ノーコードでAIアプリを作ろう!Difyの使い方とできること
AIを活用したアプリケーション開発に興味はあるものの、プログラミングスキルがないからと諦めていませんか?
そんなあなたにおすすめなのが、Difyです。
Difyは、ノーコードでAIアプリを開発できるプラットフォームです。
Difyは、豊富なテンプレートとコンポーネント、そしてAPI連携機能により、アイデアを形にするための強力なツールを提供します。さらに、無料プランでも商用利用が可能という嬉しい特典も!(※条件あり)
この記事では、Difyの特徴や活用方法について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
Difyとは
Difyは、ノーコードでAIアプリケーションを開発できるオープンソースのプラットフォームです。
Difyの最大の特徴は、その使いやすさにあります。
複雑なコードを書く必要がなく、ドラッグ&ドロップの操作で簡単にAIアプリを構築できるため、技術的なバックグラウンドがない人でも、アイデアを素早くAIアプリケーションとして実現できます。
以下ではDifyの特徴について分かりやすく紹介します。
ノーコードでAIアプリを開発できるプラットフォーム
Difyは、プログラミングスキルがなくてもAIアプリを開発できる環境を提供しています。
ドラッグ&ドロップによる直感的なインターフェースを使用して、複雑なAI機能を簡単に実装できます。
豊富なテンプレートとコンポーネントを提供
Difyには、さまざまなユースケースに対応するテンプレートや、AI機能を備えたコンポーネントが豊富に用意されています。
Difyのテンプレートやコンポーネントを活用することで、チャットボット、タスクリスト、データ分析ツールなど、さまざまな種類のAIアプリを素早く作成できます。
API連携で外部サービスとの接続も容易
Difyは外部サービスとの連携も容易です。
APIを通じて他のサービスやデータソースと接続することができ、より高度で柔軟なAIアプリケーションの開発が可能になります。
無料プランでも商用利用も可能(※条件あり)
Difyは基本機能を無料で提供しており、個人での利用はもちろん、一定の条件下では商用利用も可能です。
ただし、商用利用には特定の条件があります。
公式サイトによると以下のパターンに該当する場合は、商用ライセンスが必要とのことです。
Difyのライセンス規約ページからは開発元への問い合わせもできるようになっているので、不明点がある場合は問い合わせてみましょう。
>> Difyのライセンス規約はこちら
Difyの利用方法
ここからはDifyの利用方法について説明します。
Difyには環境構築不要で利用できるクラウド版と、自身の環境や別のクラウドサービスにインストールして使用するセルフホスト版(コミュニティ版)があります。
以下ではそれぞれの特徴について簡単に説明します。
クラウド版
クラウド版のDifyは、Difyが提供するクラウドサーバー上でサービスを利用する方法です。
メリット:
導入が簡単で、すぐに利用開始できます。
Difyの最新バージョンが自動的に適用されるため、常に最新の機能を利用できます。
ネットワークやサーバーのセキュリティ設定をせずに、安心して利用できます。
デメリット:
Dify自体のカスタマイズはできません。
Difyでやり取りするデータはAWSサーバ―に保存されるため、機密情報は入力できません。
一部の機能は有料プランでのみ利用可能です。
クラウド版は、手軽にDifyを利用したい方や、インフラストラクチャの管理に手間をかけたくない方におすすめです。
セルフホスト版
セルフホスト版は、自身でサーバーを用意し、そこにDifyをインストールして利用する方法です。
メリット:
Dify自体のカスタマイズが可能です。
プライベート環境での運用が可能です。
全ての機能を無料で利用できます。
デメリット:
インフラ構築の知識とスキルが必要です。
導入と運用に手間がかかります。
セルフホスト版は、Difyを自由にカスタマイズしたい方や、セキュリティレベルを高く保ちたい方におすすめです。
Difyでできること
ここからはDifyでできることを紹介します。
今回紹介する内容は以下のとおりです。
チャットボットの作成
テキスト生成、翻訳、要約などのテキスト処理
画像生成、画像認識
データ分析、予測
以下ではそれぞれについて紹介します。
チャットボット
Difyを使用すると、高度なチャットボットを簡単に作成できます。
以下ではチャットボットの例を紹介します。
顧客サポート: よくある質問への自動回答、注文状況の確認、問い合わせ対応などを自動化できます。24時間365日対応が可能になり、顧客満足度向上と業務効率化に貢献します。
例:ECサイトに導入し、商品に関する質問や配送状況の問い合わせに対応するチャットボット
例:レストランの予約受付やメニューに関する質問に対応するチャットボット
社内ナレッジベース検索: 特定のドキュメントをRAG(Retrieval-Augmented Generation)に登録し、社内情報に関する質問に答えるボットを開発できます。
例: ITサポート部門において、社内システムの使い方やトラブルシューティングに関する質問に即座に答えるチャットボット
例: 人事部門で、従業員が福利厚生や休暇制度に関する情報を簡単に取得できるようにするチャットボット
多言語対応チャットボット: 複数の言語で対話可能なボットを作成し、グローバルな顧客対応を実現します。
例: 国際的な旅行代理店のウェブサイトに多言語対応のチャットボットを導入し、旅行プランの提案や予約に関する質問に対応。
例: 多国籍企業のカスタマーサポート部門で、英語、スペイン語、フランス語など、複数の言語で製品サポートを提供するボットを開発。
Difyのチャットボットは、ユーザーの入力内容を理解し、適切な回答を返すだけでなく、過去の会話履歴を記憶し、よりパーソナライズされた対応も可能です。
