2020年9月『ハミダシクリエイティブ』

学園に来ない女子と見過ごしがちな青春を探す学園恋愛ADV

順番はプレイ順です。

・錦あすみ(フォロワー20万人)
 他ヒロインに比べてずば抜けて言葉に対して過敏な子。小説家の鎌倉詩桜よりも敏感かもしれない。きっちりと自分の気持ちを言葉にできる。でも「言葉では追いつかない気持ちは、」
 過去にVTuberがヒロインのゲームをやったときは中の人バレストーカーとか、失言とかいろいろあったのでヒヤヒヤしたけど結局平和に終わった。そうだよそう言うので良いんだよ。
 ただ、ルート入る前あたりの妃愛の気持ちを聞いてからの「生涯養ってもらう/いずれは自立するつもりでいる」で妃愛のフラグを折るのはかなり辛いところがある。選択肢がなければそうも思わなかったのに。
 自分のできることと自分のしたいことが同じベクトルなのにどこまで行っても平行線で交わらない。そのズレに一人で苦しんでいた。主人公の力で万事解決とはならないけれど、その平行線を少し近づけることはできたのかな。肉まん半分こしましょう。
 現実世界からハミダシて、VTuberというバーチャルに逃げ込んだけれど、それでも結局音楽からは逃げられなかった女の子の物語。
 
・常磐華乃(フォロワー12万人)
 まだ付き合ってないのに一緒に水風呂入るわよ! あとは局部修正そしてガバガバのガバな成り行き。でもこの女、明らかに最初から主人公をプラスに評価してたからな。
 恋愛に対する価値観のズレと言うのはなかなか気づけない。そう言う話をする相手が恋愛対象であることはめったにないのだから。
 ただ性欲モンスターでデルタ痴態までエロに貪欲にしなくても良かったんじゃないかな? とは思う。まぁこれはこれで可愛かったから良いんですけど。避妊意識はどこ行ったの……
 あとはミリさんが良い先生過ぎる。言動はちゃらんぽらんだけど。まぁ主人公と親族というのはあるにしても、困ったら隣県まで車飛ばしてくれて、学校とも交渉してくれて。ただ良い先生ではあるけれど「先生」としての職責をはみだし過ぎかなというのはある。
 あ、温泉のイベントは各ルートのヒロインとあるのかとおもってたけど錦あすみ固定なのね。
 外見を悪し様にいじめられて一度は逃げて、世間のハミダシ者であったとしても、自分の創作物には自信を持った、勇敢な女の子の物語。

・鎌倉詩桜(フォロワー8万人)
 42cmの御御足(三浦大根)。それだけ覚えて帰ってください。
 相手が年上だとどうしても避けられないのが卒業と進路。大体主人公は相手と同じ進学先を選ぶよね。まぁそれはそれでいいんですけど。主人公は現在不登校じゃないし、将来の目標を得たからいいけど、後輩不登校はどうなんだろうねって。その点常磐華乃ルートではその二人の心境が書かれてたのは良かった。
 ただこのルートは最後にやって貰いたい感じがするとは思ったけど、ここまで妃愛をいじめるなら最後じゃない方がいい。
 いじめると言うほどのことではないかもしれないけど、共通ルートであれを聞いて、妃愛のフラグを目に見えた折り方をして、その上であれを言わせるのは流石に鬼畜の所業でしょう。
 他人を信じることをせず、人の輪からハミダシて、自分だけの王国を築き、最後まで強さを演じきった、女の子の物語。

・和泉妃愛(フォロワー53万人)
「でもお兄は、きっと素敵な恋人を見つけて、いずれ我が家を出ていってしまうよね。同棲なんてしちゃうかもしれない。大学へ進学しても、お兄は一人暮らししたりはしないかなー……と呑気に考えていたけど、そういうわけでもないんだなって……」
「私は私で素敵な恋人をみつけて幸せな家庭を見つけるから、お兄は私の存在など気にせず好きな生き方をしてね」
「じゃあ仮に恋人ができた前提で話すけど、(中略)そうしたらいずれ夕ごはんも恋人さんと食べる機会が多くなって、私も一人で過ごす時間が増えるのかなあ……とか」
とか聞かされて、「生涯養ってもらう/いずれは自立するつもりでいる」なんですよ。この「生涯養ってもらう」を最後まで選べないのは苦しさしかないよ。そう決めたのは自分なんですけど。
 って言うかなんでこのライターはこんなに妃愛をいじめてしまうのか。とてもつらい。
「色んな人への罪の意識はあるけれども、諦めていた幸せに手が届くのなら、私は自分の幸せを選びたい」
 この文章と出会えて良かった。この一文に8800円以上の価値がある。
 で、どうしてこのライターはこんなにも妃愛をいじめてしまうんですか? 最終的に幸せになれば良いって訳じゃないんですよ!
 でも、シナリオはとても良い。キャラもぶれないし。これが単一ライターの強みだよな。錦さんが結構ずけずけ物事を言う。
 真っ当な恋愛からも、普通の兄妹からもハミダシた、失ったことに怯え、失うことを恐れる女の子の物語。

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