断片集【白骨】

 アルミサッシのレールの隙間に小さな白い骨を見つけた。
 それは本当に小さな骨で、一筋の背骨に沿って細やかな肋骨が並んでいる様子から、辛うじてそれが動物の遺骨であることがわかるのだった。
 思い出されるのは、去年の秋、風が冷たくなってきたあの頃。
 どこから入ってきたのか知れない、小さな雨蛙が、そこで動きを止めたこと。

 私は蛙の、あのヌメリとした、ヒヤリとした肌が苦手で(そう、心の底から)動かなくなった彼をどうすることも出来ず、ただ黙って見下ろしていただけだった(そして忘れ、時々ふと思い出し、すぐにまた忘れた)。

 一年が過ぎ、私は白骨になった彼を再発見した。
 彼はもはやカラカラに乾いていて、苦手だったヌメリはもはやないはずだったが、別種の恐怖が私の心を覆っていた。

 私は彼から、目を逸らした。

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