特に2024年8月のアップデートで会話変数や会話回数の機能が追加され、過去のやり取りを元に会話を切り替える処理が使いやすくなっています。
Difyのテンプレートにも追加されているので、利用イメージを知りたい人はぜひ確認してみてください。
テキスト処理
Difyは、高度な自然言語処理技術を駆使して、さまざまなテキスト処理タスクを自動化します。
テキスト処理の例としては以下のようなものが挙げられます。
文章生成: 広告コピー、ブログ記事、ニュース記事、小説など、様々な種類の文章を自動生成できます。
例:商品の特徴を魅力的に伝える広告コピーを自動生成
例:ブログ記事のタイトル案を複数提案
翻訳: 多言語対応のアプリケーションやサービスを簡単に構築できます。
例:旅行者のためのリアルタイム翻訳アプリ
例:海外のニュース記事を日本語に翻訳
要約: 長文のテキストを要約し、重要な情報を効率的に把握できます。
例:ニュース記事や論文を要約し、短時間で内容を理解
例:議事録を自動的に要約
Difyは外部サービス連携機能も充実しているので、Youtubeやニュースサイトの情報をもとに文章を生成することも可能です。
LLMと外部サービスを組み合わせて高度なアプリを作成してみましょう。
画像生成・画像認識
Difyは、画像生成と画像認識の両方の機能を備えています。
テキストから画像を生成したり、画像の内容を認識して分析したりすることで、クリエイティブな表現やビジネスにおける課題解決を支援します。
画像生成: テキストの指示に基づいて、オリジナルの画像を生成できます。
例:架空のキャラクターや風景のイラストを生成
例:広告バナー用の画像を生成
画像認識: 画像に写っている物体やシーンを認識できます。
例:商品の画像から自動的にタグ付け
例:不適切な画像を検出
データ分析・予測
Difyは、機械学習を活用したデータ分析・予測機能を提供します。
過去のデータから未来のトレンドを予測したり、隠れたパターンを発見したりすることで、ビジネスにおける意思決定をサポートします。
データ分析: 大量のデータを分析し、隠れたパターンや洞察を発見できます。
例:顧客の購買データから、売れ筋商品や顧客の属性を分析
例:Webサイトのアクセスログを分析し、ユーザーの行動パターンを把握
予測: 過去のデータに基づいて、未来のトレンドやイベントを予測できます。
例:売上予測、需要予測
例:株価予測
さらに、DifyはAPI連携機能も充実しており、様々な外部サービスと連携することで、さらに多様なアプリケーションを開発できます。
外部サービスと連携することで、例えば、以下のような使い方も可能です。
Googleカレンダーと連携して、予定管理を行うチャットボット
Slackと連携して、チーム内のコミュニケーションを円滑にするボット
Twitterと連携して、特定のキーワードを含むツイートを自動的に収集するツール
Difyを活用することで、これらの事例のように、業務効率化や顧客対応の改善、マーケティング活動の強化が期待できます。
ノーコードでの開発が可能なため、プログラミングの専門知識がなくても、様々なAIツールを作成できるのがDifyの大きな魅力です。
Difyの使い方
ここではDifyの使い方について紹介します。
Difyの中で1番簡単なチャットボットを作成するときの流れは以下のとおりです。
アカウント登録
チャットボットの作成
チャットボットのテスト
チャットボットを公開
以下ではそれぞれについて説明します。
1. アカウント登録
まずはDifyのアカウント登録をします。
クラウド版を利用する場合は、Dify公式サイトにアクセスします。
セルフホスト版を利用する場合は、自身で起動したDifyにアクセスしてください。
クラウド版の場合は、GoogleアカウントかGitHubのアカウントで登録します。
セルフホスト版の場合も、メールアドレスとパスワードを設定するだけで簡単に登録できます。
ログイン出来たら以下のようなダッシュボード画面に遷移します。
2. チャットボットの作成
Difyでは以下のアプリが作成できます。
チャットボット
簡易なチャットボット
高度なチャットボット(チャットフロー)
ワークフロー
ここでは1番簡単な簡易なチャットボットを作成する方法を紹介します。
①「アプリを作成する」で「最初から作成」を選択します。
②アプリのタイプは「チャットボット」チャットボットのオーケストレーションは「基本」が選択されているのでそのままにして、「アプリの名前」を記入しましょう。
「説明」は任意で記入し「作成する」を押します。
今回は歴史上の人物に関する質問に答えるチャットボットを作成します。
③「オーケストレーション」にプロンプトを定義します。
今回定義したプロンプトは以下になります。
あなたは歴史の専門家であり、プロンプトエンジニアとしての役割を担っています。
歴史上の人物に関する質問に対して、正確で詳細な情報を提供してください。
質問に答える際には、以下の点に注意してください:
歴史的背景や関連する出来事を含め、文脈をしっかりと説明してください。
質問に関連する重要な日付や場所を具体的に示してください。
歴史上の人物の影響や功績について深く掘り下げて解説してください。
信頼できる情報源に基づいた回答を心がけてください。
回答に含めるべき内容は以下を含みます。
人物の生い立ち: 出身地、生年月日、家族構成、教育歴など
業績: 政治、経済、文化、科学、軍事など、その人物が成し遂げた重要な業績
思想: その人物の考え方、信条、主義主張など
影響力: その人物が歴史に与えた影響、その人物の思想や行動が後世に与えた影響など
関連する出来事: その人物の人生に関わる重要な出来事、その人物が関与した歴史的な事件など
一次資料と二次資料: 可能であれば、その人物に関する一次資料(手紙、日記、著作など)や二次資料(伝記、論文など)の引用を含めてください。
関連する人物: その人物と深く関わった人物、その人物に影響を与えた人物、その人物に影響を与えた人物など
質問の例
[人物名] の生涯について教えてください。
[人物名] はどのような思想を持っていましたか?
