2021年2月 『冥契のルペルカリア』

 神々と肩を並べるには、たった一つのやり方しかない。神々と同じように、残酷になることだ。

 先にシステム的なところを書いておく。フルスクリーンの挙動が不安定。しかもカーソルがウィンドウ内に捕らわれてる。フルスクリーンが仮想フルスクリーンではなくガチのフルスクリーンだからね。エロゲでこれはちょっと不便かな。ゲーム終了確認等のポップアップウィンドウは新規ウィンドウだからサブモニターとかにゲーム表示を移しててもプライマリモニターに表示される。
あとはバックログの仕様。「その起動時に読み込んだテキストが表示される」から「昨日どこまでやったっけ?」みたいな時に内容を参照できない。これはちょっと不便だよね。

 プレイ順は「奈々菜→理世→めぐり→琥珀」まぁこれが正解でしょ。
 ストーリーについては文句のつけようがない。プレイ中に「あれ?」って思うところは必ず後から説明がされるし。ただ男性声優陣がね。「悍ましい」を「いたましい」って読んだり、「他人事」を「たにんごと」って読んだり。ツーアウトだからギリギリ許すけどスリーアウトはチェンジですよ。
 ちゃんとやりたいことは伝わってるし、出来てる。ただ演劇というものを観る側であれ演じる側であれ、一切触れたことのない人には分からないかもしれない。プレイしながらモノローグが多いなとは思ったけれど、この作品の主人公は瀬和環=プレイヤーではなくて観客=プレイヤーだし。まさしく「この物語を青ざめて震えながら観ている“お前たち”……台詞のない役者のつもりか? それともくだらない大芝居の観客か?」なんだよな。そこを読み間違えるとこの作品は面白くないかもしれない。でも演出、特に作中で上演してるときの演出のオブジェクトの出現はスライドインにして欲しかった。舞台上の小道具は最初からあるか、袖から出てくるかであって無から生えてくるわけではないのだし。
 普段は「このヒロインのためにそのヒロインのルートをないがしろにする」みたいなのは「嫌いだ、ダメだ」と言うけれど、エロゲの中で演劇をやってるわけだし、そういう点では架橋琥珀役の架橋琥珀であったとしても架橋琥珀=架橋琥珀じゃないからね。舞台の上でセックスするのか!? って思う人もいるかもしれないけれど演劇においてセックスシーンは絶対ないわけじゃないから。実際に脱いでなくても、実際に挿れてなくても、観客がセックスしてる場面なんだと理解すればそれはセックスシーンですからね。その証拠にちゃんと最後のシーンではメインキャストが全員出てくるわけだし。

 ──Iは未来を求めない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?