瓶底眼鏡から裸眼生活になりました〜⑤術後一週間検診

 ICL手術の体験談ももうすぐ終わり。今回は一週間検診までのお話です。

    手術翌日は自宅で安静にしていましたが、3日目には仕事にも復活。首から下の入浴やシャワーは解禁になったものの、洗顔・洗髪ができないため蒸しタオル洗顔とドライシャンプーで頑張ります。マスク生活のおかげで、すっぴんもほぼ目立ちませんでした。
 保護眼鏡は目や眉やこめかみまで覆う大きさのため、手術を知らない人から見るとなにか言われるかな……と覚悟していたのですが、ご時世ゆえか新手のフェイスシールドと思われたらしく、意外となにも言われませんでした。たまにご年配のかたから視線を感じたのですが、同じように目の手術の経験があったからかもしれません……なんでこの人若いのに保護眼鏡してるんだろう? と思われたのでしょう。

 術後3日目に実感したのが、事前に勉強しておいた「ハロー・グレア」でした。
 レーシックや白内障手術でも起きる現象「ハロ・グレア」。「ハロ」は光の輪、「グレア」が光の滲みのことをいうのかな?   眩しい光を見たときに、視界に光の輪やにじみが発生するというもの。自宅の蛍光灯下で安静にしていたときはあまり気付かなかったのですが、いざ外に出てみると光の強さや角度によってそれが発生したのです。
 ネットで調べると「視界にぼんやりとした光の輪が見える」として表現され、レーシック経験者は「放射状の光」と話していたのですが、ICL手術後の見え方は「細くて鋭い光の輪」です。
 レーシックは角膜を削る手術ですが、ICLは目の中にレンズを入れる手術。そのレンズの縁に沿って光が反射しているため、細くて鋭い光が輪になって見えるのです。ちなみにネットでは強い光の周囲に輪ができると表現されているので、街灯の写真だと小さな輪が街灯ごとに見えるような写真がありますが、いえいえ違います、常に視界のど真ん中に大きな光の輪ができる感じです。
「光のにじみ」はそれこそ街灯ひとつひとつが滲む感じなのですが、これは普段の生活でも見えていたかと。曇った眼鏡をかけたときに光を見ると滲みませんか? あんな感じです。グレアは眼鏡でも起きていたからあまりに気にならず、光の輪のほうが初めて見た時の衝撃が強かったです。
    ハログレアは夜の方がたくさん出ますが、昼間でも光の角度によって出ます。登りたての朝日の角度もどんぴしゃだったようで、日の出の遅い冬は朝に外を歩いているだけで出ていました。
 1日3回の内服薬も1日4回の点眼(3種類さすので5分おきで15分かかる)も苦ではありませんでした。が、ハログレアは最初、とても戸惑いました……。
 事前に勉強していたつもりでも、実際に我が身に起こってはじめてわかることがあります。常に視界の中に光の輪があると気が散ってしまうし、目が疲れてしまうのです。疲れ目は視力が良くなったことも影響しているのか、一日中パソコンに向かっていると頭痛が出てしまうのでした。
 保護眼鏡は就寝時も装着するため、必然的に仰向けの入眠になります。私は横向きで眠るくせがあるため、保護眼鏡で眠るのも地味に大変でした。就寝時の寝返りにも影響して腰が痛くなったり……けれど、術後は目をこすることは厳禁です。人間、眠っているときに目をこすってしまうので、保護眼鏡はそれを防ぐ役割があったのでした。

 術後1週間はいろいろと生活の制限があひますが、次第に裸眼の実感が沸く場面が増えてきます。
 私の場合、最初にそれを感じたのが真夜中のトイレでした。
 眼鏡生活を送る人の多くは、就寝時に枕元に眼鏡を置いていると思います。トイレに行きたくて目を覚ました時、眼鏡をかけてから立ち上がるか裸眼のまま行くか……私はトイレ程度なら裸眼のまま行くタイプです。
 夜中に布団から出て、うすぼんやりとした視界の中トイレまで歩く……いままではぼんやりとしていたのに……その道のりがはっきり見える!  コンタクト外し忘れた!?  と、眠気も吹っ飛ぶ衝撃でした。
 次いで実感したのが、足の爪を切るとき。足の爪を切る時は眼鏡でいるときが多く、さらに身体が硬いため、はっきり見えない状態で勘で切っていました。しかし、視力が良くなったので足先の爪がよく見える! もう深爪しなくて良いのです。
 些細なことかと思うかもしれませんが、その些細なことに心の底から感動する毎日でした。
 
