とうきび畑でつかまえて~3,雲の中へ行ってみたいと思いませんか?②
息吹が働いていた製菓会社は、女性の販売員が活躍する華やかな世界だった。
デパートやスーパーに入った売り場に立ち、お客様の要望に合わせてケーキや贈答用の菓子を詰める。冠婚葬祭によって包装紙や熨斗紙が異なるため、マナーに関する知識は人一倍勉強しなければならなかった。
「ウェディングドレスは若いうちに着ないと似合わなくなるから、二十五歳までに結婚したいんです。安達さんもそう思いますよね?」
息吹のいた札幌本店は短大を卒業したばかりの社員が多く、恋愛に関する雑談で盛り上がる若々