2017年12月『絆きらめく恋いろは』

 刀と恋の真剣勝負、どちらもゆずれません!

・共通

 上和泉桜夜の関係がもう見えててルートロックしてまでラストヒロインにする必要ある? って感じ。それの証拠の傷痕を見せる演出も必要だし100点なんだけど、個別ルートに入ってからで良かったと思う。刀を打つためにトラウマを克服することは必要でもそれは上和泉桜夜の、上和泉桜夜ためのものであって、他人のルートに入りうるところではやるべきではなかったよ。たしかにヒロイン全員が武芸科なら「そのヒロインのために刀を打つ」で良いけど、今回はフリージア・ゴッドスピードっていう技巧科がいるからそれをできないのは分かる。誰のルートに入っても最初に打つのは上和泉桜夜のための刀ってのは分かる。でも上和泉桜夜以外の可能性が残っているのならトラウマはその可能性の行動で一応の克服をするべきであって、上和泉桜夜に許されるのは納得がいかない。

・フリージア・ゴッドスピード

 「○○デース」みたいなしゃべり方はしなかったのはまだ聞くに堪える(って言っても台詞にカタカナは混じるけど)。
 叢雲演舞祭の選手のサポートとして主人公と勝負になるのは分かるけど、ただでさえチャンバラと相性があまり良くないゲームシステムなのにさらにサポートの手の読みあいとか作戦支持とか入るせいで戦闘シーンがとても冗長に感じる。
 でその後主人公とゴッドスピードが協力してしおんの調整役に入るのは良いとして、しおんからみたら主人公は自分をナンパしてきた人な訳で、それが自分じゃなくて自分の調整役とイチャついてたらどう思いますかって話よ。
 EDで未公開CGを出すな。

・藍原しおん

 平均値ブレイカー。
 フリージア・ゴッドスピードの時は武器破損で決着した回があったってことは相手の武器破壊も戦略としてあり得るはずなのに、刀4本持ち込みが許可されるんですか? 二刀流があるから2本まで持ち込み可とかなら分かるけど、それなら短刀サイズを1本2本持っておいて相討ち武器破壊を狙った方が効率的でしょ。審判が「4本持ち込むんだね」的な事言ってたからルールで刀の本数の指定ないのかな?
 本戦の初戦から朱雀院椿なのはいいとして、試合中に「なっ」「強い」的な噛ませムーブを朱雀院が始めた時はどうなるかと思ったけどちゃんとしおんが負けてくれて良かったよ。そりゃヒロインとしては勝つべきなんだろうけど、物語として朱雀院は負けちゃいけないでしょ。
 こっちではちゃんとEDのCGに気を配れるじゃん!

・朱雀院椿

 嫉妬丸出しお姉ちゃん(自称)良いと思います。
 他のルートでも「なんでも1人でこなすのが朱雀院の人間」ってのを言ってきて、ルートに入った途端に翻って主人公に頼るとかしないのは高評価。まぁでも結局頼るんですけどね。
 そうは言ってもこれも朱雀院を捨てたからできた事だし、別に矛盾してるわけではないんだよな。
 ただ、このルートで「武器破損して失うと敗北」ってルールが明言されるわけで、だったらみんな懐に短刀とか持っとけよって思うんだよね。それを抜けるか(抜かせてもらえる隙があるか)は別にして主武器が破壊されてもまだ粘れるわけだし。まぁなんか台詞的に武器破壊は狙える物じゃない(そんなに柔らかくない)ってのはあるみたい。確かに壊れたのはパワーバフした葵がぶっ叩いたのとしおんが自壊させたときだからね(そこ、フリージアルートで合を重ねて罅が入ってたとか言わない)。
 ここまでの2ルートと違って告白したその日(その場所)で関係を持たないのも高評価。でもなんで1回目のシーンのCGの左右切れてるの? 横16:9の画面に縦16:9を出すならそれはそれで趣があっていいと思うんだけどね。今回の見切れは横4:3だし。EDは気を配れなかった……

・上和泉桜夜

 いとこ同士は鴨の味。
 散々「友達だから」「親友だから」って言ってたくせに、いきなり「好きになった」は違うんじゃないかな。その気持ちを抱いても良いから桜夜はあくまで「友達だから」で律しようとしなきゃ。どちらかというと主人公から働きかけて「友達だから」を崩していくべきだった。
 あとなんでこのルートだけ試合の時に生徒による競技者紹介が入るのか。設定はしっかり共有しろ? あと日本の首都が大阪って設定なんだからその場合「標準語」は関西弁であって標準語は「東京訛り/関東弁」って言われんじゃないの?
 現代医療で普段は見えなくなってる傷痕が興奮してくると浮かび上がってくるのはとても良いと思います。しかもそのことにはテキストで一切触れないのも高評価。ちょくちょく言葉間違ってるけどこのルートのライターエロゲとして最高の仕事してるよ。
 でもね、刃道の選手は食事管理されてるってのに試合期間中の出先でカロリー高そうな物食べるのはどうなの?
 刀の銘、一本目になんで「夜桜」って使わないんだろうな? とは思ってたから二本目で「夜桜」ってつけたのはいいと思うんだけど、「綾瀬」もつけるべきだとは思うんだよね。
 あといくら最後固定ルートだとは言っても朱雀院椿の敗北とするべきではないよ。
 結果として大団円にはなるけれど、主人公がワガママで大団円になったんじゃなくて主人公が斬り捨てる覚悟をしたのも◎。でも2回目のシーンで傷痕が出てこないのは残念。

・総評

 物語は良いのに不具合が多い。立ち絵、背景が読み込まれない。途中でいきなり落ちる。
 戦闘の熱いシーンでOPを流すのは良いけどそれはここぞという時の一回に使うべきであって何回もするべきじゃないよ。
 あとは、ルートによってトーナメント表が変わるのは無理なくイベントを作れるから賢い方法だけど、1人くらいは朱雀院椿相手に真剣白羽取りをするべきだったよ。特にバリアジャケットの堅さに定評のある藍原しおんあたりは一本を掴んでチェーン・デスマッチ的なインファイトしても良かったわけだし。たぶん刃を握るからバリアジャケットはガリガリ削られるけどそれを耐久値の高さで補ってさ。安全域を下回るまでは真剣でも斬られないみたいだし。
 ちゃんと全員のシーンに制服と霊式具装を用意したのは高評価。
 フリージア・ゴッドスピードだけは戦闘シーンが冗長だったけど、それ以外のルートでは相性の良くないクリックゲーとチャンバラを上手い塩梅で混ぜたと思う。
 一番可愛いヒロインは朱雀院椿。卯衣のアクセントが良い味出してた。椿恋歌は椿ルートの続きらしいし。

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