瓶底眼鏡から裸眼生活になりました〜ICL手術体験記⑥術後一ヶ月検診


 ICL手術体験記、今回は術後1ヶ月健診のお話です。
 
 一週間検診で術後の経過も良好と言われ、日々の生活でも保護眼鏡を外せるようになりました。
 日常生活の制限も「温泉・プール」以外は元通り。点眼薬は手術当日にもらったものを使い切ったら終了。2週間くらいでなくなったと記憶しています。
 最初のうちは裸眼になるのが不安で保護眼鏡をかけていましたが、そのうち眼鏡の曇りが煩わしくて外すようになり、そのまま裸眼生活に突入しました。
    毎日顔を合わせている人からは「化粧した顔見るの久しぶりだね」と言われますが、見た目はいつものコンタクトレンズ生活に戻ったようなもの。こちらから言わない限りICL手術をしたなんて誰もわかりません。むしろ手術後もICLの話をすると「眼鏡じゃだめだったの?」と言われるのは変わりません……。
 部屋の片付けをしていると、戸棚から出てくるコンタクトレンズの洗浄液。未開封のものを知り合いに譲った時に「ああ、もうコンタクトレンズの手入れをしなくていいのだな」としみじみ感じました。
 
 日々の生活の中で見えるハログレアは相変わらずですが、毎日見えているとだんだん慣れてくるものです。けれど疲れ目だけはどうしても慣れず、ブルーライトカットの眼鏡を作るべきかと量販店系の眼鏡屋さんに寄ったことがありました。
 その日はたまたま立ち寄っただけですが、店員さんに「視力矯正の手術をして遠視になった人もいますし、リーディングレンズを作っても良いのでは?」と言われました。
「リーディングレンズって何ですか?」
「いわゆる老眼鏡ですね。手元にピントを合わせやすくなるので、読書やスマートフォンの操作も楽になりますよ」
 と言われましたが、心の中では「老眼鏡……!」とたじろぎます。
 いずれ加齢とともに老眼鏡が必要になるのはわかっているけど、せっかくICL手術をしたのにもう老眼鏡を使わなきゃいけないの? そもそも手術後すぐに視力矯正の眼鏡ってかけていいものなの? 矯正した上からまた矯正するって本末転倒じゃない??
 と、その日は話だけを聞いて帰宅。いままで使っていた近眼のレンズはマイナスの度数になりますが、老眼鏡はプラス0.5、1、2……と増えていきます。通販なら度入りのブルーライトカット加工のものをお安く買うこともできるけど、そもそも本当にリーディングレンズは必要なのだろうか? とパソコンの前でにらめっこ。
    どうして1週間検診のときに聞いておかなかったのだろう……と後悔しつつ、もう一度眼鏡屋さんの話を聞こうと決意しました。
 前回はお安く眼鏡を作れるお店でしたが、次はお値段もそれなりにするけど技術もちゃんとしているザ・眼鏡屋さんに行ってみよう。そう、富〇メガネのベテランおじさまなら知識も豊富なはず……と、おそるおそるお店を訪れ、おっかなびっくり店員さんに訊いてみることにしました。
「あの、視力矯正の手術をしてブルーライトカットの眼鏡を作ろうと思ってるんですが……」
「視力矯正? レーシック?」
「いえ、目の中にコンタクトレンズを入れる方です」
「おお~新しい方の手術をしたんだね」
 と話すおじさまは見るからにベテランさんです。他店でリーディングレンズの話をされたこと等相談すると、おじさんが機械の前に座るよう促しました。
 覗き込むと、見慣れた小さな家の写真が。病院で何度も見た気球の写真と同じく、視力を測定する機械です。
「……特に遠視にはなっていないから大丈夫だよ。手術をしてまだ日が浅いんだもんね。近眼の度数は強い方だった?」
「コンタクトで-8.5か-9ですね」
「なるほどね。近視の人は今までずっと、近いものを見るために目の筋肉を使っていたんだよね。でも、手術をしたことで遠くのものも見えるようになったから、いまあなたの目はピントを合わせる筋肉が頑張っているんだよ。いまは目の筋肉が筋トレしていると思って慣れるまで様子を見て、どうしても辛ければ百均のブルーライトカットのレンズでいいと思うよ」
 目の筋肉が筋トレ中……はじめて聞く表現ですが、なるほど、そう言われるとわかりやすいですね。
「うちの眼鏡は度を入れずにブルーライトカットだけでも作れるけど、価格はこれくらいだからね(値段表を見せながら)。いまはまだ様子を見ていいと思うよ。将来、老眼が出て来たらそのときはよろしくね」
 と、親切丁寧に説明してくれたにもかかわらず、何の商品のおすすめをされることもなく店を後にしたのでした。ありがとう富〇メガネのおじさん、老眼が始まった時はどうぞよろしくお願いします。
 