[人物名] は歴史にどのような影響を与えましたか?
[人物名] の業績について具体的に教えてください。
以下ではチャットボットで設定できる内容を簡単に補足します。
チャットボットでは変数として、ユーザからの入力値を追加できます。
ユーザからの入力は「短文」「段落」「選択式」「数値」と細かくタイプを指定できるので、必要に応じて使い分けてみましょう。
また、APIベースの変数として、あらかじめ設定しておいたAPIからの返答を受け取ってプロンプトで使うこともできます。
チャットボットでは、コンテキストを追加することで、あらかじめ学習しておいてデータをもとに回答を作成することもできます。
RAGを使ったチャットボットを作成したいときは、コンテキスト機能を活用しましょう。
④会話の開始
これだけでは寂しいので、会話の開始メッセージを追加しましょう。
「機能を追加」をクリックして「会話の開始」を選択します。
チャットボットの設定画面に「会話開始」ボックスが追加されます。
「オープナーを開く」をクリックして編集ボックスを開き、チャットボットの開始メッセージを入力します。
「会話開始」では開始質問も指定できるのでいくつか入力しておきます。
以下のように入力したら「保存」を押します。
3. チャットボットをテスト
チャットボットの設定が完了したら、作成したチャットボットをテストします。
テストは画面右側の「デバッグとプレビュー」から行います。
開始質問のどれかをクリックするか、画面下部のテキストフィールドにテキストを入力するとチャットボットが動作します。
想定通りの答えが返ってくるか確認しましょう。
ちなみにチャットボットから応答の上にマウスカーソルを当てると「プロンプトログ」を確認できます。
プロンプトログではLLMにどのようなプロンプトを指定してどのような応答が得られたのかのログが確認できます。
変数やコンテキストを使ったチャットボットを作成した場合は、想定通りの入力が行われている確認するのに便利です。
4. チャットボットを公開
チャットボットをテストして想定通りの動作になっていることを確認したら、公開します。
チャットボットを公開するには、画面右上の「公開する」ボタンを押したあと「更新」ボタンを押します。
なお、チャットボットの設定を変更するたびに「更新」をしないと反映されない点に注意しましょう。
チャットボットの公開方法は以下の3つです。
Webアプリとして公開
HTMLコードでサイトに埋め込む
APIとして外部から呼び出す
たとえばWebサイトとして公開した場合は、「アプリを実行」を押すと、チャットボットのWebサイトが起動します。
以下のような画面が起動するので「Start Chat」を押すと、チャットボットを利用できます。
このように自分で作成したチャットボットを外部に公開できます。
Difyのクラウド版を使ってる場合は、Difyのサーバーを使って自分が作成したチャットボットを外部に公開できる点がメリットです。
まとめ
この記事では、プログラミング知識がなくてもAIアプリ開発に挑戦できるDifyについて解説しました。
Difyは、ドラッグ&ドロップによる直感的な操作、豊富なテンプレートとコンポーネント、API連携機能、無料プランでの商用利用可能といった魅力的な特徴を持つプラットフォームです。
また、Difyを使うと、チャットボット、テキスト処理、画像生成、データ分析など、さまざまなAIアプリを開発できます。
Difyにはクラウド版とセルフホスト版があります。
クラウド版であればアカウント登録するだけで無料ですぐに使えるので、気になっている人は今すぐ試してみましょう。
ちなみに今回作成したチャットボットのDSLファイルは以下の通りです。
アプリ作成時にDSLファイルをインポートすると簡単に取り込めます。
>> アプリ作成公式マニュアルを参照
簡単なチャットボットなのでほぼ価値はなさそうですが、DSLファイルをインポートして手軽に確認してみたい人は参考にしてみてください。
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