 
    さて、一週間後の術後検診。もう送迎は不要のため、自力で病院に向かいます。
 受付を済ませてから呼ばれるまでの間、本を読んで待ちます。手術をした影響でスマートフォンの小さな字は慣れるまで大変だった反面、小説などの本がとても読みやすくなりました。目から話してもよく見える、そしてコンタクトの時のように渇きを感じない。ごろ寝してもメガネのフレームが邪魔しない。小説を書く者として本もたくさん読みますが、読書のストレスがなくなったのはほんとうにありがたいです……。
     やがて順番が来て検査室に向かいますが、散瞳剤を使った検査などはもう行いません。手術前の検査から一体何度覗いたかわからない、あの気球の見える機械や風を吹き付ける機会などひととおりの検査を行います。
 検査技師さんはその日によって異なるのですが、この日担当してくれたのはなんと、私と同じICL手術を受けた技師さんでした。これ幸いと、検査の合間にいま気になっていることを質問しました。
「ハログレアってどれくらいで気にならなくなりましたか? あと、疲れ目も……」
「私も同じことで悩みましたよ〜でも、疲れ目もハログレアも最初は不安でしたが、だいたい3ヶ月くらいで気にならなくなりましたね」
 実際に手術を受けた人じゃないとわかり合えない悩みってありますよね。いろいろおしゃべりをしながら視力測定に移ります。
 術後はは両眼とも1.5でしたが、1週間後の測定では右眼が1.2の左眼が1.5。術後は視力が安定しないとはいえ、片目でも1.5見えるのはやはり驚き。視力測定では乱視のレンズも使って計ってみるのですが、乱視の度数を入れてみてもあまり変化がありませんでした。
 1週間検診は院長先生ではなく別のドクターの診察。目の傷の様子など検査し、問題ないと診察されます。
「うん、いいですね。保護眼鏡はもう外していいですよ~」
「えっ、もう!?」
 1週間ずっとかけ続けていた保護眼鏡。外していいと言われても戸惑うものです。
「術後の経過は良好です。点眼も使い切ったら終了で良いですね。次は一ヶ月検診なので、3週間~4週間後に来てください。もし気になることがあったらそれより早く来ても大丈夫ですからね」
 と、1週間検診もあっさりと終了したのでした。
「目の乾きや疲れ目があるのですが、点眼を使ってもいいですか?」
「大丈夫ですよ。でも、手術前に使っていたものは破棄して、必ず新しいものを開けてくださいね」
    と、念を押されました。
    そういえば翌日健診のときに細胞数の話をするのを忘れていたのですが、なんと細胞数が2500や2400と出て、院長先生に「細胞数の検査は誤差があるからね。増えてるように思うかもしれないけど増えてはいません。でも、手術で減ったということはないから安心してくださいね」と言われたので、定期検診で検査はするものの、加齢とともに緩やかに減る以外の減少は起きなくなるのかな〜と期待しています。

    診察を終えると受付に呼ばれ次回の受診の話をしますが、とくに予約をするわけではなく、タイミングの良い時に来てくださいとのこと。そして術後の検診は手術代に含まれているのでお会計はかかりませんでした。
    帰宅までの道中、保護眼鏡を外すのが怖くてかけたり外したりを繰り返していましたが、眼鏡がなくても遠くまでよく見えていました。
 眼鏡もコンタクトレンズもない裸眼生活。保護眼鏡もなにもない視界。地下鉄の電光掲示板もよく見える。
 これからずっと裸眼で生活できるのだ……と感動しながら帰宅した1週間検診。裸眼生活の恩恵を日増しに感じていくのでした。

 続きます。次回の1ヶ月検診でひとまず終了です。

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