 その後も長くスマートフォンやパソコンをいじっている時は頭痛が出ることもありますが、手元のピントも合わせやすくなりました。積極的に目のケアをして、蒸気で温める系のアイマスクを愛用しています。
    ほか、術後に行ったのが警察署。これは運転免許の眼鏡等限定を解除してもらうためです。たとえ視力矯正で裸眼生活ができるようになっても、運転免許証に『眼鏡等』が残っていると、裸眼で運転すると罰金や減点の対象になってしまうのですね。
    警察署の免許証センターで限定解除したい旨を伝えると、書類の記入と視力検査があります。免許証更新の人たちに混じりながら検査をして、そのまま手続きをして……少し待てば免許証の後ろに眼鏡等の限定が解除された旨を記してもらえます。
    何も知らずに運転して、うっかり減点になると目も当てられないから、視力矯正した人はちゃんと免許証の手続きをしようね!

   さてさて、最後は術後一ヶ月検診の話。
 病院の受付を済ませると、1週間検診と同じように目の検査があり、その後医師の診察があります。
    視力は右目が1.2、左が1.5と前回と同じ。さらに乱視のチェックもしますが、乱視レンズを入れたからといって見え方が変わるわけではない謎……。 
    その日は院長先生がお休みのため別のドクターの受診でした。
「やっぱり疲れ目があって……疲れ目用の点眼薬って処方してもらえますか?」
「それはできるけど、今日の検診も手術台に含まれているから、処方箋を発行するとお金がかかっちゃうけど大丈夫?」
 疲れ目改善の成分が入っている目薬は市販でも売っています。私は病院で処方箋を発行してもらいましたが、調剤薬局で支払う金額も合わせると市販のものを買うのと同じくらいの値段になるのかな?
 疲れ目の相談をすると、ドクターが目の縁に黄色い試薬のようなものを垂らします。診察室の電気を消して暗くし、まばたきをしたあとの目に光をあてて試薬で色づいた涙の様子を観察する……そう、これはドライアイの検査。コンタクトレンズを毎日使用していた時はまばたきをしてもすぐに試薬が乾いてしまい、ドライアイと言われていました。
「目の乾きは問題ないから、疲れ目用の目薬で問題ないですね。次は3か月後の検診なので、またタイミングの良い時に来てくださいね」
「もう温泉入っても大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。温泉好きなら、我慢するの大変だったでしょう」
 と、日常生活の制限がすべて解除され、1ヶ月健診が終わったのでした。
 診察の検査で大丈夫と言われた目の乾き。ICL手術が終わってから、ドライアイが改善されたのを実感していました。
 手術前から眼鏡生活を中心に過ごしていたのですが、冬場の乾燥した季節でもコンタクトレンズを使っていないだけでドライアイはだいぶ改善されるのですね。そして手術で完全な裸眼生活になりましたが、疲れ目の目薬を差すことはあってもドライアイ用の目薬をつかうことがなくなりました。日々の生活で目を酷使しているため、乾きを感じないのはとても快適です。
 術後一ヶ月になると裸眼生活にもすっかり慣れ、ハログレアも日常の一部になってしまっていますが、鏡で見た自分の顔に変化がありました。
 眉間が、ぱっと開いているのです。
 年齢的にまだ「眉間のしわ」はないのですが、いつしか眉頭のあたりに筋肉の盛り上がりができるようになっていました。これはもうこういう顔なのだと思っていたのですが、手術を機にその盛り上がりが消えたということは、いままでずっとピントを合わせるために眉頭に力が入っていたのでしょう。
 たしかに、手術をしてから目の奥?眉頭?のあたりに謎の違和感があるなとは思っていました。いままで力を入れていたところの緊張がなくなり、就寝時などに「どこかわからない筋肉の力を抜く」という謎の感覚があったのです。術後しばらくは表情の変化などはなかったのですが、術後1カ月で「おや?」と気づくようになりました。
 つまり今まで、般若のような目つきをしていたのかもしれません。
 日常の変化はこれからも増えていくのだと思います。
 
 現在、体験記として書けるのは1カ月健診まで。連続して書いていた記事も今回でひとまず終了です。
 次回は3カ月健診。その時はハログレアも少し改善されているといいなぁ……。
 ここまでお付き合いいただき誠にありがとうございました。

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