、社債、3年未満で自動継続しない定期預金などがあります。


単利では
元本に対してのみ
利息が付きます



複利での利息計算


 複利では、毎年の利息が元本に組み入れられて、運用している元本と毎年の利息を合わせた金額(元利合計)に利子が付きます。
 そのため、利息が利息を生むことで運用する元本も毎年大きくなり、その元本を運用するので利子の額も毎年大きくなります。

 たとえば、元本10,000円、複利で5年間、年利率5%で運用した場合は、1年目の利子500円(=10,000円×5%)が元本に組み入れられます。
 2年目には、元利合計10,500円に対する利子525円(=10,500円×5%)がまた元本に組み入れられ・・・、という計算が5年間にわたり続きます。
 その結果、5年後の元本と利子を合わせた資産額は12,761円になります。


 複利による代表的な金融商品には、分配金再投資型を選択した投資信託、普通預金、米国債(ゼロクーポン債)、元利自動継続型定期預金などがあります。


複利では
利息を元本に組み入れることで
利息が利息を生む



普通預金が2倍になるのは3,600年後



 手許資産を2倍にするために必要な期間、手許資産を2倍にするために
必要とされる金利は「72の法則」と「100の法則」により概算できます。

 複利運用の下では、「72÷金利(%)=お金が2倍になる期間(年)」の公式に当てはめて、お金を2倍にするために必要な期間を計算できます。

   72 ÷ 金利 = お金が2倍になる期間(年)


 たとえば、金利2%で複利運用した場合、元本が2倍になるために要する年数は「72÷2=36」で、約36年かかることが分かります。

 現下の低金利0.02%の普通預金では、「72÷0.02=3,600年」と計算され、
普通預金を2倍に増やすためには、3,600年もの時が必要となります。

 「72の法則」の算式は「72÷お金が2倍になる期間=金利」と変形して、「元本を△年間で2倍にしたい目標期間がある場合に必要とされる利率」を計算することもできます。

  72 ÷ お金が2倍になる期間(年) = 必要とされる利率(%)


 たとえば、10年間で元本を2倍にしたい場合は「72÷10=7.2」の算式で年7.2%、20年間で元本を2倍にしたい場合は「72÷20=3.6」で年3.6%の複利運用が必要、ということを意味します。

 当然ながら、運用期間が短いほど、リスクをとって高利回りの投資をしなければお金を増やせません。

 「時間」を味方にして長期運用で余裕を持って資金を増やすことが大切、
ということになります。


 一方、単利運用では、「100÷金利(%)=お金が2倍になる期間(年)」
の公式で、お金を2倍にするために必要な期間を計算できます。

 たとえば、金利2%で単利運用した場合には、元本を2倍にするための年数は「100÷2=50」により、50年かかることが分かります。
 あるいは、元本を10年間で2倍にしたい場合は「100÷10=10」で年10%
での単利運用が必要となります。


敵に回すと怖い! 複利


 「72の法則」の算式を使うことで、借入金が2倍になる期間を計算することもできます。  

  72 ÷ 金利 = 借金が2倍になる期間(年)


 借入金が2倍になる期間は、年利3%であれば「72÷3=24」の算式で24年、年利4%であれば「72÷4=18」の算式で18年となります。

 たとえば、利息制限法における上限金利である年利15%の借金であれば、「72÷15=4.8」の算式により、4.8年と計算されます。

 消費者金融で借りたお金100万円の返済を怠ったまま逃げ回っていると、4.8年で2倍の200万円に膨らんでしまうわけです。

 複利の効果は資産運用する側にとって強い味方ですが、お金を借りる側にとっては、大きな脅威であり強敵です。
 お金を借りるときには、低金利で、かつ、短い返済期間が基本原則です。
 

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