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テレビの悪あがきが好き

 先日、フジテレビで「有吉弘行の脱法TV」なる番組が放送されました。Xの告知を見て気になってはいたのですが、めちゃくちゃ面白かった。ネタバレにならないよう簡単に説明すると、コンプライアンスの関係上、テレビで写せないような題材を様々な「脱法案」で写せるように試行錯誤するという番組。スタッフが脱法案を検証するVTRを有吉さん、霜降り明星のせいやさん、吉川美代子さんがスタジオで見るというスタイルで進行していきますが、フジテレビのコンプライアンス委員会が「これ以上写せない」と判断した瞬間にカラーバーが流れ映像が中断するという、かなり攻めた内容になっています。地上波NGの題材をどこまで写せるんだろうというワクワクと脱法案のバカバカしさ、コンプライアンス委員会の言い分も含めた全体のバランスの良さが最高でした。
 この番組の企画・演出を手がけた原田和実さんは、奇抜な企画で注目を集めた「ここにタイトルを入力」を担当しており、なかなかに尖っているテレビマンです。その時の企画内容が詳しく書いてあった記事を載せておきます。

 そんな尖った人が、今回テレビにおけるコンプライアンスに真正面から向き合っているところに、テレビの悪あがきを感じました。「テレビ離れ」が叫ばれ、いまやYouTubeやTikTokがエンタメの本流になりかけている時代。ネット配信にも面白いコンテンツは山ほどありますし、私自身もよく見ます。ただ、そんな時だからこそ資金をかけ、無数の大人がアイデアを振り絞って作られる悪あがき的番組には、地上波にしか出せない面白さがある気がします。逆に言えば、ネットがテレビの新陳代謝を良くしているという見方もできるかもしれません。
 フジテレビに限らず、罰ゲーム安全取扱者免許などコンプライアンスを逆手に取った企画をするTBSの水曜日のダウンタウン、放送休止を利用して入り組んだモキュメンタリーを作り上げたテレビ東京のSIX HACKなど、様々な局でテレビの悪あがきは始まっています。この逆襲の流れをきっかけに、またテレビが注目の中心に来るような時代が来てほしいなと思わせるような番組でした。まだまだテレビっ子でいさせてくれ。

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