瓶底眼鏡から裸眼生活になりました〜ICL手術体験記〜①手術に至るきっかけ・前編

 思い立ったが吉日、ということで登録してみたnote。これから少しずつ更新していけたらと思います。

 今回は小説ではなくエッセイ的位置付けで、今年受けたICL手術という視力矯正の話をしていきたいと思います。ついて書いていけたらと思います。
 視力矯正の手術といえばレーシックが有名ですね。私の周囲にもレーシックを受けた人は何人かいるのですが、ICLを受けた人はいなかったため、手術についてはひとりでインターネットで調べるしかありませんでした。
 私と同じようにICL手術の情報を探している人の役に立てたらと思い、こちらで書いていきたいと思います。
 ちなみにこの記事を書いている時点で術後一ヶ月。定期検診の結果も良く、日常生活の制限もなくなりました。ハロー・グレアにもすっかり慣れ、3ヶ月くらいでおさまると聞いているのでそれを気長に待っています。
 あくまでも私の場合として書きますので、絶対受けた方がいい!というようなオススメ記事にはなりません。手術は人生で一番怖い経験でした……。

 今回は手術に至るきっかけのお話。
まず私の情報として、小学校高学年から眼鏡を使用している強度近視です。コンタクトレンズの度数は-8.5あるいは-9.0。眼鏡の度数は不明ですがいわゆる瓶底の分厚さ。若干の乱視があり、ドライアイのため目薬は必須です。
 コンタクトレンズは毎回眼科を受診して処方してもらっていたのですが、通っている眼科では定期的に検診があり、その項目の中に角膜内皮細胞数の検査がありました。
 昨年の11月。いつも使っている2weekのコンタクトレンズを処方してもらうために受診し、一通りの検査をして医師の診察を受けたのですが、
「右目の角膜内皮細胞の数が2000しかない。このまま細胞が減るとコンタクトレンズ使用禁止になります」
 と言われてしまったのでした。
 角膜内皮細胞とは角膜の一番内側にある細胞で、呼吸や代謝の役割をし角膜の透明性を保つ働きをしています。コンタクトレンズを長期使用することで角膜が酸素不足になり細胞が死滅してしまうのですが、これが2000を下回るとコンタクトレンズの使用が禁止になり、1000を下回ると角膜が白濁していってしまうのです。
 細胞数の減少は以前から指摘されていたため、帰宅時はすぐに外すなど装着時間を減らしていたのですが、それでも今回の検査でがくんと数が減ってしまっていました。このまま2000を切ると結婚式など特別なとき以外はずっと眼鏡で生活することになると言われ、装着時間を減らすこと・目薬を頻回使うこと・酸素透過性の良いシリコンハイドロゲルのレンズに変えることになりました。
「細胞数が増えることはないから、これ以上減らないように装着時間を減らしたり注意してください」
「細胞の数ってもう一度計り直したら違う数字になったりしないんですか?」
「なりません。2000を切ったらコンタクトレンズの使用は禁止です」
「今までも減らないように気をつけて生活していました……もう視力矯正の手術をするしかないですか?」
「あなたの場合近視が強いから、レーシックだと角膜を多く削る必要があるし視力が戻るかもしれない。ICL手術をしても老眼になったら眼鏡をかけることになるよ」
 眼科の医師は細胞数を減らさないためにとキツく言ったのですが、これ以上装着時間を減らすとなると眼鏡生活が基本になります。スポーツや外出時だけコンタクトをする人はたくさんいますが、強度近視になると眼鏡生活は不便も多く、さらにドライアイの私はシリコンハイドロゲルのレンズと相性が悪く……ワンデーを毎日使うのは経済的な負担が大きくなります。
 なにより、このまま使用を続けるといずれ細胞数2000を切ってしまうかもしれない。細胞数は加齢でも減るのです。
 いずれ年齢を重ねれば眼鏡生活になるのは覚悟しています。今もなるべく瓶底眼鏡が目立たないよう、レンズを極力小さくしたお値段の張る眼鏡を使っていました。
 いつか眼鏡生活の日が来るのはわかっている。でも、三十代前半はまだ早すぎる……!
    これが視力矯正の手術を考えるようになったきっかけです。

