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「決算書」の読み方と「経営分析」のポイント

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「5つの箱」で理解する! 貸借対照表、損益計算書の読み方とキャッシュフロー経営の実践、そして採算管理の基本までをマスター。生産性の高い企業であり続けるために大切なこと、経営分析の…
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#付加価値額

第6章 「生産性」の高い会社であり続けるために

1.「付加価値」で企業の存在価値を計る  国の経済力も「付加価値」で計られる  会社が市場で受け入れられ、永続的に存続発展するためには「付加価値」の提供が求められます。   付加価値とは会社が新たに生み出した価値であり、売上高から外部購入価値を控除した純生産額をいいます。価値を創造できる力がある会社こそが、市場に受け入れられている強い会社であるといえます。  国内において事業者が新たに生み出した付加価値額の総額が、「国内総生産」(GDP、Gross Domestic P

第6章 「生産性」の高い会社であり続けるために

2.製造業における「付加価値」の計算方法  簡便的に計算してみると・・・  製造業の付加価値額を控除法により計算する場合も、売上高から外部購入価値を差し引いて求めます。  簡便的に計算する場合は、「製造原価報告書」の材料費と外注加工費を、「販売費及び一般管理費の明細書」の荷造運賃を外部購入価値とします。  なお、電力料や水道料、ガス代、賃借料などを外部購入価値として差し引く場合もありますが、ここでは、材料費、外注加工費および荷造運賃のみを外部購入価値としています。  

第6章 「生産性」の高い会社であり続けるために

3.「付加価値」で見る優良企業の条件  1人当たり「付加価値額」が大切  付加価値は、その総額も重要ですが、何人の従業員で生み出したかという視点で見ることが、より大切です。  そこで、「1人当たり付加価値額」に注目します。  1人当たり付加価値額(=付加価値額÷従業員数)とは、算式のとおり、従業員1人が生み出す付加価値額という意味です。  「付加価値生産性」とも呼ばれます。  1人当たり付加価値額が大きいほど、生産性の高い会社といえます。  たとえば年間10億円の付加

第6章 「生産性」の高い会社であり続けるために

5.給料と付加価値生産性の高い会社を目指そう 「労働力」への分配率を見る  会社が保有する経営資源「人、モノ、金」のなかでは、やはり「人」の重要性が高いはずです。資産を多く所有していても、資金が潤沢にあっても、人がいなくては仕事になりません。最新鋭の機械を操作するのも人です。  そのため基本的に、付加価値の分配先のうち、従業員に対する人件費への分配率がもっとも高くなります。  会社が生み出した付加価値額を労働力、つまり人件費に、どれ程分配したかを見る指標が「労働分配率」