 視力矯正については、以前から何度か調べていました。就寝時に装着するコンタクトレンズを使い、角膜の形状を変えるオルソケラトロジーは軽度~中軽度の近視まで。角膜を削るレーシックは、強度近視だと角膜を多く削る必要があるため抵抗がありました。
 ICL手術は目の中にコンタクトレンズを埋め込む手術で、万一の時はレンズを摘出してもとの視力に戻せる点から、いずれ手術を受けるならICLにしようと思っていました。
 もちろん手術を受けるからにはリスクもあり、将来白内障手術をするときにはレンズを摘出しなければなりません。保険が使えないことから手術費用も平均60万円と高額です。さらにICL手術も角膜内皮細胞数が少ないと断られることがあると知り、私の細胞数でも手術できるかは実際に受診してみないとわからない状態でした。
 北海道でもICL手術を受けられる病院はいくつかありますが、自由診療のため価格設定は病院によりけり。私はICLやレーシックだけでなく一般の眼科診療もしている病院を希望していたため、候補を複数決めて話を聞いてみることにしました。
 ICL手術は細胞数の他にも角膜の厚さや眼疾患がないか等詳しく調べる必要があり、初診では視力測定や眼底検査含め複数の検査をします。
    その後、手術を執刀する院長先生の診察があり、細胞数が右2400左2200とまだ余裕があることと、細胞数測定は誤差があることを教えてもらいました。
「最終的には適応検査をしなければわからないけれど、まず手術は可能でしょう」と言われ、ほっと胸をなで下ろしました。
 院長先生は「あなたは近視の度数も強いから手術をすれば日常生活も楽になるだろうね」と言いつつも、手術を強く勧めることはなくあくまでも私の意思を尊重するスタンス。自由診療なので手術を勧められると覚悟していた私は拍子抜け。さらに質問をすると嫌な顔ひとつせず丁寧に答えてくれ、手術するならこの先生にお願いしようと決めました。
    最終的な手術の可否は適応検査をする必要があるため、その検査を受けてじっくり考えることにし、次回の予約を入れて初診は終わりました。

 人気の眼科のため次の適応検査まで一ヶ月近くあり、その間に自分でも情報収集をします。
    身近にICL手術経験者がいないため、情報は病院でもらったパンフレットを熟読したら、インターネットで調べたりするしかありません。ネットで検索すると「失敗した」というワードも出てくるので、それもしっかり読みました。
 一方でコンタクト使用者に話を聞いてみたところ、眼科を受診せずにネットで購入している人もいれば、眼科自体が細胞数を計っていないところもある様子。さらには2000を切っても処方しているところもあるようなのです。
 つまり眼科を変えればまだコンタクトを使い続けることもできるということです。
    でも、それで細胞数が減り、将来白内障手術を受けられなくなるのは困ります。コンタクトをずるずる使って細胞数が減って、ICL手術が受けられなくなれば後悔するかもしれません。
 手術を受けるなら今が良いタイミングかもしれない。でも、手術費用60万円+税の出費は痛い。でも、レンズをワンデーにすると毎年かなりの出費になる。眼鏡生活にしたところで数年ごとに作り直す必要があり、老眼が始まったら遠近両用にしたりと出費は必須。
 いずれ白内障手術をするとはいえ30年は使うとして、計算してみると年間2万2千円。万一近眼が進行して眼鏡が必要になったとしても、たいした度数ではないから量販店で安く購入できるし、老眼鏡も遠近両用にする必要がないから眼鏡生活よりは安く済みそう。ランニングコストを考えると決して高い出費ではありません。
 手術について悩む私に、周囲からは「目は一生ものだから大切にしないと」「もう眼鏡生活にしたら?」「なんで眼鏡じゃだめなの?」「眼鏡の選択肢はないの?」「結婚して子ども産んだらどうでもよくなるよ」と言われたり……。
 悩みすぎて白髪が増えそうになっていたところ、誰ひとりとして賛成しないICL手術について、背中を押してくれる人が現れたのでした。

 長くなるので今日はここまで、手術前の話は次回続きます。

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